ドローン・レンタル節税封じ込めの対象外となる貸付けの範囲

少額減価償却資産の即時償却等の規制

令和4年度の税理士改正により一定の貸付のように供した資産については、少額減価償却資産の即時償却が適用されないことになりました。

これは、ドローンや足場、LEDなどの1つあたりの単価は少額な商材を大量に購入し損金に算入することで支出時の事業年度の税負担を軽減した上で、貸付に供することでその投下した資金を回収するという節税を封じ込めるためのものです。

ただ、すべての貸付の用に供される少額減価償却資産について即時償却を認めないとなると、節税などするつもりのなかったレンタル事業者が大きな影響を受けてしまいます。

そのため、「主要な事業として行われるの貸付け」については、規制の対象外となったのです。

そこで、今回は、貸付用の少額減価償却資産の即時償却規制の対象外となる「主要な事業として行われる貸付け」とはどんなものなのかを整理しようと思います。

少額減価償却資産は即時償却が可能

その使用可能期間が1年を超える減価償却資産については、支出時に損金算入に全額損金算入は出来ず、その法定耐用年数に渡って減価償却により損金に算入しなくてはいけません。

しかし、一定金額未満のいわゆる「少額減価償却資産」については、支出時に全額損金算入することが可能です。

(1)10万円未満または耐用年数1年未満

一つあたりの取得価額が10万円未満の減価償却資産やその使用可能期間が1年未満の減価償却資産については、支出時に全額を損金算入することが可能です。

(2)10万円以上30万円未満

青色申告法人である中小企業者又は農業協同組合等で、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人が一つあたりの取得価額が10万円以上30万円の減価償却資産を取得した場合、支出時に全額損金算入することが可能です。

しかし、適用を受ける事業年度における少額減価償却資産の取得価額の合計額は、年換算で300万円までとされています。

即時償却が可能になるレンタル商材

いくら支出時に損金算入できたとしても、事業に不必要な商材を購入するのは単なる無駄遣いです。

あえてそれらの支出をするのは、後日その投資額が回収できるからでしょう。そのためには、自分でその商材を使用し売上を上げるか、それが出来ないのであれば、その少額減価償却資産を商材としてレンタルする事業を行うことが考えられます。

そうすることで、支出時にはその取得価額を全額損金算入することで利益を減らし納税を回避しながら、後日レンタル料金と売却代金によってその取得価額分の資金を回収するのです。

そのときに、最近節税商品として用いられる少額減価償却資産には次のようなものがあります。

(1)足場

足場とは、建設現場で、高所作業をする作業員の拠点となる構造物のこと。

一般的にはパイプや丸太などを組み上げて足場を組んでいきます。

これらの足場を購入し、そのままレンタル事業者に貸与し、レンタル事業者は建築会社などにサブリースをします。

貸与期間中は、レンタル事業者からレンタル料を受け取り、後日足場を売却して売却代金をもらいます。

(2)LED

LEDとは、白色の発光ダイオードによる電球であり、耐久性や省電力の観点から白熱灯や蛍光灯よりも優れているとされています。

このLEDを購入し、そのままレンタル事業者に貸与し、レンタル事業者は病院などにサブリースをします。

貸与期間中は、レンタル事業者からレンタル料を受け取り、後日LEDを売却して売却代金をもらいます。

(3)ドローン

ドローンとは無人で遠隔操作や自動制御が可能な小型の航空機のことです。

ドローンは、搭載したカメラで撮影をするだけでなく、農薬の散布などに利用することも可能です。

このドローンを購入し、そのままレンタル事業者に貸与し、レンタル事業者は農家などにサブリースをします。

貸与期間中は、レンタル事業者からレンタル料を受け取り、後日ドローンを売却して売却代金をもらいます。

要するに、レンタル事業者が一括借上げをすることをパッケージにしてこれらの節税商品の販売をしているということですね。

なので、実際には長期利用ができるためレンタル可能な一組で10万円未満の商材だったら何だっていいわけです。

少額減価償却資産のレンタル事業で突発的に生じた利益を消し去る節税対策のリアルな効果

ドローン・レンタル節税のキモは社長へ簿価での売却

ドローンレンタル節税は、確かに、少額減価償却資産を好きなだけ買って(一つ10万円未満であれば)好きなだけ損金算入できるとなれば、思わぬ形で利益が出たが来期以降の業績は不透明という社長にとっては魅力的です。

しかし、そのお金をレンタル料として回収したときには、全額が益金として課税がされるので、仮に支出額と同じ額のレンタル料をもらったとすれば、税金の額はプラスマイナスゼロで特に節税効果はありません。

ただ、実は、ドローン・レンタル節税はもう少し別の利用方法がされています。

具体的には、一旦会社で購入したこれらの少額減価償却資産を会社で即時償却をした後に、低廉な価格で社長に譲渡をし、社長がレンタル料をもらう。レンタル料が事業所得となれば青色申告特別控除の範囲内は実質無税ということを狙っていたようです。

そのため、令和4年4月1日以降取得された「貸付の用に供する資産」については、次の特例の対象外とされたのです。

・少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度

・一括償却資産の損金算入制度

・中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入特例

これにより、会社での即時損金算入もできず、社長への売却価額も償却後の簿価としなくてはならないため、ドローンレンタル節税は封じ込められることになったわけです。

「主要な事業として行われる貸付け」とは

これでは、節税対策などしていない本業がレンタル事業者についても規制の影響を受けてしまうため、「主要な事業として行われる貸付け」については規制の対象外、つまり、従来どおり、少額減価償却資産の即時償却などが認められることにされているのです。

では、具体的にどのような貸付けについては、「主要な事業として行われる貸付け」として、即時償却が可能になるのでしょうか?

「通常の事業活動等の中で行う貸付け」は即時償却OK

その具体的な例については、週刊税務通信3701号に記載がありました。

まず、節税・租税回避等を目的に行う貸付け以外の貸付け、つまり、「通常の事業活動等の中で行う貸付け」については、「主要な事業として行われる貸付け」に該当し、各種制度の即時償却は可能ということ。

少なくともレンタル事業者は従来どおりレンタル商材を購入したとしても、それらが要件を満たせば即時償却は可能ということでしょう。

このほか、

・子会社に資金がないので、親会社が資産を購入し、その資産を子会社に貸し付けるケース

・下請け企業等の取引先に工具等を貸し付けるケース

・通常の事業活動等の中で資産を貸し付けるケース

・不動産賃貸業者等が賃貸物件等に付随して家具等を貸し付けるケース

などについても、「通常の事業活動等の中で行う貸付け」に該当し、各種制度の即時償却は可能ということです。

節税・租税回避等を目的としているの判定基準は?

何をもって「節税・租税回避等を目的としている」と判定するのかはよくわかりませんが、一つの目安として、

資産の貸付け後に譲渡人等がその資産を買い取り、またはその資産を第三者に買い取らせることをあっせんする旨の契約が締結されている場合で、

・その賃借料と買取価額の合計額が取得価額のおおむね90%超の場合における貸付けは、「主要な事業として行われる貸付け」に該当しないとされています。

まあ、そうなると、ギリギリ90%の賃借料となる節税商品が開発されそうですけどね。

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