サンタンデール銀行(旧アビーインターナショナル銀行)の預金口座解約はとっても大変でした
目次
20年前に開設した口座がインターネットバンキングにロックが
「海外投資を楽しむ会」の著書「ゴミ投資家シリーズ」に触発されて、知的好奇心から20年前にイギリスの旧アビーインターナショナル銀行に預金口座を開設し、確か100万円前後(1,000USD)のお金を送金しました。
ネットバンキングも一緒に開設し、クレジットカードで日本からお金を引き出せるので、まあいつでもお金は引き出せるかと思っていたところ、サンタンデール銀行(Banco Santander, S.A.)に引き継がれた時点で、クレジットカードでの日本での引き出しは不可に。
その後も、別に不要不急のカネでもないと放っておいたのですが、私がこのまま死んだときに家族が引き出しができないと面倒かなと思い、ネットバンキング経由で預けていたお金を引き出そうとしたものの、なんと、あまりに長期間放っておいたため、口座にロックが掛かっていたのです。
おそらく、何らかの通知が来ていたのでしょうが、銀行からの手紙はほとんど読まずに捨ててましたから。
別に大した金額でもないし、そのままでも良かったのですが、このまま死んだら、引き出しもできないのに相続税の申告漏れだと言われるもの面倒だなと。
だったら、この際、口座解約をしておいたほうがいいと思ったのですが、これがメチャクチャ大変だったのです。
そこで、今回は、同じような状況の方のために、サンタンデール銀行の口座解約に必要な手続きについてまとめてみようと思います。
口座解約の手順
(1)問い合わせ窓口の発見
口座解約をしたいと言っても、時差もある上に、電話をかけたところで、ハイそうですかとは解約に応じてくれそうもない。
そもそもどこに問い合わせをすればよいのかもよくわからんという状況でしたので、これは口座解約をサポートしてくれる行政書士に依頼をしたほうがいいかなとネットで検索をしてみました。
その行政書士さんが、ひとまず、カスタマーサポートと思われるメールをいくつか引っ張ってきて、そのアドレスのどれかに当たればいいかと、口座解約をしたい旨のメールを作成して送付をしたようです。
(2)口座解約に必要な資料の送付
一応税理士なので、口座開設の際に記載した申込書のコピーはすべて保存をしてあり、それらの情報と免許証のコピーやパスポートのコピーなどをPDFにて行政書士に送付を致しました。
(3)サンタンデールから直接照会せよとの連絡
行政書士が窓口になってメールでの対応を試みたところ、本人でないと回答できないとのこと。行政書士の送ったメールを引き継いでいる旨を記載した、行政書士が作成したメールをこちらから送付いたしました。
するとこんなメールが
Thank you for your email.
Due to the nature of your query, we would need to take you through security in line with the banks procedures and guidelines on an inbound call.
Please contact us on 08000 ××, if calling from a UK landline or mobile, or +44(0)××, If calling from overseas. Lines are open from 9am to 5pm UK time, Monday to Friday (Except Wednesday when we open slightly later at 9.30am).
要するに、解約したかったら電話してこいということですね。
(4)必要資料の送付
最終的には、電話での本人確認は避けては通れないのですが、できるだけメールと郵送での対応をというお願いを。
その上で、メールに添付されてきた解約申込書に行政書士が記入をし、私は、入金を希望する日本の預金口座の英文での残高証明書や役所に行って公共料金の利用証明書などを入手します。
(5)公証人によるアポスティーユ認証
それらの必要資料を行政書士が束ねた上で、添付するパスポートの認証を受けるために、公証人役場に向かいます。その際、「その書類が日本の公的機関から認証されて発行された公文書である」ことを表す「アポスティーユ認証」というのが必要とのこと。
公証人の費用は、10,000円ちょっと掛かったかなと思います。
(6)電話での本人確認
その認証を受けた資料を行政書士が郵送したものの、音沙汰もなく2ヶ月位放置されていたので、「どうなってるのよ?」とメールをしたところ、「連絡取れないから、そっちから電話してこい」とのメールがサンタンデールから来ているのを発見。
かけ直そうと電話をしてみたところ、自動音声があまりに早くて、全く聞き取れずに、担当者につなぐためにはどこへ掛ければいいのかわからない。
メールで「もう一度かけてくれ」と言っても、「掛けたけど、出ないじゃないかと」と。全く着信履歴もないのに。
仕方がないので、「今すぐかけるから、直通でつながる電話番号を教えて」とメールをして、なんとか、担当者に電話をすることができたという。この作業だけでも、イギリスとの時差があるので大変です。
やっと電話が繋がり、いわゆる本人確認がされます。
具体的には、名前や生年月日、住所や口座にどれくらいのお金があるかなどの質問が。いくつか、何を聞かれているのかよくわからんものもありました。
ちなみに私の英語力は、30代の頃、必死に勉強してTOEIC850に。ただ、その後は、一度も仕事で使うこともなかったので、リスニング力は錆付き、今では「英語で仕事はできないが、海外旅行では、とりあえず要望は伝えられる」というレベルです。
とはいえ、対面であれば、表情を読み取ったり、身振り手振りでなんとか伝わるものの、それらの情報のない電話での応対は、海外旅行に比べて、遥かに大変でした。
(7)公証人のアポスティーユ認証を拒否
「やっと最大の難所を乗り越えた、後は待っていれば入金がされるだろう」と思っていたところ、また2ヶ月位、音沙汰なし。
「一体どうなってるの?」とメールをしたところ、こちらの用紙に記入をしろとメールが送られてきました。
それが、なんと、最初に送られてきたパスポートの認証用紙と一緒なんですわ。
「イヤイヤ、これはずっと前に出したものと一緒じゃないか」と伝えたところ、「いや、公証人をネットで知らべたけど、確認が取れなかったのでこれじゃダメだわ」と。
そんなこと一言も言って来なかったのに、督促されたので、取ってつけたような理由を。なんで、日本国が公的機関による認証だと言っているアポスティーユ認証まで取ってるのがダメなのよね。
(8)税理士によるパスポート再認証
海外からオフィスの存在の確認の確認できるWEBサイトのある弁護士、会計士などの資格者にパスポートの認証をしてもらってくれと。
ちなみに、税理士でもいいのかと確認したところそれでもOK。英語でのサイトがないといけないのかとの質問にも、別に英語で記載されていなくもOKとのことで、友人の税理士にパスポートの認証をしてもらい、そちらを再送付しました。
報酬は、「ザギンでシースー」をおごり。公証人より高いです。
(9)なぜか二度目の本人確認
そうしたら、1月ほどまた放置された上で、見たことのない海外からの電話があり、時差があり、取れずにいたら、「連絡しても、繋がらないから、そっちから電話してこい」とのメールがサンタンデールから。
また、「電話するのかよ」と思いながらもかけてみたところ、また、氏名や生年月日、住所、預金残高などという前回と同じ質問が。
なんで二回も本人確認するのよ。これって、英語のできない日本人をブロックして、解約を諦めさせようとしているのでは、との疑念を感じるくらい面倒くさいです。
ただ、今回は、入金をする銀行のSWIFTなどの情報も聞かれたので、いよいよお金を振り込んでくるんだろうなと。
(10)やっと入金
海外からの入金があると、どんなに少額でも銀行から郵便が来るのですが、またX(twitter)の収益かなと思っていたら、サンタンデールからの入金の通知が。
やっとこれで、終わったのかと思ったところ、二つあるはずの口座のうち一つしか入金がない。後からもう一つの口座の分も入金されるのかよくわからないので、「もう一個口座はあるのでは?」とメールを送ってみたところ、1週間位して、また銀行から郵便が来て、もう一つの口座の分の入金がありました。
英語が苦手な人は国外への資金移動はやめたほうがいい
当初から、半年くらいの時間をかけて、やっとの思いで、なんとか預金口座解約が完了、無事に入金となりました。
昨今の円安の影響で、トータルの入金は170万円ちょっとに。記憶が曖昧なのですが、口座開設した当時は円高で1ドル=100円前後、送付したお金は、100万円ちょっとであったはずです。
その分は、為替差益が生じているはずですが、行政書士+公証人への支払いで50万円近く掛かりました。
プロジェクトで固定料金が多い税理士とは違って、行政書士は、作業が増えれば増えるだけ費用がかかるわけで、海外に送付するメールの作成だけでも、1件につき2,500円掛かりますから。
どちらにしろ、銀行とのやり取りは、メールにしろ、電話にしろ、本人しかできませんし、メールならGoogle翻訳でも読み書きはできることがわかってきたので、途中からは、全て自分で対応して、行政書士に報告だけしても、この費用です。
フルでメールを全部を作ってもらってたら、もっと費用は必要だったと思います。サンタンデール銀行とのやり取りだけでも30件以上メールを送ってますからね。
まあ、問い合わせ窓口すらわからないところから無事に入金にたどり着いたのですから、感謝をしております。同じ機会がもう一度あれば、なんとか一人でできるでしょう。
AIで電話の音声の同時通訳ができるようになれば、もう少し簡単になるのかもしれませんが、少しは英語がわかり、海外との銀行取引などをある程度理解していても、これだけの手間とお金が掛かります。
こんなに苦労して、やっと元本分が帰ってきたということです。それもかなりの円安の恩恵を受けて。
為替相場次第では、少額の預金だと、手数料>入金額なんて悲劇もあるかもしれません。
なにか、海外には、日本にはない有利な金融商品や節税手法があるかのように思われる人も多いでしょうが、自分自身で対応ができないのであれば、その資金を取り戻すのに多額のコストも掛かりますし、仮に真っ当なサポートを受けたとしても、自分の時間はかなり取られます。
要するに、大切なお金を、自分で手綱を握れないようなところに預けちゃダメってことですわ。
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