税務に関する申告書や届出書については、多くのものに期日が定められており、その期日に一日でも遅れると、有利な規定が利用できなかったり、ペナルティが生じることが原則です。
これらの申告書や届出書は、郵送で送付することも可能ですが、税務署に直接出向いて提出をすることもできます。
では、その提出期限が、土日や祝日など税務署の閉庁日であった場合には、どうなるのでしょうか?
そこで、今回は、期日が税務署の閉庁日である場合の申告書や届出書の提出期限についてまとめてみることにします。
結論から申し上げれば、申告書や届出書の提出期限が税務署の閉庁日であった場合には、その提出期限は、その翌日に延期されます。
これは、国税通則法という、その名の通り、国税すべてに通じて適用されるべき法律により定められているものです。
ですから、法人税、所得税、消費税、相続税など、国税に関するものは、すべてこのルールが適用されるのが原則です。
国税通則法第10条第2項
国税に関する法律に定める申告、申請、請求、届出その他書類の提出、通知、納付又は徴収に関する期限(時をもつて定める期限その他の政令で定める期限を除く。)が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他一般の休日又は政令で定める日に当たるときは、これらの日の翌日をもつてその期限とみなす。
なお、1/1-1/3は税務署閉庁日のため、12月末日が提出期限の場合、翌年1/4日以降の最初の平日となります。
ただし、注意が必要なものもあります。
それは、消費税について、特例に基づく申告をする場合の届出書です。
具体的には、
・消費税課税事業者選択届出書(同選択不適用届出書)
・消費税簡易課税選択届出書(同選択不適用届出書)
などです。
これは、それぞれの条文で「当該届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間」から適用されるとされているからです。
国税通則法の規定は、「提出期限が税務署閉庁日である場合」について定めたものであり、「届出書を提出した日の属する課税期間の末日」について定めたものではありません。
ですから、これらの消費税の申告において自ら特例を用いるための届出書は、仮に課税期間の末日が税務署閉庁日であったとしても、その提出期限が翌日に延びることはないので注意が必要なのです。
税務署に直接出向くのではなく、郵送する場合にも、上記のルールが適用されます。
では、郵送などの場合に、どのタイミングをもって提出がされたとされるのでしょうか?
税務手続に関する書類の提出日は、原則として税務官庁に書類が到達した日となります(到達主義)。
ただし、納税申告書(添付書類及び関連して提出する書類を含む。)や提出時期に具体的な制約がある書類(後続の手続に影響を及ぼすおそれのある書類を除く。)については、その書類が「郵便や信書便」により提出された場合、その郵便物や信書便物の通信日付印により表示された日が提出日とみなされます(発信主義)。
つまり、申告書は届出書の提出日は、原則として税務署に到達した日だが、郵便や信書便であれば、消印の日付が期限内であればよいということになるのです。
郵便局の営業時間が過ぎた夜間受付であっても消印さえ期限内であればOKですが、ポストに投函された場合、集荷の関係で消印が翌日となることもあります。
実際に、それで無申告加算税が課された方もいますので、期日当日に提出するのであれば、必ず郵便局の窓口で「今日中の日付でお願いします」と確認の上、提出をするように。
また、簡易書留の代わりにレターパックで申告書や届出書が提出されることも多いでしょうが、レターパックは郵便や信書便ではないため、税務署に到達した日で判断がされますので、注意が必要です。
税務は、届出書一枚で税額が大きく変わったり、申告が一日遅れただけ多額のペナルティが生じることもあります。ギリギリの提出では、心臓に悪いですし、早めに提出をするようにいたしましょう。