利益を増やすために売るべきなのは粗利益率の大きい商品?よく売れる商品?

ケチな社長はなぜお金を残せないのか?

Q:利益を増やすために重点商品にするのは、粗利益率の大きい商品?よく売れる商品?

A:粗利益率回転率=交叉比率の高いものを重点商品に

限られた売り場面積で、限られた資金を使いながら、できるだけ多くの利益を上げるために重点的に売るべきなのは、「儲かる商品」でしょうか?それとも「よく売れる商品」でしょうか?

今回は、売り場面積や在庫資金など制約条件のあるなかで、利益を最大化するにはどうしたら良いのかについて考えてみようと思います。

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本当に稼ぐ商品はどうやって探すのか?

装飾品のように「儲かる商品」は、ひとつ売れれば得られる粗利益額が大きいものの、その分売れるまでに時間がかかることが多いでしょう。

一方で、日用品のように「よく売れる商品」の方は、売れるまでの時間は短くて済むものの、一つ一つの粗利益額はあまり大きくないことが多いものです。

つまり、「より儲かる」と「より早く売れる」は、トレードオフ(二律背反)になりやすいのです。

では、同じお金を使って商品を仕入れるならば、どちらを優先した方がより稼ぎ、お金を残すことになるのでしょうか?

結論は、両者のバランスの良い商品がもっとも稼ぎに貢献している商品だと言えます。

「より儲かる」とは、同じ売上高の中に占める粗利益の額で表されます。これは「粗利益率」のことです。

「より早く売れる」とは、年間の売上高を平均的な商品の在庫金額で割ることで、一年間でどれだけ商品が入れ替わったかにより表されます。これを「商品回転率」といいます。

当然、この商品回転率が、大きいほうが商品はよく売れているのに対し、小さいほうが商品はあまり売れずに売り場や倉庫で滞留していることになります。

つまり、「粗利益率」と「商品回転率」を掛け合わせた数字の大きい商品が稼ぐ商品ということです。

これら2つの比率を掛けたものを「交差比率」と言い、算式は次のようになります。

 交差比率

 =売上総利益率×商品回転率

 =(粗利益額/売上高)×(売上高/平均商品在庫額)

物販業では、この比率を店全体の業績の良否や会社が積極的に販売すべき重点商品の選定などに用いています。

では、具体的にこの交差比率を見てみましょう。次のような3つの商品があったとします。

粗利益率

商品回転率

交差比率

商品A

40%

5回

200%

商品B

30%

9回

270%

商品C

20%

12回

240%

これらの3つの商品のうちどれが最も効率よく稼ぐのかを考えてみてください。

商品Aは、粗利益率がもっと高いものの、余り売れず商品回転率は5回しかありません。

そのため、交差比率は200%(40%✕5回)となります。

商品Bは、粗利益率が30%と商品Aよりは劣るものの、商品回転率は9回です。

そのため、交差比率は270%(30%✕9回)となります。

商品Cは、粗利益率が20%と最も低いものの、最もよく売れ商品回転率は12回です。

そのため、交差比率は240%(20%✕12回)となります。

ここから、交差比率は良い方から商品B、商品C、商品Aという順番となり、商品Bこそが最も会社が売りたい「稼げる商品」となります。

具体的に、より効率よく稼ぐためには、この稼げる商品を売り場の前面に大量に並べるボリューム陳列をしたり、オススメ商品としてPOPでアピールをしたり、最もお客様が手に取りやすい棚の高さである概ね75㎝から135㎝という「ゴールデンゾーン」に配置するなどの販売促進策が取られているのです。

では、比率の高い商品を重点的に販売する以外に、もっと効率よく稼ぐためには、どんな改善をすればよいのでしょうか?

商品Aのように、粗利益率は高いものの商品回転率が低いものは、単価も高くなりがちであまり売れないため、極力在庫数を持ちたくありません。

ですから、極力小ロットでの納入を認めてもらえるよう仕入先と交渉をします。

一方、商品Cのように粗利益率は低いものの商品回転率の高いものは、販売データから需要予測をし、まとめて購入することでボリュームディスカウントの余地はないか交渉をします。

このようにすることで、限られた売り場面積と限られた資金でより多くのお金を稼ぐことにつながるのです。

事実、同じ小売業でもコンビニエンスストアは、粗利益率も商品回転率も共に高く、交叉比率は他の小売業を圧倒しています。小さな店舗でギリギリまで売れ筋商品にこだわった配置をしていることと定価販売が寄与しているのでしょう。

それに対して、スーパーマーケットは、生鮮品を中心に商品回転率は高いものの、粗利益率は低い薄利多売のため、交叉比率は低めです。

ディスカウントストアは、低廉な仕入れにより粗利益率は意外と高いものの、ボリュームディスカウントを受けるために大量ロットで商品を購入しているため商品回転率は低く、交叉比率もコンビニには及びません。

これらの交叉比率の違いがそのまま利益率や手元資金の潤沢さの違いに反映されていると言えるでしょう。

なお、衣料品などの小売業では交差比率200%というのが、目指すべきひとつの基準値と言われています。

交差比率200%を維持するためには、粗利益率20%の商品ならば商品回転率は10回転(200%÷20%)でなくてはなりません。

商品回転率が10回転ということは、抱えている在庫金額の10倍の年間売上高を上げなくてはならないということがわかるでしょう。

例えば、その商品の平均在庫金額が1000万円であれば、年間で1億円(1000万円✕10回)の販売額が目標になるということです。

ちなみに、低価格販売のイメージのあるユニクロを運営するファーストリテイリング社の粗利益率は実はおよそ50%もあります。商品回転率もおよそ6.2回転です。

つまり、ファーストリテイリング社の交差比率は305%とかなり高く、非常に効率の良い商品への資金の投資が行われていると言えるでしょう。*

*ファーストリテイリング社有価証券報告書2014.8月決算より

◆お金を残す鉄則

「より多く」「より早く」お金に変わる商品を重点的に販売する。

1割値上げをするのと1割余計に数を売るのではどちらが利益は増えるのか?ー利益感度分析の計算をしなくても決算書だけでその結果を知る方法