金融機関は融資先の「評価」をしています。
しかし、その金融機関自体も「評価」をされているのです。
その中のひとつにBIS規制というルールがあります。
これにより、国際取引を行う場合、「自己資本比率」が8%以上、
国内業務に特化する場合でも「自己資本比率」が4%ないと
いけないと定められています。
この自己資本比率、通常の会社の場合は
自己資本÷総資本という計算式で求められます。
しかし、このBIS規制上の自己資本比率は
自己資本÷リスクアセットというもの。
自己資本には有価証券の含み益が一部組み入れられる一方、
リスクアセットは、単純にその資産の額を合計したのではなく、
資産の種類や貸出先のリスクによって加重平均をして
求められます。
では、計算上この自己資本比率を良くするには
どうしたらよいのか?
それは、分子を大きくするか、分母を小さくするしかありません。
ですから、金融機関はなんとかこの自己資本比率を
良くしようとする場合には、利益を上げて自己資本を
大きくするか、あるいは分母のリスクアセットに
組み込まれた貸出金を回収しようとするのです。
そのため、多額の貸し倒れが発生し利益が上がらず、
さらに保有する株式の時価が下落し、自己資本の額が
減ることが予測されると、貸出金を回収するという
「貸し渋り」が起きるわけです。