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平成27年度に相続税法が改正され、相続税の対象者が2倍になったと言われますが、実際には、相続税の納付をしているのは、全体の8%のみ。
「普通の人」にはあまり関係がないというのは何度も申し上げているとおりです。
ただ、どんな人であっても家族が亡くなると「こんなにもやることがあるのか」というくらい多くの手続きが必要になります。
そこで、今回は、家族が亡くなった時、遺族はどんな手続をしなくてはいけないのかをまとめておこうと思います
すべての人の遺族
亡くなってからすぐ
葬儀社(亡くなる前にある程度の目星をつけておくほうが望ましい)
遺体の搬送及び葬儀の手配をする。
病院によっては、搬送する葬儀社が指定されている場合も多い。
すべての人の遺族
亡くなってからすぐ
亡くなった時の病院
死亡診断書を受け取る(火葬許可証受領に必要)。
亡くなるまでの医療費の精算をする。
すべての人の遺族
亡くなってから数日以内
菩提寺の僧侶、近親者など
葬儀に参列をして欲しい人のリストを作成し連絡をする。
実際の葬儀手続きは、葬儀社主導で行われる。
すべての人の遺族
亡くなってから7日間
市区町村
医師が発行した死亡診断書
亡くなったことを自治体に届け出る。
同時に住民票の抹消手続きも行われる。
火葬許可証申請と同時に行うことが大半で、合わせて葬儀社に依頼するのがよい。
すべての人の遺族
告別式まで
市区町村
埋葬に必要な火葬許可証を発行してもらう。
葬儀社に対応してくれるよう依頼したほうがよい。
年金受給していた人の遺族
死亡後速やかに(国民年金は14日以内)
市区町村や年金事務所
年金証書、除籍謄本など
受給していた年金の停止手続きを行う。
未支給の年金があれば合わせて請求手続きを行う。
遺族年金受給対象者
死亡後速やかに(年金の時効は5年)
市区町村や年金事務所
戸籍謄本
死亡診断書等
どの遺族年金が受給できるかを確認の上受給申請を行う。
介護保険対象者の遺族
死亡から14日以内
市区町村
介護保険証
介護保険利用停止の届出を行う。
クレジットカード利用者の遺族
死亡後速やかに
各クレジットカード会社
そのままだと年会費などの引き落としがされるので速やかに解約を申し出る。
一人暮らしの方の遺族
死亡後速やかに
各事業会社
一人暮らしの方が亡くなり、利用しなくなった公共サービスも速やかに利用停止手続を。
同居していた場合には、新たな利用者に名義変更をする。
生命保険加入者の遺族
死亡から3年以内
各保険会社
生命保険に加入をしていた場合に請求をする。
死亡により自動的に生命保険金が振り込まれるわけではない。
すべての人の遺族
死亡から2年以内
市区町村や協会けんぽ事務所等
健康保険加入者に対して、埋葬料の実費相当額として定められた金額が受給できる。
国民健康保険の場合、死亡届提出と同時に行われることが多い。
遺言を残された遺族
死亡後速やかに
自宅金庫などを捜索
自筆証書遺言を発見した場合、家庭裁判所で検認を受ける(それまで開封しない)。
すべての人の法定相続人
死亡後速やかに
自宅金庫などから預金通帳や証券会社の取引記録を発見し、各会社に相続開始日現在の残高証明書発行を請求する。
不動産については、所在地の市区町村等に固定資産評価証明書の発行を依頼し、それに基づき法務局で登記簿謄本を入手する。
遺産の調査をし、発見した遺産について評価額を付した一覧表を作成する
すべての人の法定相続人
死亡後速やかに
死亡前後に引き出した預金のトレース(使途追跡)をし、葬儀費用や入院費用等の収支明細を作成した上で、立替金等の精算を行う。
相続の放棄をしたい遺族
相続開始を知った日から3ヶ月以内
家庭裁判所
相続を放棄したい場合に申請する。
3ヶ月以内に放棄をしない場合、自動的にすべての財産を相続することを承認したことに。
手続きは、一人でもできるが弁護士等に依頼するのがベター。
亡くなった年に所得があった人の遺族
相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内
亡くなった人の管轄税務署
亡くなった年の1/1から亡くなった日までの所得について所得税の申告を行う
すべての人の法定相続人
死亡後速やかに
作成した財産目録から誰が何を相続するか協議した結果を書類にまとめる。
この書類を元に不動産や金融資産の名義変更を行う。
預金等を相続した相続人
遺産分割協議確定後速やかに
各金融機関
遺産分割協議書(または遺言書)
戸籍謄本等
遺産分割協議書や遺言書の内容に基づき預金等の名義変更手続きを行う。
不動産を相続した相続人
遺産分割協議確定後速やかに
法務局
遺産分割協議書(または遺言書)
戸籍謄本等
遺産分割協議書や遺言書の内容に基づき預金等の名義変更手続きを行う。
手続きは、司法書士に依頼するのが一般的。
基礎控除額以上の遺産を残した人の法定相続人
相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内
亡くなった人の住所地の所轄税務署
遺産総額(債務控除後)が基礎控除以下であれば相続税の申告義務はない。
ただし、小規模宅地等の評価減などの特例を利用することではじめて遺産総額が基礎控除以下となる場合、相続税の納税はないが、申告書の提出だけは必要になる。
急に亡くなった場合、どこにいくら財産額があるのかが発見できず、せっかく家族のためにと残した財産が遺族に渡らないということも起こりえます。
また、遺産の相続を巡って、遺族が長期間に渡る係争をすることもあります。
それを避けるために、もっともよいのは遺言書を残すことです。
ただ、遺言書を作成するというのは、本人にとっては、自分の死を見つめることになりますし、家族から言い出すことも難しく、思いの外ハードルが高いものです。
そういう場合には、まずは財産目録を作成してみるところからはじめます。
その際に便利なのは、エンディングノートというものです。
このエンディングノートに重要な連絡先などと一緒に預貯金や加入している保険などの一覧を書いてもらうようにするのであれば、財産目録作成への心理的なハードルは下がると思います。
コクヨ エンディングノート もしもの時に役立つノート B5 LES-E101
それすら難しい場合はどうするのか。
その時は、クリアファイルに、銀行との取引記録や保険証券などをひとまとめにしておくようにお願いしてみてください。
どこの金融機関と取引があったのかさえわかれば、あとは、専門家が何とか残高証明を頼りに金融資産を発見できるはずですから。
相続というと相続税の心配をする人が多いですが、すべての人が先にやるべきもっと大切なことがあるんですよね。