【FAQ】個人に支払う報酬や外注費に消費税はつけるの?つけないの?

個人に報酬や外注費を支払う場合、消費税はつけて支払うの?

結論から申し上げれば、個人に報酬や外注費を支払う場合には、消費税に相当する金額を上乗せして支払う必要があります。

何度もいただくご質問なので、もう一度ここで説明をしておきます。

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事業者は消費税の負担者ではない

さて、その理由を消費税の仕組みそのものの説明からはじめてみます。

まず、税金は「直接税」「間接税」という分け方がされることがあります。

これは、税金を負担する人から直接的に納税がされるのが「直接税」税金を負担する人から別の人を経て間接的に納税がされるのが「間接税」ということです。

消費税は、「間接税」と言われています。

つまり、納税義務者(申告・納付をする人)と税負担者(税金を負担する人)がイコールではないのです。

反対に、「直接税」の例として法人税や所得税が挙げられますが、こちらは、それらの納税義務者と税金負担者はイコールです。

つまり、事業者にとって消費税というのは、消費税の申告・納付はしているものの、その税金は自分の懐を痛めたものではないということ。

税負担者である最終消費者から集めたお金を代理で支払っているようなもので、事業者は負担をしていないのです。

その消費税の申告とは、売上などとともに預かった消費税額からその売上を獲得するための経費とともに支払った消費税額を精算する作業なのです。

ですから、支払った消費税額の方が預かった消費税額よりも多い時には、その差額については事業者に還付がされることもあるわけです。

免税業者には消費税をつけて支払う必要などない?

そこで疑問が浮かぶのは「小さな規模の売上高しかない個人事業者であれば、消費税の納税義務はないはず。だったら、その人に消費税を乗せて支払う必要はないのでは?」ということです。

これは、個人に限らず、一定の法人であっても、消費税の納税義務はないことがあります。

その場合、消費税を支払う側からすると「うちが支払った消費税が相手の懐に入ってしまうのはおかしい。だったら、うちは消費税を支払わなくてもいいのではないか」という気がするのでしょうね。

しかし、その個人事業者がその報酬を得るためには、他の人への外注費や電気代、ガス代などの諸経費の支出をしているはずです。

これらの経費にも消費税が付加された上で支出がされています。

もし、この個人事業者が自分が受け取る報酬について消費税分の受取りをしない場合、これらの経費に伴う消費税を負担することになってしまいます。

それでは、「事業者は消費税の負担をしない」と言う原則に反してしまいます。

一方で、消費税を乗せて支払った事業者が納税する金額は、相手方の消費税の納税義務にかかわらず、
預かった消費税額からその消費税額だけ余計に差し引くのでその分減ることになり、自分の懐が痛むわけではありません。

免税事業者や消費者から仕入れたとき|タックスアンサー

まとめると、相手が免税事業者でも、消費税の課税対象となる支出については、消費税を上乗せして支払う必要があるということ。

自分は消費税を控除しておきながら、「どうせ相手は免税事業者だから」と支払先に消費税の上乗せをしないということは、単純にその消費税額だけ報酬を勝手に値引きをしたということに過ぎないのです。

もちろん両者が納得の上、当初から「税込金額で◯◯円」と定めたのであれば、それは問題ありません。

しかし、税込金額で報酬を支払っていた先に対し、消費税の税率が上がったのにそのままの金額で支払っていた会社については、増額分の消費税額が不払いだとして、実際に名前を公表されるペナルティが課されているのです。

相手が免税事業者だからといって税込で報酬を支払っている会社は公正取引委員会に消費税不払いだと名前を公表されないよう注意しましょう

その支払った人が、納税義務がなく手許に消費税額が残ってしまうことは、税の公平の点からして制度上の問題はあるにしても、それは別の問題でしょう。

それなのに、未だに原稿料やセミナー講師料について、支払口座登録をする際の用紙に「消費税:有・無」みたいな記入欄があるのをみるとゲンナリします。

もう、導入されてから30年近くも経つのに、この会社の経理部門は大丈夫なのかと。

さらに、それが、税金の本を作ったこともある会社だったりすると脱力感で倒れそうになります。

インボイス方式に変わると免税事業者が自腹で消費税を負担に

なお、この消費税控除のルールが、平成35年導入予定の「インボイス方式」により大きく変わります。

「インボイス」に記載された金額だけが消費税の控除対象となり、免税事業者はこのインボイスを発行できません。

結果的に、免税事業者は消費税分を上乗せしてもらうことができず、経費等について支払う消費税を「自腹で負担」しなくてはならなくなるのです。

軽減税率導入によるインボイス必須化は消費税導入以来最大の改正である

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