【令和6年度】せめてここだけ!年末調整で必要な扶養控除等申告書などの書き方と記載例
目次
令和6年度の年末調整について
主たる給与の支給者(会社)は、その従業員から扶養控除等申告書、配偶者控除等申告書、保険料控除等申告書の提出をしてもらいます。
本来、扶養控除等申告書はその年の最初の給与の支給までに提出されるべきものなのですが、中小企業の場合には、保険料等控除申告書、配偶者控除等申告書と一緒に年末調整時に提出をしてもらうことが多いのではないでしょうか。
今回は扶養控除等申告書など年末調整時に提出すべき申告書の記載のポイントを記しておくことにします。
令和6年度については、定額減税という大きな変更点があります。
顧問税理士としては、「最低限度ここだけは間違えずに記載をしてほしい」というところをまとめてみました。
なお、申告書などの書き方については、最終的には年末調整ソフトにより処理をするための「インプットシート」として従業員にご記入をお願いすることを前提としております。
扶養控除等申告書の記載方法
対象者は、この会社から支給される給与が「主たる給与」である人です。(一箇所しか出せません)
本人の住所氏名欄
給与の支給を受ける本人の氏名、生年月日、住所を記入します。
なお、マイナンバー(個人番号)は後で説明する措置を取れば記入を省略できます。
それ以外の欄は記載がなくても影響はないです。
主たる給与から控除を受ける欄
・源泉控除対象配偶者欄について
「あなたの本年中の合計所得金額」が900万円(給与収入のみなら1,095万円)以下であり、配偶者の合計所得金額が95万円(給与収入のみなら150万円)以下である場合には、その配偶者の氏名、生年月日、令和6年中の所得の見積額を記入してください。
*この源泉控除対象配偶者は年末調整には直接関係はないです。毎月の源泉徴収税額の算出のみに関係があるので、わかりにくければ記載を省略しても構いません。(配偶者の氏名、生年月日は配偶者控除申告書に記載をお忘れなく)
なお、「合計所得金額」とは、それぞれの所得を合計した金額ですが、収入が給与のみであれば、給与収入金額ー給与所得控除の金額となります。
この合計所得金額は、この扶養控除等申告書を記載している時点では正確な金額がわからないので、概算の合計所得金額を「所得の見積額」に記入してください。
給与収入金額 | 給与所得控除額 | |
---|---|---|
1,625,000円 以下 | 550,000円 | |
1,625,000円超 | 1,800,000円以下 | 収入金額×40%ー100,000円 |
1,800,000円超 | 3,600,000円以下 | 収入金額×30%+80,000円 |
3,600,000円超 | 6,600,000円以下 | 収入金額×20%+440,000円 |
6,600,000円超 | 10,000,000円以下 | 収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,000円超 | 1,950,000円(上限) |
・控除対象扶養親族欄について
合計所得金額が48万円以下(給与収入ならば103万円以下)の16歳以上の子供や親などを扶養している場合、その者の氏名、生年月日を記入してください。
なお、扶養されている者について、次の区分により、それぞれチェックボックスに✓を入れてください。
- 扶養している者が自分又は配偶者の父母や祖父母で、その年の12月31日現在70歳以上であり同居をしている場合|「同居老親等」
- 扶養している者が自分の親族でその年の12月31日現在で16歳以上23歳未満である場合|「特定扶養親族」
- それ以外|「その他」
・障害者、寡婦、ひとり親、勤労学生欄について
本人に障害のある方は、「特別障害者」(一級・二級)と「一般障害者」(その他)の区分に応じ✓を記入してください。
「同一生計配偶者」(合計所得金額48万円以下、給与なら103万円以下)に障害がある場合には、「一般障害者」「特別障害者」「同居特別障害者」(特別障害者のうち常に同居している)の区分に応じ✓を記入してください。
控除対象扶養親族に障害がある場合には、「一般障害者」「特別障害者」「同居特別障害者」(特別障害者のうち常に同居している)の区分に応じ✓をした上でそれぞれの人数を( )に記入してください。
「寡婦」とは、納税者本人が次に該当する人のうち、令和6年度の所得の見積額が500万円以下であり、事実婚をしていない人のこと(以下の「ひとり親」に該当する人を除きます)
- 夫と離婚した後婚姻をしていない人で扶養親族を有する人
- 夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない人
「ひとり親」とは、納税者本人が、次のすべてに該当する人のうち、令和6年中の所得の見積額が 500 万円以下、かつ、その所得者と事実婚をしていない人
- 現に婚姻をしていない人又は配偶者の生死が明らかでない人
- その所得者と生計を一にする総所得金額等の見積額が48万円以下の子を有する人
それぞれどれかに該当する場合、チェックボックスに✓をしてください。
住民税に関する事項
16歳未満の扶養親族は所得税の扶養控除の対象とはなりませんが、住民税の非課税判定など税額計算に影響があるため、こちらに氏名、生年月日、住所を記入してください。
なお、16歳未満であっても定額減税の対象になるので、忘れずに記載してください。
給与所得者の扶養控除等申告書(令和6年度)入力用|タックスアンサー
給与所得者の扶養控除等申告書(令和6年度)記載例|タックスアンサー
扶養控除等申告書にマイナンバー記載を省略するには
次の要件を満たすことで、扶養控除等申告書へのマイナンバー記載を省略できます。
・会社と従業員の間で合意がある
・従業員が扶養控除申告書の余白に「個人番号については給与支払者に提出済みの個人番号と相違ない旨」を記載する
・会社が「既に提供を受けている個人番号と確認した旨」を記載する
年末調整ソフトでこれらの印字の選択できる機能がついていると思いますので、扶養控除等申告書にはマイナンバーは記載せず、別途マイナンバーを「手書きで一覧にして金庫」に保管などしておけばよいでしょう。
<参考>
給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書兼所得金額調整控除申告書の記載方法
定額減税があるため、「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書兼所得金額調整控除申告書」に変更がされました。
控除対象の配偶者がいない方でも、給与所得とそれ以外の所得をあわせた合計所得金額が2,400万円を超える見込みの場合には記載をしてください。
控除対象の配偶者のいない「上記以外の方」は、この申告書の記載は不要です。
本人の氏名
システムで管理できるため本来記載は不要ですが、他人のものと混在することを避けるために念のため記載をしてください。
基礎控除申告書
給与をもらっている会社が複数ある場合には、(1)の「収入金額」に、その給与収入の合計金額を記入してください。
給与以外の所得(例えば不動産所得)などがある場合には、(2)の「所得金額」に、その所得金額の合計金額(収入金額ー必要経費)を記入してください。
一社からの給与のみしかない場合には、自動で計算がされるため記入は不要です。
なお、本人の定額減税の適用の有無はここで記載をしますが、年末調整システムで基礎控除同様自動で計算がされます。
配偶者控除等申告書
あなたの合計所得金額が1,000万円(給与ならば1,195万円)以下であり、配偶者の合計所得金額の見積額が133万円(給与ならば201万円)以下の場合には、「給与所得者の配偶者控除等申告書」の記載が必要です。
まずは、配偶者氏名と生年月日を記入してください。
それ以外の場合、配偶者控除等申告書への記載は必要ありません。
配偶者が給与所得しかない場合、(1)の「収入金額」に、配偶者の給与収入の合計金額を記入してください。
配偶者が、給与以外の所得(例えば不動産所得)などがある場合には、(2)の「所得金額」に、その所得金額の合計金額(収入金額ー必要経費)を記入してください。
なお、配偶者が定額減税の適用の有無は、ここで記載をしますが、年末調整システムで基礎控除同様自動で計算がされます。
所得金額調整控除申告書
年末調整の対象となる給与収入が850万円超で扶養すべき親族(合計所得金額が48万円以下、給与収入のみであれば103万円以下)に特別障害者がいる場合には、「特別該当者に該当する事実」の欄に「障害の状態又は障害の等級」をご記入ください。(扶養控除等申告書に記載した場合には不要です)
それ以外の場合、扶養控除等申告書に正しく記載がされていれば、年末調整ソフトが自動で計算をするのでこの「所得金額調整控除申告書」への記入は不要です。
給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書(令和6年度)入力用|タックスアンサー
給与所得者の基礎控除申告書・給与所得者の配偶者控除等申告書・所得金額調整控除申告書の記載例(令和6年度)記載例|タックスアンサー
保険料控除等申告書
生命保険料、地震保険料、長期傷害保険料のほか小規模企業共済や確定拠出年金、国民年金、国民年金基金などの掛金を支払っている場合には、こちらの保険料控除等申告書への記入をしてください。
本人の氏名
システムで管理できるため本来記載は不要ですが、他人のものと混在することを避けるために念のため記載をしてください。
生命保険料控除
保険会社から送付されてきた生命保険料控除証明書をみて、「新旧の区分」「保険料の金額」をそれぞれ「一般の生命保険料」「介護保険料」「個人年金保険料」に分けて記入をしてください。
年金保険契約であっても、必ずしも「個人年金保険料」であるとは限らず「一般の生命保険料」であることも多々あります。必ず生命保険料控除証明書の(一般用)(個人年金用)の区別をご確認ください。
地震保険料控除
保険会社から送付されてきた保険料控除証明書をみて、「地震保険・旧長期の区分」「保険料の金額」を記入をしてください。
社会保険料控除
本人や生計を一にする扶養親族等の国民年金や国民健康保険料、介護保険料などを負担した場合には、「支払った保険料の金額」を記入してください。
なお、扶養親族であっても、公的年金から差し引かれた介護保険料等は、あなたが直接負担したわけではないので対象となりません。
小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済などの掛金を支払った場合には、その「年間の掛金額」を記入してください。小規模企業共済掛金証明書に記載された金額は、発行日までの払込金額ですので、今年の掛金合計額を計算してください。
なお、いわゆる「イデコ」に加入をした場合には、「個人型年金」欄に記入をしてください。
給与所得者の保険料控除申告書(令和6年度)入力用|タックスアンサー
給与所得者の保険料控除申告書(令和6年度)記載例|タックスアンサー
迅速に年末調整作業を行うためにも、正確なご記入をお願いいたします。
なお、こちらで年末調整の仕方や申告書の記載方法について動画で解説されています。結構よく出来ていますよ。
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