税務調査の”寝技”と”立技”

確定申告時期になぜかの税務調査Week

以前、私が書籍や事務所サイト、ブログに書いた税務調査についての記述を「大いにご参考にして頂いている」と思われるサイトを発見したので、また税務調査ネタを書いてみようと思います。

世の中、全く同じフレーズなどを偶然いくつも思いつく人がいるようですね。

なお、先に言っておきますが、12月以降に打診された税務調査を「うちは確定申告終わってるけど他はどこも立ち会い断るだろうからこの時期でどうよ」と全部延期していたら一週間に3社被ってしまい、調査立ち会いの最中とうとう何もやる仕事がなくなったから書いたものなので大して役に立ちません。

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税務調査の”立技”

税務調査と言うのは、「攻める税務署」と「守る税理士」との”陣取り合戦”のようなものです。

その戦いは、販売や仕入れに係る一連の帳票から、税務署員が見つけた税務上誤っていると思われる処理について本来の処理に修正するよう求めてくることから始まります。

しかし、守るべき税理士は、「税務署の主張する法律解釈自体に誤りがある」という「法律解釈レベル」での反論や「税務署が考える事実が現実とは異なる」という「事実認定レベル」での反論をします。

その際には、契約書等を精査し、条文や通達の解説、過去の判例などを駆使して、お互いが「自らの考えこそ正しい」と主張しあう、まさに殴り合いともいう”立技”での戦いだといえます。

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税務調査の”寝技”

税務処理については、すべての事象について税法で明確な線引きができるわけではないので、常に白とも黒とも言えるグレーゾーンが生じます。

税務署はそれを黒だといい、税理士は白だというわけですが、実際には、調査の最中、税理士も知らされていなかった事実が出てくることもあります。

中には、グレーと言ってもかなり濃い目の”チャコールグレー”だったりと。「これはいくら逆光にしても白には見えないなあ」なんて。

そうなると税理士としては、立技できれいに一撃をくらい、膝をついてしまったような状態になります。

というか、後ろからセコンドに後頭部をぶん殴られたかのような心境です。

ボクシングならここでダウンですが、税務調査は”総合格闘技”。

まだ”寝技”が残っているのです。

ありとあらゆる屁理屈、いや”若干論理的には飛躍はあるものの新しい視点での婉曲的な理論”でとにかく税務署の猛攻をしのいでしのいでしのぎまくります。

マウントを取られた状態から「きれいに三角絞めで逆転」というわけにはいきませんが、とにかく税務署の体力を奪い、可能なかぎりの譲歩を引き出すのです。

「結局いくらなら修正してくれるんですか?」などと、最初に議論してた法解釈や事実認定は一体なんだったのだという話になりがちですが、指摘された事項のうち「取り戻しが効くもの」と「取り戻しが効かないもの」、さらに「いつ取り戻せるか」などを考慮しながら、税務署に攻め込まれて奪われた陣地をどれだけ多く回復するかを考える。

というのは、税理士もしんどいので、できるだけそういう状況に追い込まれないようにして頂きたい。

税理士も好きで寝技に持ち込んでるわけじゃないです。ホントはいつもかっこよく立技で戦いたいのですよ。

ああ、”真っ黒”なのは、どうにもかばいようがなく戦意喪失するので論外です。

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