代表者の保証がなくても融資?経営者保証に関するガイドラインってなに?

■連帯保証は悪なのか?
主たる債務者が借金の返済ができない場合に、別の人がその返済を保証するのが保証制度であり、
主たる債務者とほぼ同じ地位でその負担を背負わなくてはいけないのが連帯保証制度です。
非上場企業では、ほとんどの場合、経営者は会社に対する融資について連帯保証をしています。
そのため、会社が倒産した場合には、その経営者が多額の借金を背負ってしまうために、
再起を図りづらいとか思い切ったチャレンジができないのだという意見もあります。
中には「連帯保証なんて制度があるのは日本だけ、日本の恥だ」などと過激なことを
おっしゃる某学者さんがいたりもしましたが、どうも諸外国にも連帯保証制度はあるようですし、
少なくとも融資に関しては一定の意義はあると私は思っています。
一律で連帯保証を禁止してしまったら、貸す側としては利率を上げざるを得ず、
経営者が連帯保証をすることを厭わない会社の資金調達コストまで上がってしまうでしょうから。
そんな中で、中小企業庁と金融庁の関与の下、日本商工会議所と全国銀行協会により
「経営者保証に関するガイドライン」が作成されました。
今回は、その内容を確認していくことにしましょう。

スポンサードリンク




■現状での経営者保証が不要な融資
今のところ、経営者の連帯保証を求めない融資には、それぞれ日本政策金融公庫が実施している
新規開業者向けの新創業融資制度(国民生活事業)
  *経営者保証を付すことで金利の軽減することの選択も可
 
中小企業向けの小企業経営改善貸付(国民生活事業)
中堅企業向けの保証人特例制度(中小企業事業)
ベンチャー企業向けの挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)(中小企業事業)
あたりしかありません。
■経営者保証に関するガイドラインの概要
(1)目的と位置づけ
このガイドラインの目的は、既に書いたように、中小企業の成長促進に役立つ
合理的な保証契約の在り方を考えるというものであり、法的な強制力はないが
経営者側、金融機関側双方の自主的な遵守が期待されたものです。
(2)対象となる保証契約
・主たる債務者が中小企業
・保証人が個人で原則としてその企業の経営者
・主たる債務者と保証人双方が弁済について誠実で、債権者の求めに応じた対処をしている
ことが対象とされています。
(3)経営者保証に依存しない融資の促進のための努力
<経営者側>
・主たる債務者側は、法人個人間の資金のやりとりを社会通念を逸脱したものにせず、
 法人と個人の一体性の解消に務める
・主たる債務者は、財務状況及び経営成績の改善を通じた返済能力の
 向上等により信用力を強化する
・外部専門家を活用して正確かつ丁寧に信頼性の高い情報を開示・説明
 することにより、経営の透明性を確保する
<金融機関側>
・金利の一定の上乗せ等の経営者保証の機能を代替する
 融資手法のメニューの充実を図る
・企業側が経営者保証を必要としない融資を求める際には、
 主たる債務者の経営状況、資金使途、回収可能性等を総合的に判断して、
 経営者保証を求めない可能性を検討する
・途中で、経営者保証を取らざるを得なくなった時には、
 その必要性等を丁寧かつ具体的に説明をする
・形式的に保証金額=融資金額としないで、保証人や主たる債務者の資産及び収入の状況等や
 適時適切な情報開示姿勢等を総合的に勘案して設定する
ということが求められています。
(4)保証債務の整理
実際に会社が倒産し、経営者が保証債務を履行せざるを得なくなった場合にも
早期の事業再生に寄与するなど債権者にも一定の経済的なメリットがあれば、
従来の現金99万円等に加えて、一定の生活費や華美でない自宅も
「手許に残しても良い資産」に含めることも検討するとされています。
■経営者保証に依存しない融資の道の第一歩
要するに、法人個人の一体性を解消し、透明性のある事業計画などの
情報を積極的に開示している中小企業者が、経営者保証のない融資を求めるのであれば、
金融機関も経営者保証のない融資について積極的に組むことを検討すべしとのようです。
(検討するだけで、融資するとは言ってません)
ただ、実際に保証債務が履行される際に、保証人の手許に残しても良い財産の拡大は
かなりハードルは高そうで、現実にどこまで金融機関が譲歩をするかは不透明です。
中小企業の融資について、原則として経営者保証が求められることは変わりありませんが、
このカイドライン設定により、企業側の取り組み次第によっては、
経営者保証のない融資の道も開かれるという第一歩になるかもしれませんね。
経営者保証に関するガイドライン

インフィードモバイル

9割の人が間違えている「会社のお金」無料講座公開中

「減価償却で節税しながら資産形成」
「生命保険なら積金より負担なく退職金の準備が可能」
「借金するより自己資金で投資をするほうが安全」
「人件費は売上高に関係なく発生する固定費」
「税務調査で何も指摘されないのが良い税理士」

すべて間違い。それじゃお金は残らない。
これ以上損をしたくないなら、正しい「お金の鉄則」を