税務署から申告内容を見直して修正申告せよと電話がかかってきた時のペナルティは?
税務署から申告内容に問題があるとの電話が
確定申告書を提出すると、その申告内容に明らかな誤りがある場合、税務署から「申告内容を見直してほしい」との連絡が来ることがあります。
その連絡が、申告期限内であれば、もう一度提出をし直せばよいですが、既に申告期限が過ぎている場合には、修正申告の必要が生じることもあります。
では、税務署から「申告内容を見直してほしい」との連絡があり、修正申告をした場合のペナルティはどうなるのか。
今回は、税務署からの申告見直し打診を受けた際の修正申告についてまとめてみることにします。
税務署からの申告見直しは行政指導
申告期限到来後に「申告内容を見直してほしい」という連絡は、ほとんど適用できない税法上の恩典が誤って適用されていたようなケースです。
例えば、消費税について、簡易課税の選択届出書が過去に提出されているのに原則課税での申告がされているとか、インボイス制度について免税事業者が適格事業者になった際に適用できる「2割特例」を元々課税事業者であったのに適用したケースなどでしょう。
これは、税務署にある過去のデータだけで、申告内容が誤っていることが高い確率でわかることが把握できるので、「一々税務調査に行くまでもないが、おそらく申告内容は間違っているので、自主的に修正申告をしてくれ」ということです。
このような、税務署による申告内容の見直し打診は、税務調査を前提にしたものではなく「自主的な修正申告」を促す「行政指導」にあたるのです。
申告内容見直し時のペナルティ
(1)過少申告加算税
申告内容を見直してほしいという税務署は、具体的に帳簿を見ているわけではないです。
ですから、提出された申告書に悪質な仮装隠蔽があるとの判断はしていないでしょう。もし、悪質な仮装隠蔽があれば、わざわざ電話で「申告内容を見直せなんて」言うわけがないです。
さっさと税務調査に入って、重加算税を取ったほうがはるかに税務署には都合が良いのです。
右折禁止の道路があって、取り締まりをするのに、お巡りさんもその手前で言えばいいはずなのに、ちゃんと右折したところで待ち構えているのと同じです。
つまり、申告内容を見直せとの打診がされた場合には、仮装隠蔽はこの時点では把握していないということです。
その仮装隠蔽には当たらない場合、正しい申告納税額と期限内での申告額の差額については、過少申告加算税というペナルティが課されます。
この過少申告加算税については、税務調査の打診を受ける前に自主的に修正申告をした場合には、課されないことになります。
申告内容を見直せとの税務署からの連絡は、税務調査の通知ではない「行政指導」です。ですから、その時点で正しい申告をし直した場合、過少申告加算税というペナルティが課されることはありません。
仮に、それでも修正申告をしない場合には、税務調査への切り替えられ、税務調査を行う旨の「調査通知」がなされた後には、過少申告加算税がかかることになります。
(2)延滞税
申告納付期限までに納税がなされていない場合、その納税すべき金額について支払利息の意味合いで「延滞税」というペナルティが課されます。
仮装隠蔽ではない修正等については、追加本税に対して、法定納期限から実際の納付日までに応じた下記の延滞税が課されます。
期間 | 延滞税率(令和6年度) |
2ヶ月以内の部分 | 2.4% |
2ヶ月を超える部 | 8.7% |
なお、偽りその他不正の行為により国税を免れた場合等を除き、次の場合には一定の期間を延滞税の計算期間に含めないという特例があります。
・期限内申告書が提出されていて、法定申告期限後1年を経過してから修正申告又は更正
法定納期限から1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日又は更正通知書を発した日
・期限後申告書が提出されていて、その申告書提出後1年を経過してから修正申告又は更正
その申告書提出後1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日又は更正通知書を発した日
つまり、ざっくりといえば、直近の事業年度以前の期について、税務調査で修正申告に応じたとしても故意の仮装隠蔽でなければ、延滞税は最大でも1年分しか掛からないということです。(無申告では除算期間はありません)
延滞税は1000円未満切り捨て
延滞税については、その計算された金額が1,000円未満の場合には課されないというルールがあります。また、追加本税は10,000円未満は切り捨てます。
ですから、仮に申告期限の翌日から30日後に、修正申告をして追加本税を納付した場合、令和6年度の税率だと、追加本税は切り捨てなの509,900円までであれば、なんらペナルティもないということになります。
いずれにせよ、税務署が「申告内容を見直してほしい」という打診をするのは、帳簿を見るまでもなく、明らかに申告が間違っているケースがほどんどですから、さっさと修正申告をして、追加本税の納付することをおすすめします。
なお、まだ申告期限内にも、申告内容を見直してとの連絡が来ることがありますが、その場合には、修正申告ではなく、正しい申告をもう一度すればOK。
早めに申告をしておくと、そういう見直しの打診も早く来ることが多いですね。
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