「見解の相違・ミス」と「仮装隠蔽」でこれだけ違う。過少申告加算税・無申告加算税・重加算税と延滞税

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ペナルティは国税通則法で

申告した内容に誤りがあり修正申告をした場合、その修正した税額の納税をしなくてはなりません。

しかし、この金額は、元々支払うべき税額を時期を遅らせて支払ったにすぎません。

これだけで済んでしまうのであれば、「税務調査で指摘されたら支払えばいい。むしろ後で払えば済むならそちらのほうが得」と誰も真面目に申告をしなくなってしまいます。

そこで、税務調査で指摘をされ修正申告に応じた場合には、修正した税額についての割増しである過少申告加算税・無申告加算税・重加算税、それに支払いが延滞していた期間の利息相当額として延滞税というペナルティを支払わなくてはならないのです。

このペナルティは、その修正申告や更正が、「見解の相違やミス」に伴うものと「故意の仮装隠蔽」に伴うものでは大きく異なります。

そこで今回はその違いをまとめてみます。

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見解の相違やミスに伴う修正・更正

(1)過少申告加算税

申告した内容に誤りがあり修正をした場合、それが見解の相違やミスに伴うものであれば、正しい税額と申告していた税額との差額(追加本税)について、次の過少申告加算税が課されます。

条件 加算率 摘要
税務調査を受ける前の自主的な修正 0% *下記改正を参照
期限内申告についての修正・更正 10% 期限内申告税額と50万円のいずれか大きい金額まで
期限内申告についての修正・更正 15% 上記を超える金額

(2)無申告加算税

期限内に申告がされておらず、その申告漏れが仮装隠蔽でない場合には、正しい税額について、次の無申告加算税が課されます。

条件 加算率 摘要
税務調査を受ける前の自主的な修正 5% *下記改正を参照
期限後申告での修正・更正 15% 50万円まで
期限後申告での修正・更正 20% 50万円を超える金額

(3)延滞税

上記の仮装隠蔽ではない(1)または(2)の修正等については、追加本税に対して、法定納期限から実際の納付日までに応じた下記の延滞税が課されます。

期間 延滞税率
2ヶ月以内の部分 年2.8%(平成28年12月31日まで)
2ヶ月を超える部分 年9.1%(平成28年12月31日まで)

除算期間:

偽りその他不正の行為により国税を免れた場合等を除き、次の場合には一定の期間を延滞税の計算期間に含めないという特例があります。

・期限内申告書が提出されていて、法定申告期限後1年を経過してから修正申告又は更正

法定納期限から1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日又は更正通知書を発した日

・期限後申告書が提出されていて、その申告書提出後1年を経過してから修正申告又は更正

その申告書提出後1年を経過する日の翌日から修正申告書を提出した日又は更正通知書を発した日

つまり、ざっくりといえば、直近の事業年度以前の期について、税務調査で修正申告に応じたとしても故意の仮装隠蔽でなければ、延滞税は最大でも1年分しか掛からないということです。(無申告では除算期間はありません)

なお、修正申告書を提出するとまた延滞税の計算がスタートするので修正申告提出前に納付は済ませたほうが良いでしょう。

故意による仮装隠蔽の場合

(1)重加算税

仮装隠蔽により修正・更正がされた場合には、追加本税に対し、過少申告加算税・無申告加算税の代わりに次の重加算税が課されます。

条件 加算率
期限内申告の場合 35%
期限後申告の場合 40%

(2)延滞税

上記と同じ延滞税が課されます。ただし、仮装隠蔽の場合には延滞税の除算期間がありません。そのため過年度の修正・更正についてはその延滞期間に伴う延滞税がガッチリと掛かります。

ペナルティ強化の改正(H29.1.1以降)

(1)更正予知

電話で税務調査の事前通知がされた時点で「税務調査を受ける前の自主的な修正」とはなりません。

その時点で税務調査の「臨場調査」がされる前に申告がされたとしても、期限内申告の場合には5%の過少申告加算税が、期限後申告の場合には、10%の無申告加算税が課税されます。

(2)繰り返し無申告等

無申告加算税や重加算税について、同じ税目で過去5年以内に無申告加算税や重加算税が課されたいた場合には、それぞれペナルティの率が10%アップします。

これらは平成29年1月1日以降法定申告期限が到来するものに適用されます。

いずれにせよ、ペナルティは所得計算上損金や必要経費となりません。その分、負担感は重くなりますので、適正な申告を心がけたいものですね。

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