辞めてはじめてわかる会社のありがたみ

個人的には独立して良かったのだが

私は、26歳の時に「俺ならどこの事務所でも雇うはず」と思い上がり、勢いで勤務先を辞めてしまったところ、「あんたみたいな人は、うちの顧客を持っていくから怖くて雇えない」と次々に言われて転職に失敗し、「強制独立開業」となった割には、25年近く倒産することなく事務所運営を続けられています。

独立してよかったかと聞かれれば、「そりゃ良かったよ」と言えるのですが、それも、なんとか事業を継続できているからであり、組織に属している人を「社畜」と揶揄して、「誰でも彼でも」独立・起業を煽るようなつもりは全くないです。

「起業して失敗したっていくらでも雇ってくれるところはある」などというのは、とてつもなく優秀なごく少数の人の話。大抵の人は、一度会社をやめたらまず同じポジションになど戻れるはずもありません。

「独立してよかった、早く独立起業すべき」という意見は、「独立起業して成功した人」から発せられるものであり、まさに典型的な「生存バイアス」。

それに「こんなはずじゃなかった、会社に残ってればよかった」というのは自分の人生の決断を全否定するものですから、そう思っていながらもなかなか素直に言えるわけもなく、私だって独立当初は、不安に震えながらも、聞かれもしないのに「とにかく独立してよかった」と言い続けてましたから。

きっと、「本当は独立して後悔している」という表に出ない阿鼻叫喚の声がフリーランスの世界には渦巻いているのはないでしょうか。

独立する人は、所属する組織に不満があってのことでしょうが、辞めてみて、初めて会社のありがたみを痛感するものです。

そこで、今回は、「辞めてみて初めてわかるであろう会社のありがたみ」という話をしてみようと思います。

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辞めてみないとわからない会社の良さ

会社の看板で仕事ができる

「今の仕事ができているのは会社の看板があってのこと?そんなことはわかっている」

そう思っている人が多いのではないでしょうか。

ところが、実際には、「あなたが思っているレベルじゃなく」世の中は厳しいのです。

私も独立前は、20代前半の若造のくせに銀行に行くと「先生、お待ちしてました」なんて対応がされたのが、辞めた途端、会社設立のための資本金を預けに行って断られましたから。お金貸してくれじゃなくてお金預けさせてと言って断られるとは。

会社で大きな仕事をしていた人ほど、辞めて初めて、思っていた以上に自分は会社の看板で仕事をしていたんだなと痛感させられるはずです。

高度で規模の大きな仕事ができる

大きな仕事をするのには、その仕事を依頼され遂行できるだけの”インフラ”である信用や組織力が必要です。

組織の中で、高度であったり、規模が大きい仕事をしていても、独立してすぐそのような仕事に就けることはまずありません。

私も、大手会計事務所に属していたときは、事業規模が大きな会社や富裕層向けの「節税コンサルティング」と称する法の盲点をつくような不動産や生命保険販売しかしておらず、「申告なんて”街の税理士”がやる仕事」などと思ってまして。

今じゃ、独立して25年経ってもすべての申告書を自分で作る”街の税理士”です。やっている仕事の中身は大きく変わりました。

自分の目の前の仕事に集中できる

独立起業する理由の一つに「やりたくない仕事ではなく好きな仕事だけしたい」ということがあるでしょう。

確かに、組織にいたら、好き嫌いに関わらず、割り振られた仕事に従事するしかありません。

その点、独立をすれば、自分が好きで得意な分野を事業領域とする選択肢はあります。

しかし、仕事として顧客からお金をもらうとなると、セールス・マーケティング→オペレション→バックオフィスという一連の業務をしなくてはなりません。

全体のパフォーマンスは最も弱いボトルネック以上には絶対に上がらない。「チェーンは一番弱いところで切れる」のです。

いくら、マーケティングが得意でもオペレーションやバックオフィスがグダグダでは顧客をさばききれなかったり、不平不満が募るだけです。

ですから、独立起業をすれば、好き嫌いに関わらず、まずはすべての仕事を自分でこなさなくてはなりません。

あなたが目の前の仕事に専念できるのは、それ以外の業務をこなしてくれる組織というインフラがあってのことなのです。

与えられた仕事をこなすとお金がもらえる

会社に勤めていると、完全歩合制でない限り、割り当てられた仕事に従事をすれば、その時間に応じて給料は支払われます。

しかし、独立起業をすると、時間制で請求する業務以外、どれだけの時間を割いたか、どれだけ努力をしたかなどということは全くと言ってよいほど評価されません。

そもそも、独立起業をしたら、やるべき仕事自体が必ずしも得られるわけではないのです。

山のような仕事を割り当てられるのが辛くて独立してみた結果、「やるべき仕事が当たり前のようにあるって素敵なことなのね」と気がつくはずです。

入金がなくても踏み倒されてもお金がもらえる

独立起業後は、単に売上を上げただけではお金はもらえません。売り上げたあときちんと回収されて初めてお金になる。

その回収には時間がかかる上に、一定割合でまず間違いなく回収不能が生じます。

組織に属していたときには、仮に踏み倒されたところで相手の悪口の一つでも言っていればいいですが、独立起業後は、お金ももらえないのに外注先にはお金を支払わねばならず、最悪自分も資金ショートで連鎖倒産ということもあり得るのです。

失敗しても損害を負担しなくてもよい

組織に属していると、いくら仕事で成果を上げたところで賞与や昇進で考慮されるだけ。独立起業後は、その成果をすべて享受できるのは魅力です。

仕事で成果を上げてきた人にとって、それが独立起業への大きな動機となるでしょう。

しかし、組織にいて企画した仕事が失敗に終わったところで、その損失を負担せよとは言われないはず。

ですが、独立起業後は、企画した仕事が失敗すれば、その損失は全て自分が負わなくてはいけない。うっかりミスや納期遅れであっても、その金銭的なペナルティがあれば、自らが全て負わなくてはならないのです。

活動経費の負担をしなくてもよい

「サラリーマンは自営業者と違って所得はガラス張り。必要経費になる余地が大きい自営業者のほうが税金上は有利」などと言われます。

確かに、すべての必要経費算入が捕捉されているとはいえず、その面がないとは言えません。

しかし、一方で、サラリーマンの必要経費って何よ?ということも。

通勤交通費から会社での業務に必要な資材はすべて会社負担で支給されているのではないですか。

研修会だって、会社の負担で業務時間中にお金をもらっていけるんですよ。

それが、独立起業後は、移動のための費用はもちろん、仕事をするための資材は自腹で用意が必要。研修には自分で費用を払って参加、当然その時間のお金をくれるお客様などいません。

この他にも、辞めてみて初めてわかる会社のありがたみってたくさんありますよ。

独立起業直後は、社会的に信用がないからクレジットカードも作りにくかったり、フリーランスは、住宅ローンだってずっと条件は厳しいです。

会社なら病気やケガで休んでもスグにクビになることもなく、なんとか仕事をフォローしてくれる仲間もいるのではないでしょうか。

フリーランスには、定年退職はないと言われますが、自分のパフォーマンスが落ちてお客様から選ばれなくなれば、その時が実質的な定年・引退ですから。人によっては、勤め人より定年・引退の時期がずっと早いかもしれません。

それでも「できる人」には独立したほうがいいよと伝えたい

それでも、「独立したほうがよい人」には「やる気があるなら、早く辞めろ、今スグ独立しろ」と言っています。

26歳で独立したからわかりますが、何もできない私にお客様が期待してくれたのはその若さによるところが大きいのです。

独立までに時間を掛けるなら、その若さという魅力を失う以上に成長をしなくちゃいけない。

でも、その成長スピード自体が、組織にいた時と独立後では3倍位違うのです。

だって、自分の名前で顧客を取るためには、知らないことも脇汗びっちょりかきながら「もちろん、得意です」と言って、仕事を取らなくちゃいけない。

「やったことないですが、がんばります!」なんて言って誰が依頼してくれるのかと。

ミスをしても責任をとってくれる組織もないし、そりゃ、必死に勉強するので一気に成長するのも当然です。

人生も投資と一緒。ハイリターンを求めるならその分リスクは取らないと。リスクを取りたくないのであればローリターンに甘んじるしかない。

だから、本人がハイリスクを望んでいないのであれば、独立起業を勧めるつもりはないです。

それに、組織で一目置かれるくらい成果を上げていない人にも。それがないなら、もっと厳しい評価のされるフリーランスはまず無理です。

私が「独立したほうがいいよ」というのは、私がその人なら独立したほうがずっと成果を上げられると思っているから。そう言わないときは、そう思っていないんだなと思ってください。

たまに、こっちは言った覚えがないのに、「吉澤さんが、『お前なら独立してもやっていける』と言ったから独立した」とか言い出す人もいますけどね。

それでも、独立して上手く行っちゃったから、まあ、結果オーライです。

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