債務超過の時の自社株評価|株式会社の場合、合同会社、合名・合資会社の場合

自社株式の評価方法は原則純資産価額方式

オーナー社長の相続時には、その所有していた会社の株式についても財産評価基本通達に従い評価された金額が相続財産とされます。

その計算方法は、株主構成や所有する株式の持ち株割合等などにより大きく変わりますが、その中に「純資産価額方式」という計算要素があります。

これは、要するにその会社を解散した時の”換金価値”のことであり、資産の時価から債務の時価を差し引いて計算をします。

では、資産よりも債務の金額のほうが大きい「債務超過」の場合には、どのように相続財産に取り込まれるのでしょうか。

今回は債務超過時の会社の出資持分の評価について考えてみることにします。

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債務超過時の出資持分の評価

(1)株式会社の場合

資産より債務のほうが大きい状態が債務超過であり、所有する財産をすべて換金しても債務をすべて支払うことはできず、債務が残ってしまう状態となります。

この時の相続税評価額は株主構成や出資持分割合などによりいろいろな評価方法があるのですが、原則的な純資産価額方式では評価額は0となります。

これは、当たり前といえば当たり前なのですが、では、残ってしまった債務は、相続税の評価上どのような取扱いを受けるのでしょうか?

結論から言えば、オーナー社長とはいえ会社と個人は別人格であり、会社の債務超過分については、連帯保証していない限り遺族にも引き継がれないため、相続税の評価上、債務控除の対象とはなりません。

なお、連帯保証をしていた部分については、遺族がその保証を引き継がなくてはなりませんが、相続開始時点で確定した債務になっていないのであれば、債務控除の対象にはなりません。

(2)合同会社

合同会社は、「簡易版株式会社」のような位置づけとして捉えている人も多いでしょう。

事実、法人税法上の取扱は、株式会社も合同会社もその差はほとんどありません。

しかし、会社法上は、合同会社は、合名・合資会社とあわせて「持分会社」として整理されています。

この持分会社については、社員(株式会社の株主に相当)が死亡した場合、その身分も引き継がれず会社を「退社」したことになります。

出資持分についても、引き継がれるのではなく、原則として相続人に対して払い戻しがされることになります。

つまり、原則として、相続税上の財産額の評価については、その換金価値相当の払戻請求権として評価がされることになります。

具体的には、評価すべき持分会社の課税時期における各資産を財産評価基本通達の定めにより評価した価額の合計額から課税時期における各負債の合計額を控除した金額に、持分を乗じて計算した金額となります。

(ただし、定款で「持分について誰かが引き継ぐ旨」の引き継ぎ条項を定めることは可能です。

その場合には、株式会社の株式同様の評価がされます。)

株式会社と同様、連帯保証していない限り社員には債務は引き継がれないため、債務超過分については、債務控除の対象にはなりません。

持分会社の退社時の出資の評価|タックスアンサー

(3)合名会社・合資会社

合名・合同会社の無限責任社員が死亡した際には、その債務はすべて相続人に引き継がれます。

そのため合名・合資会社の無限責任社員が死亡た場合、債務超過分についても債務控除の対象となるのです。

合名会社等の無限責任社員の会社債務についての債務控除の適用|タックスアンサー

役員借入金はそのまま相続税法上の財産となる

会社が役員から借り入れた債務である「役員借入金」は、その自社株評価上、純資産価額評価方式では、債務として控除がされます。

しかし、個人側からすれば、会社に対する貸付金であり、そのままの金額で相続財産として評価がされてしまいます。

ですから、多額の役員借入金が計上されているために債務超過である株式会社については、その役員借入金は全額が相続財産として算入されるのに、債務超過分については切り捨てられて債務控除の対象とならないということになります。

その場合には、その役員借入金の債務免除をすることで、相続財産を減らすことは可能です。

ただし、債務を免除をされた会社はその分得をしたことになるので、債務免除益という益金が計上され法人税の課税所得となります。

多額の欠損金を抱えているものの、なんとか社長個人のお金をつぎ込むことで債務超過ながら生きながらえていたという株式会社・合同会社については、債務免除をすることで、役員借入金だけが相続財産に取り込まれてしまうといういびつな状態は解消される余地はあるのです。

あるいは、時間的な余裕があるのであれば、役員報酬額を減らす代わりにその役員借入金の返済を受けたこととすることで役員借入金の残高を減らしながら、所得税等や社会保険料の負担を軽減することも可能です。

なお、債務免除により債務超過が解消されて資産超過になり、その会社の株価が上昇するようなことがあれば、債務免除益が欠損金の範囲内であっても、その債務免除をした株主からそれ以外の株主に対して贈与が行われたとみなされるケースもあるので注意が必要でしょう。

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