創業資金は自己資金で賄った方がいいの?借入をした方がいいの?って言ったってねえ。ーなぜ、創業1年未満と1年経過後ではあんなに融資のハードルの高さに差があるの?

■自分のリスクでやるのか?他人のリスクでやるのか?
新しい市場を切り開くようなビジネスモデルでの
創業をするのであれば、
その資金は出資で賄うと良いでしょう。
というのも、当たれば一気に成長も見込めますが、
芽が出る確率が非常に低いため、
知恵を出し汗をかく代わりに、リスクはそのビジネスモデルに
魅力を感じた人に取ってもらったほうが合理的ですから。
しかし、既に市場に認知をされた「◯◯屋」「◯◯業」と
一言で説明のできるような事業での「独立」の場合、
その資金は自己資金であれ、借入であれ、
自分でリスクを取ったほうが良いでしょう。
というのも、市場を作り出すビジネスよりはリスクは小さく、
成長の幅もある程度既存の事例から予測できるビジネスを
わざわざ他人に会社の一部を売るような出資で
やる必要もない上に、ビジネスに魅力を感じて出資に
応じてくれる出資者もそれほど多くはないからです。
ということで、今回は、既存の事業での独立に際し、
創業に必要な資金は、自己資金で賄うべきか、
借入をすべきかについてお話をしてみます。

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■創業1年未満と1年後では融資のハードルがまるで違う
個人事業であれ法人設立であれ、創業してから1年間の
無担保融資というのは非常にハードルが高いものです。
しかし、創業して1年間を経過すると
「あの大変さは何だったのだ」と
思うほど無担保での融資の道が開かれます。
例えば、地元中小企業の振興という目的のために
自治体が低利で無担保など有利な融資条件を定める
制度融資というものが実施されています。
中には、売上高が下がっていても、
利息や保証料を全額補助するなど、
とんでもなく有利なものまであります。
これらは、その目的に照らし、ほんの少額でもよいので
利益に対する納税をしていれば、
まるでそれが入場チケットのように
極めて有利な融資が民間金融機関によるプロパー融資
では考えられないほど高い確率で実施されます。
また、制度融資以外でも無担保での有利を可能にする
信用保証制度についても、創業後1年経過後から
一気に利用できる道が開けてきます。
加えて、日本政策金融公庫による
小企業経営改善資金(マル経資金)も
創業して1年以上経過し、商工会議所での6ヶ月以上の
経営指導実績があり推薦が受けられれば、
低利で無担保無保証人による融資が
非常に高い確率で実行されるのです。
■創業1年未満の事業者向けの融資もあると言えばある
もちろん、新規創業者に対する融資制度
も実施はされています。
例えば、日本政策金融公庫が実施する新創業融資制度。
その制度の申し込みの条件としては、
新たに雇用を創出したり、現在勤務している企業と
同種の事業で独立する場合に
6年以上勤務実績があるなどに加えて、
創業資金総額の1/3以上の自己資金を確認できる
ことなどが必要であると定められています。
この条件だけでも、勢いだけの独立ではダメで、
きちんと事前の準備をしてからの独立であることが
必要であることがわかります。
新創業融資制度
なお、この新創業支援融資の利用実績は、
平成21年度の9,900件、22年度の8,695件、
23年度の7,128件と減り続けています。
新創業支援融資の利用実績の推移
一年に開業するのが約15万社であるということからすると、
その利用率は約5%。
開業する人の全員が融資の申し込みをするわけ
ではないですが、仮に申し込み条件を満たしていたとしても
融資のハードルとしては、かなり高いと
覚悟しておくことが必要です。
もっとはっきりと言うと、この制度自体、
日本政策金融公庫としては積極的にやりたくない。
しかし、行政改革の議論の中で
「日本政策金融公庫は要らない」と言われることに
「いやいや、民間金融機関が融資をしない創業者
への無担保融資をしているので役に立っているでしょ?」
というアピールのために渋々やっているものだ
と個人的には思っています。
というもの、民間金融機関では融資に
躊躇しがちな女性や高齢者などのために
優遇した融資を実施する「女性、若者/シニア起業家資金」に
女性経営者が申し込みをした時にも、
散々融資を引き伸ばされた上に
「御社の本当の姿勢を理解していなくてすみませんでした。
今後はお客様には民間の金融機関を推薦させて頂きます」と
慇懃無礼に断りを入れたところ、やっと融資に応じたものの
「連帯保証人が女性だと不安なので男性に変えてくれ」
などと言われるなど、ひとっつも本気で女性を応援して
いないと思い知らされたこともありましたもので。
新創業融資制度の利用者が減ってきているもの、
行政改革議論が収まりつつあった民主党政権時代で
あるというのはきっと単なる偶然でしょうが。
このほかにも、自治体の制度融資に創業1年未満の
事業者向けの融資はありますが、
こちらも、創業1年以上の事業者向け融資とは、
まるで別物と思っておいた方がよいでしょう。
■なんでそんなに創業1年未満と1年後で違いがあるの?
なぜ、そんなに創業直後と1年経過後では
融資のハードルに違いがあるのでしょうか?
それは創業して1年未満の倒産率が非常に高いからです。
それらを同じ保険である「信用保証制度」に
入れてしまうことは、スカイダイビングや
レーサーを同じ保険に入れるようなものなので、
リスクの高い創業1年未満の事業者を
除外しているわけです。
また、無担保で無保証人で融資を簡単に実行してしまうと
「頭にヤのつく自由業」の人たちが、
会社を作っては融資を受けて会社をつぶし
融資金をくすねてしまうということが横行してしまいます。
(実際に、創業者向けの助成金は、散々この被害に
あってから無駄に提出書類が多くなりました。
お粗末ですよね)
要するに、創業時の資金を自己資金でやった方がよいか、
借り入れでやった方がよいかと聞かれても、
そもそも無担保じゃ融資を受けること
自体が大変なんですよ。
ですから、まずは、創業時の設備投資がどうしても
避けようがないものかを検討してみてください。
飲食業や美容業など、どうやっても多額の設備投資が
必要なものは、自分で貯蓄をするなり親戚縁者から
お金をかき集めて開業するか、ハードルは高くとも
創業者向けの融資制度にかけるかしかないと思います。
ちなみに厳しいと言われる日本政策金融公庫の
新創業融資制度も、元々飲食業と美容業向けに設立された
環境衛生公庫が日本政策金融公庫に統合された名残りなのか、
他の業種よりも比較的融資が実行される
確率は高い気がしています。
(具体的なデータはなく、あくまでも私の感触です)
いずれにしても「サラリーマンが一念発起して
ラーメン屋を始めたい」というような創業では、
無担保だとどこの金融機関も相手にしない
ことだけは間違いありません。
それ以外の製造業なども多額の設備投資が
避けられないようにも思えます。
しかし、これらの事業は、まずは自前の工場を持たない
「ファブレス経営」で始めることも視野に入れます。
つまり、得意先から受注をもらい、仕様に従った
製品製造を別の工場に発注をすることによる
受注生産を行うということです。
これで1年間の実績をつけてから、
自前での設備投資を融資により実施するのです。
他の業種についても、まずは自己資金で1年間なんとか
持ちこたえるビジネスモデルから入って、
1年経過後に融資を受けられる体制を作る
というのが現実的ということではないでしょうか。
つまり、
・創業に際し、どうしても自前での設備投資は避けられない
 →自分で資金を集めるか、ハードルは高くとも
創業者向けの融資制度にかけてみる
・設備投資は必要だが、当初は他人に制作等を依頼も可能
 →1年間は、他人の軒先を借りてでも資金の必要のない
ビジネスモデルで実績を積む
ということになるでしょう。
金融機関も無駄に融資のハードルをあげている
わけではありません。
お金を貸さなくてはビジネスが成り立たないのですから。
過去の実績から考えて、生存率の高い仕事の仕組みを
チョイスしているだけです。
新しい市場を作り出すビジネスモデルや技術を編み出し、
ダメでもまたいくらでもチャレンジをできる
ような人でない同業からの独立を目指す人が
自らの生存率を高めたいのであれば、
そんな経験則に従った仕事の仕組みの変遷を経た
成長の仕方をしてみるのもよいかもしれませんね。

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