テレワーク移行による通勤交通費と通信費等の補助としての在宅勤務手当の課税関係

コロナ自粛からテレワークに移行も

新型コロナウィルスによる緊急事態宣言をきっかけにして、通勤を回避するため出社をせずに自宅で仕事をするテレワーク(在宅勤務)が一気に進展しました。

テレワークが許される会社でも、完全に通勤がゼロとなるケースはそれほど多くはなく、全社の出社率を想定し、それを実現するために、交代で出社と在宅勤務を繰り返すことが多いようです。

テレワークのおかげで、従来よりも通信費や光熱費がかさむ従業員も多いとのことで、その費用負担を会社がするケースも。

では、それらの実費相当額を給与に上乗せして支給をする「在宅勤務手当」は、給与課税の対象になるのでしょうか?また在宅勤務で実際には通勤をしていないのに支給をされる「通勤手当」の課税関係はどうなるのか?

そこで、今回は、テレワーク下で支払われる手当の課税関係についてまとめてみることにします。

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通勤手当は実費弁償が原則

通勤に伴う交通費は、通勤手当として本給に加算して支給がされたとしても、その通勤手当については原則として所得とはならず原則として所得税等は非課税です。

しかし、それはあくまでも、実際に通勤に要したお金であることが必要です。

そのため、電車やバスなど公共交通機関を利用した通勤の場合には、その定期代のコピーを保存することなどにより実際にその通勤手当が通勤に要するものに使われたことを証明する必要があるのです。

では、テレワークにより実際に通勤をしていない場合にはどうなるのでしょう。

そもそも、定期券はまとめて購入をすることで料金の割引をされているものです。

仮に、一定期間や月のうち数日、テレワークがなされて通勤を要していないとしても、まとめてその期間の自由に利用できる権利を購入するほうがコストが安いというのであれば、あえて定期代を購入する経済合理的な理由にもなります。

ですから、テレワークが導入されたとしても、会社が定期代を購入してもらったほうがコスト削減ができるような多くのケースでは、その通勤手当が給与課税の対象となることはないと考えます。

通信費や光熱費の補助

在宅勤務をすることで会社で勤務をしていたときよりもオンラインミーティングなどのための通信費や水道光熱費などがかかるようになって大変だと言う話をよく聞きます。

そのため、会社がこれらの費用をひっくるめて「在宅勤務手当」として給与に上乗せして支給をするケースが増えてきています。

では、この在宅勤務手当については、給与としての課税がされるのでしょうか?

結論から言うと、精算を要しない一律の「渡し切り支給」であれば、給与課税の対象となるのが手当支給の原則ですから、在宅勤務手当であったとしても給与として課税がなされるものと考えます。

しかし、在宅勤務手当はもらったものの、実際に会社の業務で使った金額であることを証明すればその分は実費弁償として給与課税はしなくても良いことになります。

具体的には、一例として在宅勤務前の平均的な通信費や光熱費の金額を算出し、在宅勤務時の通信費や光熱費との差額を業務の用途での実費とするという方法が考えられます。

この実費相当額が在宅勤務手当を上回れば、在宅勤務手当に給与課税はされないことにはなるでしょう。

なお、これらの手当については、給与課税の対象になるか否かに関わらず、社会保険料の計算の対象となります。

「こんな面倒なことまでする必要があるのか」という気もしますが、従業員からの源泉徴収については、あとからもらいづらいものですので、慎重な対応をしたいものですね。

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