【基礎】リースとレンタルとローンの違いをしっかり理解してみよう

リースの本当の意味を理解できている?

「今までより月1000円リース料が増えただけで、古いコピー機を最新のコピー機に替えてくれたんだ」などと喜んでいる人を見ると「リースの意味を正しく理解していないんだな」と感じます。

そこで今回は誤解されがちなリースの本当の意味をレンタルやローンと比べて説明をしてみようと思います。

リースは”物融”である

レンタルは、レンタル業者が事前に購入した物件を借り、レンタル料を支払います。

概ね短期間の利用であり、必要なときだけ利用するということが可能です。

その代わりにレンタルの時間当たりの単価は高くなるので、長期間使用をするとその支払額は、購入をした時よりもはるかに高額になります。

一方、いわゆるリースは、借り手が選択した物件をリース会社に新たに取得してもらい、それを借りる代わりにリース料の支払いをします。

リースは物件の賃貸借という法律上の体裁は取っていますが、実際は「設備投資資金の融資」という意味合いが強く、金融に対して”物融”などとも言われるのです。

ですから「今までより月1000円リース料が増えただけで、古いコピー機を最新のコピー機に替えてくれた」といっても、実はもうすぐリース料の支払い期間が満了するはずだったものが、新しいコピー機を購入して、そのためのリースという名の”返済期間”が伸びたに過ぎないのです。

リース取引では中途解約を認めておらず、解約をする場合には残代金相当の違約金を支払わなくてはなりません。

結果として、一度リース契約をするとほとんどの場合、その物件の購入代金を上回る金額の支払い義務が生じることになります。

つまり、必要なときだけ利用をし不必要になったら返却をするということはできません。

「リースにすれば、自分で購入するよりもリスクが軽減される」というのは明らかな勘違いだと言えるでしょう。

買うよりリースのほうが節税になる?

リースは、支払った金額が全額損金になるのに対し、銀行ローンで購入しても元本部分は損金にならないので、リースのほうが節税になるなどというよくわからないことを言い出す人もいます。

リースについての法人税法上の取り扱いはその契約内容により変わります。

No.5702 リース取引についての取扱いの概要

ここでは一般的に「リース」と言われた時に該当することが多い「所有権移転外リース」について話をすると、以前と異なり、現在では実態に即し、原則としてその物件を借り手が購入したものとして、その取得費を減価償却を通じて損金にします。

当然のことながら、ローンで購入したとしてもその取得価額については減価償却により法定耐用年数を通じて損金になるので、支払った金額は最終的にすべて損金になります。

その仕組みについて、両者に違いはありません。ですから、リース自体に節税効果はありません。

ただ、所有権移転外リースについては、「リース期間定額法」というリース期間を通じて定額法により償却がされますが、法定耐用年数の70%(法定耐用年数が10年以上ならば60%)までリース期間を短縮ができますので、自分で購入するよりは減価償却を早く完了させることも可能であるというメリットはあります。

一方で、購入した時に利用できる定率法が選択できないので、利用開始初期の損金算入額は、リースのほうが小さくなることが多いというデメリットもあるのです。

(リースについては、短期前払費用の特例の適用はありません)

リース レンタル 銀行ローン
所有権 貸し手 貸し手 購入者
支払期間 法定耐用年数
よりも短め
通常短期間 概ね法定耐用年数
以内
解約・返却 原則不可
(要違約金)
可能 不可
減価償却  リース期間定額法  不可  原則定率法
総コスト 銀行ローンよりも
概ね高い
時間単価は割高 リースよりも
概ね安い

 

あえてリースを選択するメリットとは?

リースというのは、実質的には設備資金の融資と同じあり、そもそもリース会社は、銀行から融資を受けてその物件を購入し、自社の利益を上乗せしてリースをしているのですから、融資よりも資金調達コストは高くなるのが一般的です。

さらに、最近では、特に機械装置について、リース期間終了後にも継続してリースをする際に支払う再リース料が高額になってきており、想定外の出費に驚くという例も珍しくありません。

それでもあえてリースを利用するメリットはどこにあるのでしょうか?

それは、銀行ローンでは担保になりにくい機械や設備が実質的に担保として見られるということと、その設備投資に融資を利用しないことで、その分、信用保証協会の保障枠などとして融資枠を温存できる「余地がある」ということです。

(プロパーの場合、リース残も融資残として見られてしまうこともあります)

逆に言えば、それらのメリットを求めないのであれば、リースは銀行ローンで調達ができない「貧者のための高金利融資」だということをきちんと理解した上で利用をしないといけないということです。

たまに「銀行からの借金を減らす方法としてリースにすればいい」と考える人もいるようですが、特に意味が無いどころか、むしろ資金調達コストの増加につながってしまうことも多いので注意が必要です。

別に「リースなら、自分で購入をするよりも節税になったり、リスクヘッジできたり、借入金の依存度を引き下げられるようなものではない」のです。

だって、実質は、借金して設備投資しているんですからね。

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