税務調査でパソコン内のデータやメールも見たいと言われたら拒否できる?

税務調査でパソコンの中を見られるケースも

税務調査では会計ソフトから印字された総勘定元帳に加え、領収証や請求書などの紙資料をベースに見られることが基本です。

最近では、それに加えて、作業をしているパソコンを見せてほしい、あるいは会計ソフトで作成されたデータをUSBなどで持ち帰らせてほしいという打診が税務署員からされることがあります。

そこで、今回はこれらの電子データの提出要請にはどのように対処すればよいのかについて考えてみることにします。

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任意調査とはいえ質問や資料の提示は実質的に免れない

税務署員が税務調査を通じて質問できる法的できる根拠である「質問検査権」については、次のように定められています。

第七四条の二

国税庁、国税局若しくは税務署(以下「国税庁等」という。)又は税関の当該職員(税関の当該職員にあつては、消費税に関する調査を行う場合に限る。)は、所得税、法人税、地方法人税又は消費税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に関する帳簿書類その他の物件(税関の当該職員が行う調査にあつては、課税貨物(消費税法第二条第一項第十一号(定義)に規定する課税貨物をいう。第四号イにおいて同じ。)又はその帳簿書類その他の物件とする。)を検査し、又は当該物件(その写しを含む。次条から第七十四条の六まで(当該職員の質問検査権)において同じ。)の提示若しくは提出を求めることができる。

要するに「税務署は、税金を正しく計算するために質問をし、帳簿書類等の資料の提示もしくは提出を求めることができる」とされているということ。

では、それを納税者側が拒否をするとどうなるのか。

罰金を含めたペナルティが法律で定められていますが、それ以前に国家権力相手に拒否しても、拒否のできないより強固な手段を用いられるだけなので、任意の税務調査とは言え、税務署の求めに応じて可能な限り質問に応じて資料の提示をする必要はあると考えるのが現実的です。

会計ソフトやメールもチェックされる?

では、パソコンの中にあるファイルやメールはどうなのでしょうか?

これらも「帳簿書類その他の物件」に含まれるものとなり、必要に応じて提示や提出を求められることになります。

タックスアンサーでの質疑応答をみても

問5 提示・提出を求められた帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、どのような方法で提示・提出すればよいのでしょうか。

帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、提示については、その内容をディスプレイの画面上で調査担当者が確認し得る状態にしてお示しいただくこととなります。

一方、提出については、通常は、電磁的記録を調査担当者が確認し得る状態でプリントアウトしたものをお渡しいただくこととなります。

また、電磁的記録そのものを提出いただく必要がある場合には、調査担当者が持参した電磁的記録媒体への記録の保存(コピー)をお願いする場合もありますので、ご協力をお願いします。

(注) 提出いただいた電磁的記録については、調査終了後、確実に廃棄(消去)することとしています。

となっており、会計ソフトのデータやExcelファイル、メールなどの電磁的記録については、パソコンのディスプレイを確認の上「この内容を見せてください」と指示されることやその場でプリントアウトを求められることはあると思っておいたほうが良いです。

だからといって、税務署員も勝手にパソコンの中を検索したり、資料や電子データを持ち去るようなことはしません。

質疑応答でも「ご協力をお願いします」という記載からも、電子データそのものをごっそり提供させるのは、納税者の協力ありきであり、納税者が拒んでも電子データを徴求するからにはそれが正しい納税額の算出上不可欠であることを理解してもらう必要があることが伺えます。

税務調査手続きに関するFAQ|タックスアンサー

ですからどうしても嫌ならば、「紙で提供できるものをあえて電子データで徴求をする合理的な理由をきちんと説明して欲しい」「万一、漏洩した場合の責任を書面で明示していただきたい」と一度は”押し返す”ことはあってもよいのではないでしょうか。

まあ、そうは言っても、怪しい処理が発見され「どうしても必要」と判断されたら、言葉は丁寧でも、最終的には持っていくんですけどね。なにせ相手は国家権力ですから。

つまり、「メールを見せろ」だの「電子データを全部よこせ」だのという話は、なんら疑わしい処理が発見されていなければ断っても良いとは思いますが、いろいろグレーな要素が出てもっと調べる必要があると誰もが思う状況であれば、断れないということ。

要するに、どんなシチュエーションかによるということでしょうね。

なお、国税局管轄の税務調査の場合、特に問題がなくても、電子データで徴求されるケースも多いです。

事前に揃えておくべきデータが書面で明示されてきますので、キチンと”準備”しておけばいいじゃないですか。

こんなの全部印字しておくほうがずっと大変ですよ。

ハードディスクごと押収するわけでもなく、勝手にパソコンを見たりもしませんから。

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