所得バブル崩壊―危機の連鎖を招く「バブルの負の遺産」を断ち切れ!!
同額の不動産を買い換えたとします。
この場合には、別にお金が増えるわけでもありません。
しかし、税務署はあくまでも一旦売った時点で
儲かっているのであれば、そこに譲渡所得税を
課税してきます。
するとその分手持ちのお金がなくなってしまうので
同額の不動産を購入することはできなくなってしまうでしょう。
そこで、一定の要件を満たす買換については
利益の100%または80%をその時点では
一気に課税しないという制度が買換特例です。
私は、この規定がバブルに与えた影響は
小さくないと思っています。
もちろんこの規定自体が悪いわけではありません。
しかし、
「この規定を受けないと税金が取られてしまう。」
「それには、一定期間内に新たな不動産を購入しないといけない。」
「もう値段は多少高くてもいいや。」
と言う形で、どうも購入価格についてネゴシエーションを
厳しく行うという姿勢が明らかにゆるんだ気がするのです。
この姿勢が不動産価格の実態以上の高騰を
煽ったのではないでしょうか。
実は、このようなことが今も起きているような気もします。
「今月中に、どうしても買わないと」という
話をしているのを聞く場面も多くなりました。
本当に歴史は繰り返すというか。
なおこの制度は、節税策ではありません。
建物の減価償却費が押さえられるため、
結果的に税金を分割払いしているのと
同じになったり、土地については
次の譲渡の時にまとめて税金が
課されたりするのです。
バブル崩壊後に損切りをしても
土地を処分して借入金を返そうとしたら、
損切りなのに多額の税負担が発生するため
処分ができない
という例も多数発生しています。
何とも罪作りな制度ですね。