会社と喧嘩してやめたので源泉徴収票がもらえない|源泉徴収票の不交付届の実効性

年の中途で退職したら源泉徴収票が必要に

年末まで在職していれば、会社で年末調整は可能ですが、年の途中で退職した場合、同じ年内に再就職をすれば、その会社に源泉徴収票の提出が必要ですし、そのままであっても確定申告の際に必要となります。

本来は、会社は、退職から1ヶ月以内に源泉徴収票を交付する必要があるのですが、多くの中小企業では、年末調整の際に、一緒に退職者の源泉徴収票を発行しています。

そのため、この年末調整の時期になっても、源泉徴収票の発行を受けられていないということもあります。

いくら待っても交付がされない場合、税務署に対して「源泉徴収票の不交付届」というものを提出することができるのですが、これを提出すれば、実際に源泉徴収票の交付を受けられるのでしょうか。

そこで、今回は、源泉徴収票の不交付届の実効性はどの程度のものなのか、検証して見ようと思います。

源泉徴収票の不交付届の概要

趣旨・対象者

源泉徴収票が支払者から交付されない場合の手続です。

ですから、既に交付された源泉徴収票の再発行については、この手続の対象外です。

提出時期

源泉徴収票の「交付期限」を経過後、随時提出できます。

この交付期限については、

・中途退職は退職後1月
・上記以外は翌年1月31日

となります。

作成・提出方法

パソコンからe-Taxソフトをダウンロードし、届出書を作成・提出します。書面で届出書を作成の上、持参又は送付により提出することもできます。

添付書類としては

・給与支払明細書が保存されている場合は、給与支払明細書の写し
勤務先に対して、源泉徴収票の交付を求めたことが分かる書類等

が必要となります。

源泉徴収票不交付の届出手続|タックスアンサー

交付は拒否できないが交付方法は会社の自由

この源泉徴収票の不交付届が提出されると税務署から「できるだけ早く源泉徴収票を交付してあげて下さい」という連絡が来ます。

それが、プレッシャーとなって、事務を怠りがちな事業者であれば、急ぎでの源泉徴収票の発行を促す効果はありそうです。

ですが、突然、従業員がバックレるようにして退職した場合、会社としては、素直に交付はしたくないというケースもあるでしょう。

もちろん、退職した従業員に対して、源泉徴収票を「交付」する必要はあります。

ですが、交付の方法については、何も義務付けられていません。

税務署からの早く源泉徴収票を交付してほしいという勧告の後に、源泉徴収票を税務署に送付をするようにという返信用封筒が送付されてくることもありますが、税務署に源泉徴収票を送付する義務はありません。

本人に対しても、源泉徴収票を郵送することも義務付けられておらず、会社に来てくれれば直接渡しますということでもよいのです。

ですから、バックレるようにして会社をやめて、会社には源泉徴収票を請求しづらいからという理由で、税務署に源泉徴収票の不交付届を提出したとしても、コワモテの用心棒みたいな税理士が出てきて

「そもそも、源泉徴収票を発行してくれという依頼すらないんだが。こちらは、源泉徴収票は発行してあるが、社長が最後に話をしたいの言っているので、直接取りに来いと言っていると本人に伝えてくれ」

と税務署にいうと、税務署も「はい、わかりました。そのように伝えます!」というだけで終わりです。

ということで、不誠実なやめ方をしたのであれば、税務署を使ったとしても源泉徴収票が送付されてくることは期待できないのが現実ということは覚えておきましょう。

お互い言い分はあるのでしょうが、最低限、源泉徴収票くらい素直に受け取れるくらいの筋は通してやめたほうがいいと思いますよ。

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