セーフティネット保証とは、
取引先等の再生手続等の申請や事業活動の制限、災害、
取引金融機関の破綻等により経営の安定に「支障」を
生じている中小企業者について、
保証限度額の別枠化等を行う制度です。
具体的には、無担保保証8,000万円、有担保保証2億円が
まるっきり別枠で実施されるので、通常の保証枠が
丸々2倍になるようなものです。
このセーフティネット保証が利用可能な「支障」
について1号から8号の例示がされています。
その中で最近注目されているのが
5号「業況の悪化している業種」に対するものです。
(ただ、この業況の悪化している業種が
すでに760業種を超えていますが。)
この業種の中で売上高が前年対比で3%以上下落しているなどを
市区町村が認定するという一定の要件を満たすことで
セーフティネット保証を利用することができます。
このセーフティネット保証の利用には、
金融機関は非常に積極的です。
なぜなら、通常の保証が焦げ付きの80%しか保証しない
「部分保証」であるのに、このセーフティネット保証は
焦げ付きの全額を補填する「全部保証」だからです。
(その他にも、後日説明する「リスクアセットへの算入が0%でよい」
という恐ろしく銀行が喜ぶアメが与えられています)
ただ、保証協会もバンバン保証をしているかというと
そうではありません。
過去に「金融安定化保証」として無担保での別枠保証を
かなり積極的にしたところ、多額の焦げ付きが発生し、
多くの批判をくらったというトラウマがあるためか、
今回の保証には慎重になっています。
そのため、金融機関の「貸し渋り」ではなく、
保証協会による「保証渋り」が問題となっているのです。
そのため、融資申込み件数が爆発的に増えているのに、
保証協会が審査に慎重になっているため、
このセーフティネット保証は、一部の会社でかなり実行まで
時間のかかるものになっています。
ご利用を検討なさる方は注意が必要です。
また、中には、自分が貸した「プロパー資金」
をどさくさにまぎれてこのセーフティネット保証に
振り替えてしまおうという金融機関もあります。
(「既存の借入と新規借入をまとめて一本化しよう」
という提案は、その効果を慎重に見極めましょう)
金融機関の言いなりになるのではなく、
きちんとした知識を持ってベストな資金調達を
するようにしたいものです。