新型コロナ対応融資、まとめてもらった利子補給金・保証料補助の課税関係

新型コロナ対応の緊急融資で各種の支援が

令和2年度に新型コロナ感染症緊急融資が政府系金融機関と民間金融機関+信用保証協会でなされました。

これらの緊急融資では、融資の基準が緩和されただけではなく、利子補給、信用保証料補助によって実質的に無利息の融資とされたものがあります。

そこで、今回は、これらの新型コロナ緊急融資でなされた利子補給や信用保証料補助の課税関係についてまとめてみることにします。

利子補給金の課税時期

新型コロナウイルス感染症特別利子補給制度に係る利子補給金は、各種の助成金同様収益となります。

その収益計上時期については、対象となる融資に係る支払利子の発生に合わせて、その発生する支払利子相当額を収益の額として計上することとなります。

法人税の所得計算では、収入についての収益計上時期については、「収入すべき権利が確定した日」となります。

ですから、収入について、返済することがないことが確定した日でその全額を収益に計上することになります。

今回の特別利子補給制度は、最大3年間の支払利子相当額をまとめて給付します。そうなると、その交付が決定した日にまとめて収益計上をすべきなのかということになる。

しかし、この制度は、要件を満たす融資について、一旦正規の利息を支払うもののその全額を補給することで実質無利息での融資を実現するもので、融資契約の変更等により利子相当額が変動した場合には、その利子補給の金額も変動して精算がされます。

その点からすると、3年分まとめての利子補給は、単なる仮払いであり、3年経過後に実際に支払った利子相当額により利子補給額が確定することになる。

つまり、特別利子補給制度においては、利子補給額に係る収入を受ける権利は、3年経過後まで確定してないといえます。

一方で、支払利息は時の経過に応じて発生していますが、3年経過後まで収益を計上しないと収益と費用のバランスが崩れることになる。

費用収益対応の原則からも、そもそもの趣旨が実質利息融資の実現であることからも、支払利息と利子補給金の同額を収益に計上することでその事業年度の損益をプラスマイナス0にします。

なお、会計処理については、交付を受けた利子補給金の額を一旦前受金等として計上し、支払利子の費用処理に合わせて、その支払利子相当額を前受金等から雑収入などに振り替えることとなります。

新型コロナ感染症特別利子補給制度に係る利子補給金の収益計上時期|タックスアンサー

保証料補助の課税時期

民間金融機関を通じた融資では、連帯保証人や物的担保が用意できない中小企業などについて、その保証をしてくれる信用保証協会の保証をつけることを求められることがあります。

今回の民間金融機関を通じた新型コロナ特別融資についても、民間金融機関がそのリスクをすべて負うことはできないため、信用保証協会の利用は必須となっています。

信用保証協会の保証を利用する場合、一定の保証料の支払いが必要ですが、今回の融資では、その全額ないし一定金額を国が補助してくれるのです。

では、この信用保証料の補助について、会社は経済的な利益を受けることになりますが、課税関係はどうなるのでしょうか?

まず、信用保証料は保証期間分の全額を最初にまとめて支払います。会計処理については、その全額を支出時の損金に計上することはできず、一旦長期前払費用などの科目で計上しておいたものを保証期間の経過に応じて月割で損金に算入します。

今回の保証料補助については、信用保証協会に支払う保証料を国が直接支払うこととなりますので、法人が支払う保証料は生じません。

そのため、法人において特段の会計処理を行う必要はありません。

その経済的な利益についても、あえて一旦全額を収益に計上する必要はありません。

この制度では、保証料の半額を補助する場合もあります。

この時には、保証料の額の半分を国が支払い、残額を法人が信用保証協会に支払うこととなります。

この場合の会計処理は、その支払った保証料の額(半額相当)を長期前払費用などとして一旦計上しておき、保証期間の経過に応じて、対応する保証料の額を支払手数料などに振り替えることとなります。

民間金融機関による実質無利子・無担保融資により受給した保証料補助に関する収益計上時期の取扱い|タックスアンサー

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