お客様からのご質問にスピーディに回答できるためと自身の知識整理のために税金などの取り扱いについてのブログ記事を書いてきました。
AIにより、質問に対する回答がされるようになると、そんなものは不要になるかもしれませんが、現時点では、まだまだ不正確な部分もあるといえます。
そこで、今回は、AIの力量の定点観察のため、同じ質問に対してChatGPT4(Bing)とGoogleBardによりどのような回答がされたのかを確認してみることにします。
「インボイス制度とはどんなものですか?これまで消費税の申告をしたことのない免税事業者でもわかるようにわかりやすく1500字で説明してください。」
インボイス制度とは、消費税の申告をしたことのない免税事業者でも消費税を請求することができる制度です。インボイス制度後、請求書発行側である免税事業者は、消費税を得意先に請求しなければ消費税分の手取りが減り、課税事業者になると消費税納付でやはり手取りが減ってさらに申告業務の負担が生じます。
免税事業者がインボイス制度に対応するには、課税事業者となるための「消費税課税事業者選択届出書」と、適格請求書発行事業者となるための「登録申請書」を、納税地を所轄する税務署長に提出する必要があります。
以上のように、インボイス制度は免税事業者にとっても重要な制度です。(275文字)
×インボイス制度とは、消費税の申告をしたことのない免税事業者でも消費税を請求することができる制度です。
→インボイス制度とは、消費税の仕入税額控除について、登録した適格請求書発行事業者が発行した適格請求書に記載された金額によるものとされる制度です。
インボイス制度とは、2023年10月1日から開始される新しい消費税の仕入税額控除の制度です。適格請求書発行事業者から交付された適格請求書(インボイス)の保存により、消費税の仕入税額控除を受けることができるようになります。
インボイス制度の対象となる事業者は、消費税の課税事業者と免税事業者の両方です。ただし、免税事業者がインボイス制度の対象となるためには、適格請求書発行事業者に登録する必要があります。
適格請求書発行事業者とは、インボイスを発行することができる事業者です。適格請求書発行事業者になるためには、税務署に登録申請書を提出し、登録を受ける必要があります。
インボイスとは、適格請求書発行事業者が買い手に対して発行する請求書です。インボイスには、以下の事項を記載する必要があります。
取引年月日
取引相手(買い手)の名称・住所
売上金額
適用税率
消費税額
登録番号適格請求書は、紙で発行することも、電子データで発行することもできます。
インボイス制度の導入により、消費税の仕入税額控除の方式が変更されます。従来の仕入税額控除の方式では、仕入税額控除を受けるために、仕入先から請求書等の書類を受け取る必要があります。しかし、インボイス制度では、適格請求書発行事業者から交付された適格請求書の保存のみで、仕入税額控除を受けることができるようになります。
インボイス制度は、消費税の納税額の適正化を目的とした制度です。インボイス制度の導入により、免税事業者も仕入税額控除を受けることができるようになります。これにより、消費税の納税額が適正化されるとともに、免税事業者の資金繰りの改善にもつながることが期待されています。
インボイス制度の開始まであと1年を切りました。インボイス制度の対象となる事業者は、早めにインボイス制度の準備を進めることが重要です。(773文字)
×インボイス制度の導入により、免税事業者も仕入税額控除を受けることができるようになります。これにより、消費税の納税額が適正化されるとともに、免税事業者の資金繰りの改善にもつながることが期待されています。
→インボイス制度の導入により、免税事業者や消費者からの仕入等については、仕入税額控除が受けられなくなります。消費税の納税額が適正化されることにはなりますが、免税事業者は値下げ要請がされたり、適格請求書発行事業者となることで消費税の納税の負担が生じることになります。
これだけを見るとまだGoogleBardのほうが出来は良さげですが、まちがってはいないものの、そういうことじゃないと言いたくなる表現が多いです。
その上、どちらもインボイス制度の根幹に関わる部分に間違った理解がされており、これは、制度そのものを理解して文章を作成しているというよりは、ネット上にあふれるキーワードの中からつながることの多いものを拾い集めただけに思えますね。
これだけ自信満々に言われると、自分があまり詳しくないことだと、うっかりウソを見抜けないこともあるかなと。自分が詳しくないことを調べたいのに。
こういうAIで作成された不正確な文章が大量にアップされ、それをさらにAIがエサにして学習したら、より不正確な文章でネット上は溢れかえりそうなんですが、どうなんでしょう。
もう少し丁寧な指示をすれば、マシな文章になるのかもしれませんが、問題はそこじゃなくて、これって知らん間に他人の著作権を侵害しそうな恐れもある。
実際、Bingでセミナーのネタ探しのため「あなたは税理士です。中小企業経営者と税理士に喜ばれるセミナーのテーマを教えてください」と質問したら、どうにも既視感のある答えが。
よく見たら、参照のリンクが自分のブログ記事になってました。ついでに、その記事を明らかに下敷きにしたライターの記事が出てきたのは笑いましたが。
営業チャンス!税理士のセミナーで中小企業の経営者に喜ばれるテーマ
これって、うっかり生成AIに書かせた記事を自分のメディアに載せてたら、自分もパクリだと指摘されるのではないかと怖くなりましたね。
ですから、現時点では、「AIさえあれば簡単に記事がかける」と言うのはちょっと無理があるのかなと思います。
そうはいっても、freeeやマネーフォワードもローンチ直後は、「おもしろいけど、仕事で使うのは時期尚早」と評価したものが、今ではしっかり実用レベルになっているのですから、生成AIのここに来るまでの進化のスピードを考えるとすぐにそういう問題も解決されるような実用レベルになるかもしれませんけどね。