受取手形を期日前に現金にしたい場合、
現金化した日と手形の期日の期間については
割引料を支払うことで銀行にこの手形を買い取ってもらいます。
ということで、会計上この割引料の表示を
「手形売却損」とするように改めましたが、
銀行はそんな「紙」を買い取るつもりなどありません。
要するに「融資」しているだけなのです。
なお、会計の教科書では、「手形の振出人の信用力を担保」にして
銀行は割引に応じてくれると説明されています。
ただ、現実には、それは上場企業が発行した手形の話。
ちなみに上場企業発行の手形ですら、割引をする場合には
万一その手形が不渡りになったとしても、手形を持ち込んだ
人が支払いに応じてくれるよう定期預金を担保に積むことを
要求されたりします。
要するに、銀行は「手形の振出人の信用力」を担保に
しているのはむしろ例外で、
多くの場合は「その手形を持ち込んだ人の信用力」を
担保にして割引に応じているのです。
そのため、優良企業が手形割引をお願いする場合には、
「持ち込む手形なんかなんだっていい。それこそちり紙だって
同じなんですよ」と言ったりしているのです。
また、非上場のよくわからない手形を銀行はこっそりと
「雑手」と呼んでいます。
そんな雑手はいくら持ち込まれても本来価値はありませんし、
管理するのも面倒。
そこで、銀行はどうするかというと
「すみませんが、割り引きたい手形分だけ
御社がまとめて1枚の手形を切ってくれませんか」といってきます。
手形を振り出したら絶対に期日どおりに支払わなくてはなりません。
つまり、銀行から見ればこの
「まとめて振り出された手形を元に融資をする」のと同じです。
雑手をまとめて1枚の同じ名前の人の手形にする。
そこで、「手形貸付」のことを通称「単名」と呼ぶわけです。