機械装置等を販売して据え付け工事をした時には、いつの収益・費用になるの?
機械装置等は据え付けをしないと動かない
機械装置等については、その機械を納品して「はい、おしまい」となることはなく、据え付けをして試運転をしないと稼働することができません。
では、これらの機械装置等を販売して納品した後、据付工事をするとして、納品と据付工事の間で決算期をまたいでしまったときには、一体いつの収益、費用にすればよいのでしょうか。
そこで、今回は、据付工事が必要な機械装置等についての収益・費用の計上時期についてまとめてみることにします。
原則は据付工事が完了した時点で計上
結論からいうと、原則として、据付工事が必要な機械装置等の取引については、その据付工事が完了した日に収益、費用があったものとされます。
また、消費税についても、据付工事が完了した日に資産の譲渡等があったものとされます。
つまり、当期末までにその機械装置等が納品をされていたとしても、当期の収益、費用とはなりません。
これは、機械装置本体の金額と据付工事の金額がきちんと明示されていたとしても同じです。
機械装置本体分だけは納品が完了ているのだからと、その分だけの収益、費用計上や消費税の仕入税額控除もできません。
また、代金の決済が当期末までに行われていたとしても、単なる前払金、前受金とされ、消費税についても認識はされないのです。
例外はあるがレアケース
原則があるということは例外もある。
では、どんなケースが例外かというと
・据え付け故事が相当規模であること
・据付工事に係る対価の額を契約その他に基づいて合理的に区分
この2つをどちらも満たすときには、機械設備等に係る販売代金の額と据付工事に係る対価の額とを区分
単に、機械装置の本体代金と据付工事代金が区分さているだけじゃダメなんです。
(据付工事)
事業者が機械設備等の販売(法第17条第1項若しくは第2項(
工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例) の規定の適用を受けるものを除く。) をしたことに伴いその据付工事を行った場合において、 その据付工事が相当の規模のものであり、 その据付工事に係る対価の額を契約その他に基づいて合理的に区分 することができるときは、 機械設備等に係る販売代金の額と据付工事に係る対価の額とを区分 して、 それぞれにつき資産の譲渡等を行ったものとすることができる (消費税
基通9-1-9)
「相当規模の工事」ってどの程度のものよというと、国税庁による法人税法基本通達の解説で次のような文言が。
プラント輸出などの場合には、いわゆるフル・ターン・キー・ベース・コントラクトとして、単に機械設備を販売するだけでなく、現地におけるその機械設備の据付工事までも一括して請け負い、据付が完成してスイッチ・オンすれば直ちに稼動できる状態にしたところで相手方に引き渡すことを内容とする契約がある。
【新設】機械設備等の販売に伴い据付工事を行った場合の収益の計上の単位
どうも想定している「相当規模の工事」とはプラントレベルのデカさのことであり、たとえ大型であっても、通常使用される機械装置ではなさそう。
やはり、据付工事の必要な機械装置等については、たとえ納品が当期末までに行われていたとしても、翌期以降に据付工事が完了したのであれば、それらの売上高計上や資産取得に伴う消費税の仕入税額控除は翌期になってからということのようです。
減価償却開始は事業供用の日で判断
なお、資産を取得した場合、減価償却を開始できるのは、資産を取得した日ではなく、「事業供用の日」とされています。
機械装置であれば、据付工事が完了し、試運転も済んで、実際に製品製造に「使用された日」ということです。
これが結構、税務調査では揉めます。
特に、特別償却や即時償却、税額控除などの租税特別措置法による優遇措置については「事業供用の日」が期限内であることが必要ですが、なんとか決算期までに納入まではしたものの、実際に製品製造には使用されていないとなると、「はい、ダメね。あーもう期限切れているわ、ごっそり追徴課税ゲットね」ということになることもあります。
「本気で中小企業の設備投資を応援する気ないだろ、単に追徴課税するための落とし穴を掘っただけじゃないのか」と思わなくもないですが、決算期末と翌期首に行われる取引は税務調査でもよく見られるので、その日付については、慎重な判断が必要ということですね。
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