プレゼンテーションツールであるPowerpointは、発売以来既に10億台以上のPCにインストールされていると言われます。
一方で最近では、Amazonをはじめ「パワポ使用禁止」を打ち出している企業もあるという。
その理由はジェフ・ベゾス曰く、「パワーポイントはプレゼンする側を楽にさせ、聞く側を混乱させる。」のだそう。
確かに使い方によっては、デメリットがメリットを上回ることもあるでしょう。
そこで、今回は、こういうパワポの使い方はダメだという話しをしてみようと思います。
パワポは、思いつきだけで書いた箇条書きでも見栄えの良い資料ができてしまうので、提案する側が思考を深めることがなくなるということが、パワポ禁止を唱える大きな理由になっているようです。
確かにそうですが、それは果たしてパワポが悪いのでしょうか?
巷で流行りの「外資系」や「ソフトバンク式」提案書作成術の本を見ても、「いきなりパワポに書いちゃダメ」と例外なく書いてありますし、実際に私が本やレポートを書くときにいきなり文章を書くなんていうことは無いです。
頭のなかにあるものを全て吐き出し、その項目をグループ化した上で、現状を整理して解決策を見出し、それをどうやって伝えればもっとも聞く人に伝わりやすいかを吟味してまず構成を決めます。
その結果を最終的に表現するためのツールがパワポなので、それ以前の思考過程についてきちんと手順を踏んでいれば、ツールはなんであれ問題はないはずです。
パワポはその過程を踏まずとも、見た目だけよい提案書ができてしまうので注意が必要ということでしょう。
Powerpointに限らずKeynoteやPreziなどのプレゼンテーションツールを使うと、ほぼ全員が一度は罹る”はしか”のような病気があります。
それは、「どうだこんなのすごいだろ」言わんばかりに無駄にアニメーションなどの機能を使いまくったた結果、見ている方がその効果に気を取られて主題を忘れてしまうようなプレゼン資料を作ってしまうということです。
プレゼンツールを使うと、まるでプロが作ったかのような洗練された投影シートができてしまうので、ついついいろいろなことを試してしまいたくなる。
結果として、顧客満足のつもりで作業に膨大な時間をかけながら、実際には、本人はすごい充実した仕事をした気になるという自己満足にしかならないのです。
そりゃ高い生産性を求める会社ほど「社内ではパワポ禁止な」と言いたくなるわけです。
知的生産の価値が相手に認められるためには、「QCD」を掛けあわせたものが相手の期待値を超えなくてはいけないとよく言われます。
QCDとは、Quality(品質)とCost(費用)とDeliverly(納期)を掛けあわせてものです。
いくら品質が良くても、高くて納期も遅くては意味がありません。それぞれを掛けあわせた”相乗積”で勝負しなくてはいけません。
ホビーとしてではなく、ビジネスで提案書を作るなら、このQCDの”相乗積”を常に考慮した上で、コストと品質をコントロールする必要があるということを理解しなくてはならないのです。
要するに、「パワポ禁止」という著名企業があったとしても、パワポ自体がもう使えないツールというわけではなく、パワポが進化し誰でもが簡単に見栄えの良い資料ができるようになったからと言って、手抜きをしたり見栄えの良い資料づくりにばかり力を入れるようになったら本末転倒ということでしょう。