会社からマイナンバーが漏れたら最悪どうなるの?
100%情報漏洩しないシステムはない
平成27年10月にいよいよマイナンバーが一人ひとりに通知され、会社は従業員やその家族のマイナンバーを徴収し安全確実に保管をしなくてはなりません。
そのためには、パソコンを操作する部屋に鍵をかけたり、ファイアーウォールを設定したりといったことも求められるようです。
ただ、国家レベルのサーバーからであっても情報が漏洩しているのに、町の中小企業で100%データ漏洩のしないシステムを構築するというのは不可能でしょう。
では、最悪の事態として、会社からマイナンバーが漏れてしまった場合、その漏洩の対象となった個人にはどんなことが起きるのかを考えてみたいと思います。
別にデータが集約されるわけではない
当初のマイナンバーの利用目的は税金と社会保障、災害関連ですが、将来は預金取引や医療機関での治療記録などにもマイナンバーが利用されるようになると言われています。
そのため、「個人に関するデータが国家によって一元管理され、もし、そのデータが流出したら大変なことになる」という意見が聞かれます。
しかし、マイナンバーが導入されたからといって、別にすべてのデータが一元管理されるわけではないのです。
データは従来通り、税金のデータは国税庁、社会保険のデータは保険協会などに保管され、仮に預金取引にもマイナンバーが付されてもデータそのものは銀行などに保管されます。
なにも霞ヶ関の地下の巨大サーバーに国民のデータがすべて管理されるということは「今のところ」はないでしょう。
なので、マイナンバー導入によって、個人のプライバシーに関わるすべてのデータが一度に漏洩するかもしれないというような話ではないわけですね。
マイナンバーは何重かのロックの一つのキー
よく調べたわけではないのですが、実際に社会保障番号などが導入されているアメリカなどでは、既になりすましによる被害がでているそう。
その内容は、社会保障番号を使って勝手に預金口座を開設をされたり、クレジットカードの利用がされていたというものだと。
あっちは、社会保障番号「のみ」で本人確認しているそうですね。
ただ、今の日本では預金口座を開設するのに厳しく身分証明が求められることを考えると単にマイナンバーが他人に知られたからといって、すぐに他人が預金口座を開設できるということは考えられません。
少なくとも、写真入りの個人番号カードを偽造したりということまでやらないと無理でしょう。
クレジットカード番号が漏れたらそりゃ悪用されるかもしれませんが、マイナンバーだけでネットで物が買えるということもありますまい。
いずれインターネット上でマイナンバーが付されたデータの確認ができるようになるとのことですが、これもマイナンバーだけで閲覧ができるはずがありません。
当然パスワードが必要ですし、電子申告のように個人番号カードをカードリーダーにかざすなどが必要になるのではないでしょうか。
印鑑証明や住民票の届け出だって、個人番号カードの提示を求められたりするはずなので、とても番号だけわかったからなにかができるということにはならない。
政府広報にも「万一流出してもチェックは厳重なので大丈夫」と書いてあります。
最悪漏れたらマイナンバーは変更できるわけですし。
要するに、マイナンバーは何重かのロックのうちの一つのキーだということ。
漏れないほうがいいのは間違いないが、最悪それ一つが漏れたとしても、他のもっと強力なロックが突破されなければそれほど実害はないでしょう。
心配されているなりすましの問題というのは、すべて銀行や役所などの「手続きの運用」の問題であり、そのチェックを強化して防げばよいのではないかと。
別に従業員の税金や社会保険の申告をするだけの企業にそこまでマイナンバー自体の保管を厳密にさせる理由にはならないはずです。
事実、法人番号は公開されます。
だからといって、預金口座が勝手に開設されたり、会社の決算内容が他人に閲覧されると考える人などいないはずです。
もちろん、プライバシーに関するデータについて、銀行や役所などは、「今までどおり」徹底的に情報漏洩しないように万全を期すべきだし、悪意で流用させるような人には厳罰を課せばよい。
国家による管理を嫌う人の「漏れたらどうするのだ!」という批判をかわすためのしわ寄せが、なぜか「漏れないための最大限の努力をマイナンバーを預かった企業に課す」というおかしな方向に向かった気がしてなりません。
覚えていますか?住基ネット
かと言って、じゃあ「マイナンバーなんて漏れたっていい」とは申しません。
Googleで検索をしてamazonやSuicaでモノを買い、なんでもT-ポイントをつけるような暮らしをして、どこからともなく毎日DMが来る中では、個人情報保護ってなんなんだと思わなくもないですが、少なくとも個人情報に敏感な人もいます。
そのマイナンバーを漏洩させておきながら「ああ、漏れたって別に大したことないですよ。ハハハ」などといえば、それこそ怒りが倍増するに違いありません。
マイナンバー=漏れたら大変という空気が世の中にできているので、万一漏れた時には社会的な信用に傷がつくことにもなるでしょう。
だからこそ、マイナンバーが漏れたところで実は、それほど大きな害はないのかもしれないけれど、今は厳重な情報漏えい対策を講じざるを得ないわけです。
ただ、住基ネットというのも、接続を断る自治体が出るなど大騒ぎになったけど、今や誰も騒いではいないでしょう。
ひょっとしたらマイナンバーに対する世間の関心も同じ道を辿るかもしれません。
いずれは「ああ、便利だね」「不正も発見されるし、いいんじゃない」となり、一生変わらないなら「腕にマイナンバーをTATOOで入れる」という若者まで。
なんてことになるかどうかはわかりませんが。
だから、「アノ騒ぎは何だったんだ」とマイナンバーに対する世の中の”空気”は変わるかもしれないので、中小企業は、今こそビジネスチャンスとばかりに煽るベンダーに躍らされることなく、情報漏えい対策投資をするなら、世の中の変化に合わせられるような形にしておいたほうが良いのではないかなと思う次第です。
ああ、プライバシーの侵害としては、年末調整の際に会社に家族構成やその年収、障がいの有無まで報告させることの方がずっとおかしいんですけどね。
家を買ったら、借金の額まで報告しなくちゃいけない。
あっちが漏れたほうがマイナンバーよりずっと嫌だろうし、漏れ無くても確実に会社の担当者には知られてしまう。
そっちは、あまり文句言う人が少ないのは、不思議です。
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