節税・租税回避・脱税の違い|合法なのかフェアなのか

申告漏れ、所得隠し、脱税の違いってなんだ

有名芸能人などが脱税したという報道されると「申告漏れ」「所得隠し」「脱税」というキーワードが飛び交います。

ただ、これらは、マスコミの業界用語のようなもので、法的な区分ではないです。

それに、新聞記者ごとに使われ方も異なり、その線引はあいまいです。

それとは別に、税理士業界的には「節税」「租税回避行為」「脱税」というキーワードもあり、これも違いがよく変わらない。

そこで今回は、「節税」「租税回避」「脱税」を「合法」と「フェア」という2つのキーワードで独自に切り分けてみることにします。

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節税とは合法でフェアなもの

節税とは、税法が定めた複数の選択肢の中からより税負担が軽減される方式を選択することです。

そもそも税法が「Aという方法でも、Bという方法でもいいよ」と言っているのですから、どちらを選んでも合法です。

それに、その判断は法律の趣旨に則ったものなのでフェアなものだとも言えます。

具体的には、国が社会通念や政策的な配慮から税負担を軽減している退職金や設備投資に伴う税額控除や住宅ローン控除、個人事業主に対する退職金準備としての小規模企業共済、消費税の簡易課税のようなものが挙げられます。

租税回避行為は合法がアンフェア

租税回避行為とは、税法の条文には従っているものの、その選択した法形式が不自然で、節税以外に合理的な理由が見当たらない行為を言います。

東京駅から新宿駅に向かうのになぜか千葉駅を経由するようなもので、そのような不自然な行為をするのが税負担軽減以外ありえないということでしょう。

租税回避行為と言っても税法の条文には従っているので、決して違法なものではなくあくまでも合法です。しかし、「法の盲点」をつくことで、国が予定した税負担軽減効果ではないものを得ているのでアンフェアだと言えます。

具体的には、本来であれば、マンション建築に伴い支払った消費税の仕入税額控除はできないものの、自販機を設置したり、金地金の譲渡を繰り返すことで課税売上割合を不自然に引き上げ結果的にその消費税の仕入税額控除を可能にするような行為です。

これらの租税回避行為は、実行する人が増えてくると、国はその「法の盲点」を埋めるような税制改正をしてきます。

まさに、試合の途中でルールの変更をするチームを相手にサッカーをするようなものです。

脱税は合法ではなくアンフェア

脱税とは、法律で定められた本来支払うべき税額より少ない金額しか納税をしていないことです。

税法に則っていないので、合法ではありません。本来支払うべき税負担を免れているのでアンフェアでもあります。

つまり、

・節税は、合法であり、その効果を国が予定したフェアなもの

・租税回避行為は、合法であるが、その効果を国が予定していないアンフェアなもの

・脱税は、合法でもなく、アンフェアな手段で税負担を軽減したものということです。

この定義では、うっかりミスや解釈の違いから、悪意を持って申告しなかったものや偽装工作をしたものまですべて脱税ということになります。

そこで、脱税については、国から課されるペナルティによってさらに3つに区分をします。

過少申告

申告は自らしたものの、うっかりミスや見解の相違などにより、追徴課税がなされたものには、その追徴税額に応じて10%または15%の「過少申告加算税」が課されます。

なお、延滞税については、最長で1年までとされます。

無申告

申告期限内に申告をしなかった場合には、正しい税額についての申告を求められますが、その際には、追徴税額の15%または20%の「無申告加算税」が課されます。

なお、延滞税については、最長1年までとされます。

仮装隠蔽

申告はしたものの、その内容に悪意を持って仮装や隠蔽がなされたものがあるとされると、その部分の追徴税額には、35%または40%もの「重加算税」が課されます。(過少申告では35%、無申告では40%)

なお、延滞税については、最長7年までとなります。

重加算税を課すのは厳しい仮装隠蔽の認定が必要

こうみると、なぜか、完全になにもしない「無申告」よりも、悪意があるにせよちゃんと申告している「仮装隠蔽」のほうが、ペナルティは重たいことになります。

度重なる無申告で話題になった芸人さんは、申告した分について遡って重加算税を課されていますけど、実は明確な「仮装隠蔽」はなかったんじゃないかなと。

税務署も微妙な芸能人の経費の損金性について一々判断するのが面倒で、まとめて「グロス」で否認したんでしょう。

それを無申告の状況などを勘案して重加算税の対象にしたのを、本来反論の余地もあったものの、芸人さんが素直に修正申告に従ったのではないかと。

それ故、逮捕もなかったのではないかなと個人的に予想します。

実は、申告していないものを「悪意の仮装隠蔽があった」とするのは結構大変なのです。なので、無申告の重加算税40%はよほどのことがなければ課されない。

例の脳科学者さんなんて、3年間で約4億円の申告を一切せず、約1億6,000万円もの追徴課税をされているのに、逮捕どころか重加算税も課されていないですからね。

これ、相当悪質ですよ。追徴税額は、逮捕された「青汁の人」と同じくらい。

以前は自分で申告をしていたのですから、申告の必要性は十分理解していたはず。

それでも「悪意の仮装隠蔽」があったとまでは認められないということです。

一方で、本来であれば「見解の相違」で済むはずだったものも、無理やり資料を偽造するなどすると、税務署は、よろこんで「重加算税」を掛けて来ますので、そういう偽装工作は絶対にやってはいけませんよ。

青汁の人は、架空経費を計上という「仮装隠蔽」をした上、ずっと税務署に反論し続けたので、逮捕されちゃったということでしょう。

セミナー音源No.2:たかが税務調査されど税務調査