事業廃止で休眠したのに中間申告による予定納税がやってきたらどうすればいい?
会社の事業廃止をするなら解散せずに休眠で
会社が事業を廃止し資産負債の清算をするのであれば、解散という手続きを要します。
しかし、実際には解散にはコストも手間もかかるため、資産が僅少となった会社については、税務署等に「休眠」とだけ記載した異動届を提出する「休眠」手続きを取ることが多いでしょう。
ですが、休眠をしたとしても、前期に一定金額以上の納税がされていた場合には、中間申告とその納税が税務署から求められます。
そこで、今回は、休眠後の中間申告による納税を回避するための手続きについてまとめてみることにします。
法人税等の予定納税
中間申告とは、原則として事業年度開始から6ヶ月を経過した日までを一つの計算期間として2ヶ月以内にその期間の納税額を計算して納付をすることです。
中間申告は必ずすべきものではなく、前事業年度の税額が一定額を超えた場合に必要になります。
法人税については、 前事業年度の法人税額が20万円超の場合に中間申告が必要となり、原則、その前事業年度の法人税額等の6/12 とする税額の納税することになります。
この申告をすることを「予定申告」といいます。
中間申告は、要件を満たすと解散されない限り、休眠中であっても必要となります。
事業をすでに行っていないのに、仮に後日還付されるとはいえ、税金の先払いをするのはどうにも面倒です。
では、この納税を回避するにはどうしたら良いのでしょうか?
それには「仮決算」で課税所得が0の申告書を提出するとよいのです。
実は、中間申告は、前事業年度の法人税等の6/12の額を納税をする予定申告を原則としていますが、業績が低迷したときなど、 中間申告の対象となる期間を事業年度とみなした「仮決算」を組むことで、法人税額や消費税額の中間申告額とすることも可能です。
休眠中で事業を廃止しているのであれば、課税所得は0。ですから、法人税申告書の別表1に課税所得0と記載だけ記載した申告書を提出すれば良いことになります。
地方税についても課税標準が0とした申告書を提出すれば、中間申告による納税を回避することができるのです。
なお、中間申告については、申告書を提出しないと自動的に予定申告がなされたものとされるので、無申告による無申告加算税というペナルティはありません。
ただし、予定申告に基づいた納税義務が生じるため、期日までに納税がされないと延滞税がかかることになります。
中間申告の予定申告書を出さないとどんなペナルティが課されるのか?
消費税の予定納税
消費税については、前事業年度の消費税額に応じて次のような回数の中間申告が必要になります。
前事業年度の消費税額(国税分) | 中間申告の回数 | 中間納付税額 |
48万円超400万円以下 | 年1回 | 前事業年度の税額☓6/12 |
400万円超4,800万円以下 | 年3回 | 前事業年度の税額☓3/12 |
4,800万円超 | 年11回 | 前事業年度の税額☓1/12 |
消費税についても、上記の金額による「予定申告」を原則としていますが、それぞれの期間を課税期間として消費税の納税額を計算する「仮決算」をすることも可能です。
ただ、消費税については、休眠時に提出する法人税等の「異動届」と一緒に消費税について「事業廃止届」というものを提出することで翌期以降の中間申告は必要なくなります。
もし、提出を忘れていたときには、法人税同様、消費税の納税額を0と記載した申告書を提出すればよいでしょう。
所得税の予定納税
個人についても前年の「予定納税基準額」(ザックリいうと年税額から源泉所得税を控除した金額)が15万円を超えている場合、翌年には7月と11月に「予定納税」という税金の前払いが必要になります。
しかし、すでに事業廃止をしている等で大きく税額が減ることが予想される場合、「予定納税の減額申請」をすることでこの予定納税額を減らしたり回避したりすることもできるのです。
この所得税の予定納税は、事業廃止に伴い「個人事業廃止届」を出してもなくなるわけではないので注意が必要でしょう。
そのままほうっておくとどうなるのか?
では、それらの中間申告とその納税をしないとどうなるのでしょう。
個人は放っておくというわけにはいきませんが、事務所も引き払ったような会社がなんの手続きも取らずに延滞税がどうのといわれてもどうやって徴収するのかは知らないです。
なお、法人は2期間無申告が続くと青色申告の取り消しがされます。ですが、もう事業を廃止しているのであれば、これがデメリットなのかはわからんですけどね。
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