保険料の支払いを減らしたい|払済と転換では大違い

はじめての人にもわかる金融商品の解剖図鑑

無駄な保険はサッサと解約すればよいのだが

加入していた生命保険について、その保障が実需に合わないのものであることがわかれば、サッサとその生命保険を解約すればよい。

ですが、保険契約の種類によっては、解約によって大きなペナルティが生じるなど、その保障額を引き下げても保険契約を維持したほうが有用となるケースもあります。

そこで今回は、その際に用いられる「払済」と類似する「転換」の違いについてみていくことにします。

払済と転換の本質をひとことで言うと

転換

  • 旧契約を解約し、その解約返戻金を原資に新たな保険に加入すること
  • 新保険についてはその時点での予定利率が適用される

払済

  • 旧契約の保険料支払いを停止し、それまでの解約返戻金を原資に保障額を引き下げて保険契約を継続
  • 予定利率は従来通りのまま

もう少し深掘りしてみると

追加で保障と思ったら実は転換ということも

  • 逆ざやである過去の予定利率の高い契約を保険会社は解消したい
  • 追加で新たな保障がついたのではなく、旧契約が解約され予定利率の低い新契約に加入させられただけ
  • 払済か解約かは予定利率で判断を
  • 無駄な保障だと思えば保障額は減らすべき
  • ただし、個人年金など中途解約のペナルティが大きい場合には払済も

無駄な保障は解約すれば良いが、保障額を減らす払済も

明らかに必要以上の保障がされているのであれば、基本的に、その保険は解約すれば良いです。

払いすぎた前払いの保険料があれば、解約返戻金として戻ってきますし、少なくとも、以後無駄な支出はなくなります。

ですが、解約のペナルティが大きく、保障額を減らせばその保険は無駄ではないという場合には、「払済」という方法も検討されます。

払済とは、旧契約の保険料支払いを停止し、それまでに支払われた前払保険料による解約返戻金を原資にして保障額を引き下げて保険契約を継続するものです。

この払済の場合、保険契約自体は継続されるので、保険契約時に約束された運用リターン(保険料の割引率)である「予定利率」は維持されます。

1976年から1992年頃に契約がされた保険では、予定利率が年5%を超えるという現在の金利水準から考えると破格のものもあり、保障額を引き下げれば合理的な保障となるのであれば、解約しないで払済とした方が有利な場合もあります。

また、個人年金保険などは、あまり有利な資産運用ではないとわかったとしても、中途で解約すると多額のペナルティが生じる場合もあり、泣く泣く解約は諦めるしかありません。

そのような場合にも、払済とすることで以後の”被害”を小さくすることや別の本当に必要な保障に切り替える余地はあるのです。

保険会社からの転換の申し出は無視しよう

一方で、転換とは、旧契約を一旦解約し、その解約返戻金を新規契約の保険料に充当するものです。解約されているので、新規契約には新しい予定利率が適用されます。

保険会社は、なんとしてもバブル期の高い予定利率の保険契約を解約して欲しい。しかし、それでは保険契約が減ってしまうので、できればそのまま新規契約にしてもらうのがありがたいことになります。

そのため、保険会社は、高い予定利率の保険契約について、この「転換」を勧めてくるのですが、加入者にとってみれば、何一つメリットはありません。

素直に、「予定利率が高くて逆ざやが辛いので、予定利率の低い保険に変えてくれ」などと言って「はい、そうですね」という人は、まずいません。

そこで、保険会社は、既存の契約に「月々僅かな負担増で新たな保障がついたので契約をし直したほうがいい」かのような説明をすることもあります。

しかし、中には、新たな保障分だけ追加で保険契約がされたわけではなく、実際には、旧契約を解約し、新たな保障のついた新規の保険契約に加入されているケースもあるのです。

つまり、予定利率の高い有利な保険契約を解約させられ、その解約返戻金を予定利率の低い不利な保険契約の保険料に充当した結果、「月々わずかな負担増」になったということです。

いずれにせよ、保険会社は、自分たちが不利になるような転換を自ら薦めることはありません。
ほとんどの場合、逆ザヤの発生している保険契約の”回収”か販売代理店の手数料稼ぎのための提案ではないかと。

ですから、保険会社からの転換が勧められた場合には、わざわざ転換をする必要はまずないと思って間違いないでしょう。

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