「お前は、家を建てる時に、
頭金を出してもらっているじゃないか」
「兄ちゃんだって、会社を興すときのカネを
出してもらったじゃない」
生前に家の頭金を出してもらったり、
事業に必要な資金の援助を親御さんから
してもらった方もいらっしゃるでしょう。
もらっていない人からすれば、
それを除いたところで残った財産を「頭割り」
されたのでは納得のいかないところでしょう。
法律上、このような生前贈与は
どのようにカウントされるのでしょうか。
実は、この生前贈与については、
法定相続分を計算する際、
「特別受益額」として加算(持ち戻し)がされます。
要するにその生前贈与がなかったものとして
分けるべき財産の総額を計算します。
そこから、各自の法定相続分を一旦計算します。
そして、既にもらった特別受益額を
差し引いて法定相続分を計算するのです。
つまり生前贈与は、自分の法定相続分を
事前にもらっていたものとして
法定相続分が計算されるのです。
実はこの特別受益額は、トラブルの温床になります。
なぜなら、人間というのは
「上げた方はいつまでも覚えているのですが、
もらった方は案外忘れてしまうからです」
一方「自分がもらったことはすぐに忘れているのに、
他の兄弟がもらったことはずっと覚えているのです」
ですから、まとまった資金援助などを
生前にしている場合は、
必ずそれらの事実を書面で表しておくことが必要です。
なお、その場合には贈与税の負担も考えられます
のでご注意を。