内容を説明するほどもないほど有名になった「下流社会」。
書評を見ると、賛否両論真っ二つである。
私個人の評価は★★★★。
確かに、先に結論ありきで、データを後付で用いた印象もある。あるいは、刺激的な文体と相まって、攻撃対象となった階層の人にとっては、とても受け入れがたい本なのだろう。
ただし、従来「中流」意識を持っていた層の多くが、所得水準を見ても「下層」ではないが「下流」に落ち込んでいるとともに、それらの若年層の多くが「人生への意欲が低い」という指摘は、十分説得力のあるものであった。
また、階層化によって消費者が異なるいくつかの集団に分裂すると指摘、それぞれのステレオタイプを明示しているのは、「読み物」としても単純におもしろい。
この本から、P.F.ドラッカーがいう「すでに起こった未来」を読み取るとするならば、少子化と若年層の下流化が進むことによって、「労働集約型のビジネスモデルは、苦戦を強いられる」ということではないかと個人的には考えた。
また、中流層をひとくくりとした従来のマスマーケティングよりも、ダイレクトレスポンスマーケティングに一層傾倒していくのではないかという感想を持った。
記載された指摘を丸々鵜呑みにするのも如何と思うが、提示された事象の中から一つでも自分なりの見解を導き出してみるだけでも、読む価値はあるだろう。
批判する前にご一読してみては如何でしょうか。
下流社会 新たな階層集団の出現 | |
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