関係会社間の業務委託費について税務調査で否認されないためにやっておきたい事前準備

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関係会社間取引は税務調査でよく見られる

Youtubeでもお馴染みの院長が率いる大手美容クリニックグループが、62億円の”所得隠し”を税務調査で指摘をされたとのこと。

追徴課税額は、過少申告加算税と重加算税を含めて12億円に上るとのことです。

報道によると、個人的な経費の付け込みもあるものの、いわゆるMS法人への仕入れや経費の支払が水増しされているとの指摘が大きいようで。

同じオーナーが所有する会社間や親子会社間など関係会社間の取引は、所得の平準化による節税効果などを狙った利益操作に用いられやすいので、税務調査ではかなり厳しく見られます。

業務委託費について「経営指導料として月額100万円」なんていう大雑把なものでは、その支出を否認され、時には両社で課税されるという”往復ビンタ”になることもあるのです。

そこで今回は、そうならないようには、事前に何をしておけばよいのかという話しをしてみます。

委託した内容の詳細とそれぞれの報酬額を契約書で明示する

「経営指導料として月額◯◯円」というような具体的に何を委託したのかがよくわからないものや報酬額の計算根拠が不明な支出について税務署もそれを認めるようなわけにはいきません。

最低限、支払う報酬額がどんな業務をそれぞれいくらで委託したものであるのかを契約書等で明示する必要があります。

金額の算定根拠を明示する

もちろん、契約書でその金額を明示したとしてもその報酬額に妥当性がなければ、やっぱりダメなわけです。

では、具体的に報酬額はどのように決めればよいのでしょうか?

有力な根拠の一つは「第三者に依頼した場合にいくら掛かるのか」というものだと思います。

ですから、まずは、「経営指導料」というザックリとしたものではなく、依頼する業務を具体的に細かく区分けし、それぞれの業務について第三者に依頼した場合に支払うであろう金額を積み上げた契約書を作成する必要があるのです。

理想は、その業務を受託する会社が、第三者からも仕事を受任していること。

その価格を斟酌して決めれば、もうそれ以上、税務署がなにかいってくることはまずありません。

業務を履行した実態を明らかにする

契約書さえ作れば、それでOKというわけではありません。

受託者側がその契約書に定めた業務をきちんと履行したことを証明しなくてはなりません。

その業務を関係会社自身で行ったのであればその業務日報のような記録や、他社に再委託したのであれば、その契約書や支出の事実がなければならないわけです。

特にコンサルティング報酬のような形の残りにくいものは、第三者への支払いであっても、そのミーティングのメモやら、そのコンサルティングによる成果物を求められます。

それだけ、架空の請求書を発行して支払いをしたのちに、その資金を支払者に還流させる「B勘行為」というのが、横行しているのです。

その業務を受託した関係会社に、全くその業務を履行する人材もいないし、他社に依頼した事実もなく、単に契約書や請求書を作成して支出をしただけでは、架空経費の計上として否認されても致し方ないでしょう。

想定される質問の回答を書面で準備をしておく

本来、自社内で行えばよい業務をあえて関係会社に委託するには相応の理由が必要です。

税務調査でも、関係会社間取引については、「なぜ、わざわざ別会社に依頼したの?」「その金額の算定根拠は?」「業務を遂行した成果物はあるの?」という3点セットがそろっていないと、否認されてしまうことになります。

関係会社が存在することは、なぜか税務署も把握していて、関係会社間の取引については、ほぼ100%その内容について聞かれます。

ですから、これらについて、うまく説明する自信がないというのであれば、どうせ聞かれるのですから、税務調査で聞かれた際に、いつでも提出できるよう、上記の3点セットを書面にまとめておきましょう。

ここでどれだけ説得力のある説明ができるかが税理士の力量だともいえます。

何も指摘のされない申告をすることは誰にでもできますが、税務署との陣取り合戦の中でより多くの”陣地”を奪うには、指摘されるぐらい”踏み込んだ”上で、その指摘を”押し戻す”だけの知恵と胆力が必要なのです。

いずれにせよ、税務調査というのは、ドラマのように「スカッと税務署を黙らせた」というような理論的に正しいことで勝てるのであればがよいですが、なにせ、より多くの”陣地”を奪おうとグレーゾーンに踏み込んでますから。

税務署が「なんだか利益操作の匂いはするが、ああ言えばこう言うので、更正を打つのは手間がかかって面倒だからもういい」と諦めるような論拠と資料は揃えておきたいものです。

どちらも黒字の会社で、決算期に利益の上がっている会社から別の関係会社に「ちゃんと請求書を作って、お金を実際に払えばそれで損金になる」と思い込んでいる中小企業の社長が多すぎる。

それは、水増しした架空経費計上として、重加算税の対象となるのです。

だからこそ、税務調査では、この関係会社間取引があると、それだけを狙い撃ちしたかのような税務調査が行われるわけです。

「そんなことは、言われなくてもわかっている」というものの、実際には、ちゃんとやるのは最初だけ。

徐々に脇が甘くなり、テキトーな理由をつけてお金を関係会社に送るようになったころを見計らって、税務署は税務調査に来るものなんですよ。

*グループ法人税制の話はややこしいので、また別の機会にいたします。

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