決算書対策-その5:まず何と比較するのか

◆まずは、何と比較するのか
「経営分析」とは決算書の数値から
種々の比率を算出する
ことであることは
想像ができるでしょう。
ですが、ただ、比率を算出しただけ
では意味がありません。
何らかの数値と比較することで、
はじめて業績の良否を判定することが可能になります。
では、何と比較すればよいのでしょうか?
答えは2つあります。
ひとつはライバルとの比較。
つまり「業種平均値」とあなたの会社の比率を
比較するということです。
そして、もうひとつ。
それは「過去の自分」との比較です。
つまり前期や前前期の自社のデータ
から算出された比率と比較をすることで、
あなたの会社の動向を判断することができるのです。
<まとめ>経営分析で比較するのは
「業種平均値」と「過去の自分」


◆まずは「総合指標」をみる
<A社(金属製品製造業)の決算書>


「利回り」ということばをご存知でしょうか。
「投下した資金がどれだけの利益を生んだか」
をあらわす指標です。
たとえば、定期預金の利率も利回りを
あらわす指標のひとつですし、
購入した不動産がどれだけの利益を
上げたかを表わすのもこの利回りのひとつです。
実は決算書からも「会社の利回り」
を知ることができます。
以前お話したとおり貸借対照表の右側には
負債と純資産が並んでいます。
この二つをあわせて「総資本」といいますが、
この右側は「どのようにして資金を調達したか」
という調達源泉を表わしています。
つまり、会社というものはこの総資本だけの
資金を投下することで利益を得ているわけです。
そうなると投下した資金と利益を比べることで
「会社の利回り」も計算できる
ことになります。
具体的には、経常的な営業活動から発生した
「経常利益を総資本で割る」ことにより
その数値を知ることができます。
算式は、
総資本経常利益率=経常利益÷総資本(%)
となります。
この「会社の利回り」ともいうべき
総資本経常利益率が、
経営分析を行う上で最初に見るべき
総合指標ということができるでしょう。
業種平均値は
製造業(金属製品製造業)5%
卸売業(電気器具卸売業)3%
小売業(婦人服小売業) 4%
サービス業(理容業)  10%
となっています。
意外に、どの産業もこの利回りが低いことがわかります。
A社を例にとると総資本経常利益率は
 50÷1,000=5%となることから、
この会社の利回りは業種平均値とほぼ同水準と言えます。
もしあなたの会社の利回りが0.1%
しかないということになると、
その会社の株主は、会社経営というリスクを
とっているにもかかわらず、
何もしないで国債を購入していた
おばあちゃんに資金運用では負けていたことになるのです。

まずは、あなたの会社の総資本経常利益率を
算出してみてください。
<まとめ>まずは「会社の利回り」を知る。
それには総資本経常利益率を算出する。

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