税務調査とは別に「法定監査」というものがあります。
具体的には、法定調書の記載内容のチェックなのですが、この業界に25年以上いてはじめて「法定監査」がやってきたので、今回は法定監査がどんなものなのかについてお話をすることにします。
まず、法定調書とは、どんなものかというと、事業者が前年一年間に支払いをした給与・報酬・家賃等についてその支払先の住所・氏名や支払金額を記載して、翌年1月31日までに税務署に提出するものです。
要件に該当する事業者は、期限内での提出が義務付けられており、未提出の場合、法的にはペナルティも定められています。
しかし、法定調書の未提出によりペナルティを課されたという事案について、私は聞いたことはありません。
この法定調書の提出内容に間違いがないかのチェックが「法定監査」であり、国税通則法でも税務署の質問検査権の及ぶ範囲とされています。
ですから、合理的な理由がない限り、この法定監査の打診があれば、事業者としては受けざるを得ないということです。
この法定監査は、法人・個人を問わず事業者に対して行われますが、担当しているのは「個人課税部門」の資料担当者です。
その法定監査の目的はあくまでも、法定調書の提出内容のチェックであるため、法定監査からそのまま税務調査に移行することはありません。
本当に、法定調書の内容をチェックするだけです。
「できれば経費の支払内容をチェックしたい」などと言うこともありますが、これも支払先に対する「資料収集」のためであり、その支払内容の必要経費・損金性のチェックではないので、特に問題がなければ協力しても良いでしょう。
法定監査の時間は、その内容にもよりますが、スムーズに資料の提供ができれば1時間程度で終わるはずです。
記載内容に間違いがあったり、提出漏れがあったとしても、その間違いなどを修正した上で、再度法定調書を提出すれば終わりです。
特にペナルティが課されることもまずないでしょう。
事業者の数と担当者の数を考えると、法定監査の対象となることもあまり多くはないとは思いますが、万一聞きなれない「法定監査が来る」となっても、特に身構える必要はないのでご安心ください。