英語と会計の「ノンネイティブ」が陥りやすい近道なようで遠回りな学習方法

写真 (1)

近道のようで遠回りな勉強法

「英語、会計、ITスキルがデキるビジネスマンの三種の神器」などと言われるためか、特に目の前の仕事で使うわけでもないのにこれらの知識を身につけようとする人は多いものです。

もちろん、それは悪いことではないのでしょうが、なにせ目の前の仕事で使うわけでもないので、
絶対に身につけなくてはならないと言う切迫感がありません。

そのため「今まで言われているやり方はダメ、この方法なら簡単に出来る」というようなテキストを買っては挫折をするを繰り返すわけですね。

私もそんな一人であるわけですが、付属高校出身のため英語が全くできなかったところから30歳を過ぎて英語の勉強をはじめ、TOEICで850を取るまでにはなったこともあります。

その過程で、100冊以上のテキストを買い、300万円以上をネイティブとの英会話などへの投資をするなどいろいろな勉強法を試してきました。

また、会計についても非常に多くの時間と労力をかけて勉強をし続けています。

中には、これが近道だと思ったものが実際には遠回りであったと後から気がついたものもあります。

そこで、今回は、英語や会計に常に触れるわけではない「ノンネイティブ」が陥りやすい近道なようで遠回りな勉強法について考えていくことにします。

スポンサードリンク

英語は構文暗記→単語力強化→興味のある英語に触れるの順番で

(1)まずは文法と構文を覚えるほうが時間短縮できる

英語の学習法に「ネイティブと友達になる」「大量の英語を聞き流す」「自分の興味のある分野の海外のドラマなどを見る」というものがあります。

それらの学習法は反面「教科書的な文法や構文の勉強など無意味」といっていることがほとんどです。

しかし、私達ノンネイティブが英語に触れるだけで習得できるようになるほど大量の英語に接するなどというのは、実際には大変なことです。

仮に海外で2年間暮らせば、なんとか日常会話には苦労しなくなるとします。その間に海外で英語に触れる時間が1日12時間と仮定すれば12時間×365日×2年=8760時間にもなります。

それだけの時間、普段英語を使わない人が英語に触れるというのは物理的には不可能ですし、できてもキツくてまず続かないでしょう。

だいたい、それくらいの期間「聞くだけ」で過ごした日本にいる外国人の日本語力は「シャチョウ、ヘネシー飲め、高いよ」程度のもののはず。

私達が海外で暮らし「聞くだけ」で習得できる英語力もおそらくそんなものでしょう。

ですから、むしろそれらの膨大な量と時間、英語に接することができないノンネイティブだからこそ枝と幹を切り分けて効率よく学習をする必要があるのです。

そして、体系的な文法や構文こそがその幹になるということです。

つまり、最初にやるべきことは文法と構文の暗記ということ。

それには中学英語教科書の音読筆写が一番ということになります。

英会話・ぜったい・音読 【標準編】—頭の中に英語回路を作る本
英会話・ぜったい・音読 【標準編】—頭の中に英語回路を作る本

実際、付属高校出身で英語の基礎がまるでない私もTOEICで600点まではこの方法で簡単に到達出来ました。

(2)英語力が伸びないボトルネックは単語力

このレベルから点数を伸ばそうとしても、いくらやっても伸びない場合、「足を引っ張っているのは単語力不足」であるとほとんどの人が診断されます。

一つの文章に知らない単語が1つであればなんとか意味を推察することができても、2つ以上知らない単語があればまず無理です。

言いたいものが固有名詞の場合、その単語を知らないと別の単語で説明しなくてはならず、そっちのほうが英語力は必要ですし。

つまり、基礎レベルを突破すると、点数は概ね単語力=英語力になります。

TOEIC Test「速効!」語法・文法ワークブック
TOEIC Test「速効!」語法・文法ワークブック

要するに、文法と構文を覚えた後にやるべきことは単語力の強化ということです。

(3)ネイティブの英語に触れて効果が出るのは、英語の土台ができてから

これらをやって英語の土台ができてから、英会話サロンをはじめとしてネイティブと会話をしたり、興味のある分野の海外ドラマを見るなどをすればきっと効果が上がるでしょう。

逆に言うと、英語の土台ができていない時点でネイティブのレッスンを受けてもその良さを吸収することができないのです。

実際、私は大学時代に1月だけホームステイをしたことがありますが、英語の土台のできていない人間にとっては、何も得るものはありませんでしたね。

つまり、英語の土台のづくりを迂回した「実践的」といわれる勉強法は近道のようで実は遠回りであるということです。

会計は複式簿記の原理→基礎データ力強化→身の回りのことを会計で理解するの順番で

(1)複式簿記の原理=英語の文法や構文

会計についても「簿記学習など経理以外のビジネスマンには時間の無駄、社長は決算書を読むことのほうが大事」などとよく言われます。そのために「決算書をたくさん読め」などとも言われます。

まさに、英語の学習と同じです。

もし、日常で会計や経理に触れることのない会計に「ノンネイティブ」の人が、会計に精通できるほど決算書に触れるというのは現実的には難しく、可能であっても、そんなことをすると本業に差し障りが出るほど膨大な時間が掛かります。

要するに、英語の聞き流しと同じように遠回りな学習方法なのです。

会計に普段触れない「会計のノンネイティブ」だからこそ、英語同様にその幹の部分であるところを最初に理解する方が遥かに効果的です。

そして、会計の幹の部分こそ、散々学習する必要がないと言われ続けた複式簿記の原理なわけです。

そもそも「簿記など学習する必要がない」という職業会計人でも、この複式簿記のロジックを理解していない人はいないのです。

儲けにつながる「会計の公式」―借金を返すと儲かるのか? (日経ビジネス人文庫)
儲けにつながる「会計の公式」―借金を返すと儲かるのか? (日経ビジネス人文庫)

この複式簿記の原理を理解し、自らの行動や会社の行為が会社の利益にどんな影響を与えるのかを思い描くのが最初の一歩なわけです。

(2)基礎データや標準値=英単語

では、このレベルからさらに会計力を高めるにはどうしたらよいでしょうか。

さて、細谷功さんが書いた「地頭力を鍛える」と言う本の中にフェルミ推定というものがでてきます。

これは、「シカゴにピアノの調律師は何人いるのか?」など一見するとその数字を把握できないようなデータを既知のデータから類推する思考法です。

このフェルミ推定のポイントは「因数分解」だといえます。

つまり、そのデータがどんな要素によって構成されているかを知ることで、どの要素を動かせば、成果(数字)につながるかを理解できるようになる会計的なセンスを磨くためにも大変効果的な思考法です。

地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」
地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」

ただ、このフェルミ推定により計算される数字の精度を上げるには、それぞれの要素の基礎データを知らなくてはいけません。

例えば、「日本に電柱は何本あるのか?」と言う質問に対して「日本の面積が約38万平方メートルだ」という基礎データがないとなかなか答えには辿り着きません。

つまり、より精度の高い数字を導き出すのは基礎データを一つでも多く身に着けていることが重要になってきます。

また、数字もそのままでは何の判断にも使うことはできません。

例えば、健康診断で「尿酸値が10mg/dL」といわれても、それがいいのか悪いのかさっぱりわかりません。

「尿酸値の標準は4-6mg/dL」ということを知ることではじめてこの人がヤバイ状態であることがわかるのです。

ですから、数字を見て的確な判断をするには、より多くの標準値を自分のものにしておくことが必要です。

つまり、この基礎データや標準値であるベンチマークの数が、その人の「数字に対する感度」の尺度になるわけです。

より「数字に強くなる」ためには、業種別の粗利益率や労働分配率、レストランの客単価や回転率など
一つでも多くの基礎データやベンチマークを覚えて、その数字が良いのか悪いのかを比較検討するということが必要なのです。

(3)イケてる会社のビジネスモデル分析やライバルの比較は会計の土台ができてからこそ

イケてる会社のビジネスモデルを分析したり、ライバル企業の決算書の比較や身の回りのことを会計で考えるのは、これらの会計の土台ができてからのほうがはるかに効果は上がります。

逆に、これらの土台部分をすっ飛ばしてそれらに取り組むのはやっぱり近道のようで遠回りな学習法だと思うのです。

使わないなら無理に勉強する必要などないのでは?

え?そんなに大変な思いはしたくないし、とりあえずは会計の勉強をしていると周りにアピールが出来ればいいですって?

そもそも、知識なんて使ってナンボ

使わなければ、いくら身につけてもあっという間に錆び付きます。

実際、私も仕事で英語を使わなかったので、完全に錆び付いています。

普段決算書を読むことなどない人は、無理に決算書の読み方など覚えるよりも、目の前の仕事で役に立つことを勉強した方がきっと自分の成長にはつながることでしょう。

そんな会計ノンネイティブが、聞かれて恥をかかないための最低限の知識を身につけたいというのであれば、この本などどうでしょう。

今さら聞くことのできない話題の会計用語の意味と使い方ついて「率直な後輩から質問された時」と「知ったかぶりの上司に話を合わせる時」に対応できるという視点でまとめています。

この本で即席「会計通」になったら、目の前の仕事で使う勉強をしてみてはいかがでしょうか。

27歳知識ゼロからの25分でわかる決算書入門
27歳知識ゼロからの25分でわかる決算書入門

9割の人が間違えている「会社のお金」無料講座公開中

「減価償却で節税しながら資産形成」
「生命保険なら積金より負担なく退職金の準備が可能」
「借金するより自己資金で投資をするほうが安全」
「人件費は売上高に関係なく発生する固定費」
「税務調査で何も指摘されないのが良い税理士」

すべて間違い。それじゃお金は残らない。
これ以上損をしたくないなら、正しい「お金の鉄則」を