借金をしたほうがよい業種・しないほうが良い業種|借金の善悪はそのビジネスモデル次第

もちろん借金なんかしないほうがいいんだけど

日本人は子供の頃から借金は悪であると教え込まれることも多く、「借金はできるだけしない。できるだけ早く返したい」と思う経営者も多いもの。

確かに、しなくてもいい借金ならばしないほうがいいのは当然です。

ただ、ビジネスモデルや業種の違いを無視し、ひとくくりにして「借金は悪である」かのように話すのは、少し議論が雑ではないかと。

そこで、今回は、業種やビジネスモデルから見た借金の善悪をまとめてみようと思います。

借金を躊躇せずにすべき業種

毎月給料を期日にもらっている人には、理解しづらいことなのですが、業種やビジネスモデルによっては、売上高を増やそうとするほどお金が足りなくなることがあります。

もちろん、通常は、売上高が増えるほど利益も増えますよ。しかし、その売上高を増やそうとすると先にお金を払わなければならないというビジネスモデルがたくさんあるのです。

卸売業

例えば、卸売業などでは、先に商品を仕入れて在庫とし、その商品を販売しても後でまとめて支払ってくれればよいという条件を提示することで、より多くの売上高を獲得しようとします。

そのためには、在庫商品の購入の代金は、売上を上げる前に支払いをする必要がある。

さらに、本来であれば納品の時点でもらうべきお金を後でまとめて払ってと「売上債権」とすることで、得意先に無利息でお金を貸し付けているのと同じことをしているわけです。

反対に仕入先から「仕入債務」相当額について、無利息で借り入れをしているのと同じですから、卸売業者は得意先に対して「売上債権+在庫ー仕入債務」分だけ資金を立替え払いをしていることになります。

この商取引から生じる立替資金のことを「運転資金」といいます。

売上高が増えるほど、用意しておく在庫は多くなりますし、得意先への無利息貸付である売上債権も多くなります。

つまり、卸売業では、売上高が増えるほど、一時的に立て替えるべきお金が増えていくのです。

これを「融資に頼らず、自己資金で」というと、立て替えられる金額に制限があるため、結果的に売上高を伸ばすことができません。

製造業・請負業・ソフトウエア開発業

製造業では、まず先に原材料を購入し、それを加工した上で製品にした上で、その製品を納入しても、代金はすぐに受け取れず売上債権として後日入金がされます。

ですから、製造業や請負業でも同様に立替資金である「運転資金」が生じます。

また、製造業などでは、製品製造などのための機械装置を購入する必要がありますが、それらは高額であり、すぐにその資金を回収することが出来ません。

長期間の時間を掛けてやっとその期間の利益で投資資金を回収することになります。

同様にソフトウエア開発業でも、その製品のリリースまで長時間を要し、それまで開発費用の支払いが先行します。

ですから、これらの製造業やソフトウエア開発業ではこの設備投資などを賄う借金である「設備資金」を必要とするのです。

この設備投資のお金についても、借金をしないということになれば、いつまでも製品が作れず売上も上がらないという堂々巡りになってしまうでしょう。

なお、製造業や請負業に関わらず、サービス業であっても、新規のオフィスを借りる際に多額の保証金が必要であるなど、長期に渡って回収される資金需要がある際には借り入れを必要とすることもあるでしょう。

これらを、自己資金で賄おうとすると、新たなオフィスに転居できないので、人材を確保できず、売上高が今以上に増えないから自己資金が思うように貯まらないという堂々巡りになるのです。

不動産賃貸業

不動産を取得し賃貸をするという不動産賃貸業では、不動産がなければ事業のはじめようがありません。

不動産そのものの利回りは他の業種に比べるとさほど高くはない。それを借金によるレバレッジを掛けることで自己資金の利回りを上げるというのが一般的な投資手法でしょう。

その取得資金を「できるだけ頭金が多いほうがいい。できればすべて自己資金で」ということに固執すると、いつまでも、不動産を取得することができず、その家賃収入を得ることができないのです。

通信販売業

エンドユーザー向けの小売業は、通常はその場でお金をもらうことができるので、在庫資金は必要なものの、売上が増えれば資金繰りはラクになるということが多いです。

しかし、通信販売業、特にリピート性の高い健康食品や化粧品などを企画生産販売する場合には、売上を増やそうとするほど資金が足りなくなるということが多々あります。

というのも、これらの最初の商品を売るための「一件当たりの広告費」(CPO=Cost Per Order)は、商品の販売価格の2-3倍もかかることが多いです。

なぜ広告費がそんなにかかっても儲かるのかというと、「既存顧客に販売するための広告費は、新規顧客に販売するための広告費の1/6程度に落ちる」と言われており、これらの商材の原価率が概ね××(自粛)%であることを考えると、リピート購入率が高くなれば、その広告費を余裕で回収することができるのです。

ですから、商品の反応がよく、売上が見込めそうだということになるとより多くの広告費がかかるため、一時的に多くの資金が必要になる。

それを広告費は自己資金の範囲内でしかかけないとするならば、せっかく”大量の魚が泳いでいるのをみているのに網を投げることができない”ことになり、多くの「儲け損ない」を生じることになるのです。

アフィリエイト企業

成果報酬型の広告サイトを運営するアフィリエイト企業では、その記事制作には事前に多額の費用がかかります。

また、そのサイトを認知させるまでには時間がかかるため、当初はより多くの広告費も必要であり、その収支は当初大赤字で、その後に回収されて利益を生み出すのが一般的な資金構造だと言えます。

その当初に多額の資金を”燃やす”覚悟とその資金を用意できることが、他者の進出を防ぐ参入障壁を築くことになるわけです。

ですから、それらの初期費用をできるだけ掛けずに自己資金で賄おうというのは、結果的に厳しい競争の中でしか戦うことができないということになるのです。

お金がボトルネックであるなら借金に躊躇しないほうがいい

「自己資金にこだわわるがゆえに売上高も利益も上がらない」という堂々巡りをしている会社にとって、今より利益を上げようとしたときの一番弱い部分、つまり、ボトルネックは「お金が足りない」ということです。

どんな企業も、他の要素をいくら改善したところで「ボトルネック」の制約以上の成果は出ません。

ですから、ビジネスモデル的に「あー、お金さえあればもっと売上を伸ばし成長できるのにな」という会社は、躊躇せず借金をしたほうがいいということ。

こういう会社は、節税なんかしないで、できるだけ融資の余力を高めるような行為をしたほうが、結果的にずっと多くお金を残すことになるのです。

一方で、仮にお金を借りたところで、そのお金が売上増加に直結しない会社であれば、その融資は単なる無駄遣いの温床になるだけということ。

例えば、一人でやっている税理士が借金をしたところで、そのお金が売上増加に直結することはまずないです。

逆に売上を増やすのにお金もさほど要らないし、お金が売上を増やすボトルネックにもなっていない。

仮に作業をアウトソーシングする先が足りないということが、売上高を増やすことに対するボトルネックであれば、そこをまずは改善すべきです。

そんな人が借金をしても、そのお金は、分不相応なオフィスの維持費に消えたり、売上不足の赤字や野放図な生活費の穴埋めに使うだけではないかと。

そういうビジネスモデルの会社であれば、「借金は悪だ。できるだけ早く返したほうがいい」と言って間違いないでしょう。

なので、うちに借金はないです。借金が必要になる理由がわからんです。

かっこよく言えばそういう金銭的に有利なビジネスモデルを徹底的に選び続けて「無敵の会社」を作ったということ。

まあ、それだけなんのチャレンジもしていないということなんですけどね。

要するに、借金の善悪は、その使いみちによるということ。だから、金融機関も「返済ができるのか」と同じくらい、「何に使うのか」を重視するということなのです。

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