緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金の概要

飲食店の時短要請の影響を受ける業界への一時支援金

年末年始にコロナ陽性者数の拡大を受けて発出された10都道府県に対する緊急事態宣言。

二回目の緊急事態宣言では、飲食店に対する20時以降の営業自粛要請と不要不急の外出・移動自粛いうピンポイントでの対策となりました。

その規制とセットで、時短要請に応じた飲食店に対しては、売上規模に関わらず一日6万円の感染防止対策協力金が支払われることになり、事業者の7割はむしろ”焼け太り”となるなど飲食業界への救済はある程度されていると言って良いでしょう。

しかし、飲食業界を主たる得意先とする周辺業種については、緊急事態宣言によって売上が大きく減っているものの何らの支援もなく窮地に陥るところも出てきています。

そこで、緊急事態宣言によって売上高が50%以上減少した中小法人・個人事業主などについては、一時支援金が支給されることとなったのです。

詳細は2月後半以降に公表される予定ですが、まずは制度の概要を理解できるよう、現時点で公表された内容をまとめてみることにします。

緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金の概要

今回の「一時支援金」は、「業種を絞ったミニ持続化給付金」といったところのようです。

給付金対象者

(1)2021年1月に発令された緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛の影響を受けた中小法人・個人事業者等

でかつ

(2)2019年比又は2020年比で、2021年の1月、2月、3月の売上が50%以上減少した事業者

これは、緊急事態宣言の発令地域の飲食店と直接・間接の取引があること、または、宣言地域における不要不急の外出・移動の自粛による直接的な影響を受けたことを指します。

それ以外の理由で売上高が減少している場合には、今回の一時金の給付対象とはなりません。

飲食店については、緊急事態宣言が発令されている地域にあることが支援の前提ですが、この一時金については、要件を満たせば、自身が必ずしも緊急事態宣言の出された地域に所在していなくても対象となることもあるのです。

具体的な業種については、次のようなものが想定されており、持続化給付金でのラフすぎる審査体制を顧みたのか、それぞれ、求められたときには提示できるよう証拠書類の「保存」(提出ではない)を要求されています。

これをみると想定される給付対象者として

飲食店と取引のある

 食肉加工・製造業者

 食器・調理器などの販売業者

 接客サービス業者

 清掃事業者

 廃棄物処理業者

主に対面で個人向けに商品・サービスを提供する事業者

 タクシー・バス・運転代行

 宿泊事業者

 文化施設・映画館・カラオケ・公衆浴場

 土産物店・雑貨店・アパレル店

 旅行代理店・イベント事業者・理美容店・クリーニング店・マッサージ店

上記の事業者へ商品・サービスを提供する事業者

 上記の業者と業務委託契約を締結しているタクシードライバー・バスガイド・イベント出演者

が挙げられており、比較的広い範囲が給付の対象となりそうです。

なお、こういう付け焼き刃の政策では、役所も正解はよくわかっていないので「支給対象になるか悩んだらとりあえず申請してみる。ダメなら向こうが却下してくるだろう」という姿勢で取り組んだほうがいいでしょう。

給付金額

給付金額については以下のような算式で求められます

 給付金額=前年又は前々年の対象期間の合計売上 ー 2021年の対象月の売上×3ヶ月

1月 2月 3月
2019年 800万円 600万円 700万円
2020年 600万円 300万円 300万円
2021年 500万円 200万円 400万円

 

例えば、上記の例では、2月の売上高について、前年の2020年2月と比較すると売上高は50%以上下落していませんが、2019年の2月と比べると50%以上下落しているため一時給付金の対象となります。

ただし、このときの給付金額は、2019年2月と2021年2月の売上高の差額の3倍ではありません。ここが持続化給付金とは異なります。

給付金額の対象となるかどうかの判定は単月で判断をしますが、給付金額の計算については、対象期間の合計売上ー対象月の売上高×3とされているのです。

この「対象期間」が何を表すのかはまだ明確ではありません。

「緊急事態宣言が出されていた日数」とも考えられますが、日割りで過年度の売上高を抽出するのは物理的に困難なため、おそらく緊急事態宣言が3月まで持続されていることを前提に「対象期間の合計売上」は2019年または2020年の1-3月の売上高合計のことを指すものと思われます。

仮に2月中に緊急事態宣言が解除されたとして、1-2月の売上高合計が対象期間の合計売上だとすると計算がおかしくなるので、緊急事態宣言の解除時期は給付金の算定に影響がないのではないかと個人的には考えます。

ですから上記の例のとおりであれば、

給付金額は

(800万円+600万円+700万円)ー200万円×3=1500万円

となる。

ただし、給付金額については、

・中小法人については最大60万円

・個人事業主等については最大30万円

までという上限の設定があります。

つまり、実際の一時支援金の金額は、上記の算式で算出された金額と上限金額のいずれか低い方の金額となるわけです。

売上高が50%以上も下落した月があれば、多くのケースで給付金額は上限金額に到達するのではないでしょうか。

申請の大まかな流れ

具体的な申請については、持続化給付金と異なり、まずは「事前確認機関」の確認を求めることになります。

この事前確認機関とは、一時支援金を誤って受給してしまうことを防ぐため、申請予定者が、①事業を実施しているのか②一時支援金の給付対象等を正しく理解しているか等を事前に確認する一定の要件を満たす第三者のことです。

事前確認機関については、上記の者の中から募集をかけ、登録が認められた者が「事前確認機関」となります。

なお、事前確認機関は、一時金の申請をしようとする事業者に対して、テレビ会議又は対面で上記の①②の事前確認をします。

ただし、日頃から事業状況を把握している会員・顧問先については電話で②のみの確認をすれば良いことになります。

ですから、税理士・会計士との顧問契約のある方はその顧問税理士等に、顧問契約がなく商工会議所等に所属している方は商工会議所等に事前確認を求めるのが良いでしょう。

いずれにも該当しない場合には、顧問契約がなくても事前確認を受け付ける「事前確認機関」を探していただくことになります。

なお、先に申し上げておきますが、当事務所は、事前確認機関となるつもりですが、顧問先以外の「事前確認」に対応する予定はございません。

一時金の申請方法

具体的な申請については、持続化給付金同様、申請用のWEBページから行います。

必要資料としては、事前確認機関が発行する「事前確認通知書」以外は、持続化給付金とほぼ同じものになりそうです。

質問事項はこちらへ

今後のスケジュールとしては、

2/22の週に、より詳細な内容が公表されるようですが、経済産業省で不明点について質問を受け付けているようです。

質問フォーム

詳細が判明次第、こちらにも追記をしていきます。

一般的なケースでの申請については3/1の週に始まるようで、まだまだ不明点も多いようですが、原則として先に申請されたものから給付されることになるはずですから、早期に資金を必要とする方はスムーズな申請ができるよう、顧問税理士と相談しながらもう資料の準備をはじめたほうが良いでしょう。

緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金の概要について|経済産業省

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