輸出をすると消費税が還付される本当の理由

輸出をすると消費税が還付される

海外に商品等の輸出を行うと、消費税の還付がされることがあります。

海外に輸出をするのは大手企業のほうが金額が大きいため、「輸出企業に消費税を還付するのは大企業優遇税制だ」などといわれることも。

そこで、今回は、輸出をすると消費税が還付される仕組みと還付の手続きについてまとめてみようと思います。

消費税の基本的な仕組み

税金は、「直接税」と「間接税」に分かれます。

直接税とは、税金を負担する人(税負担者)が直接国に納税をするもので、法人税、所得税、相続税などがその例です。

一方間接税とは、税負担者から直接国に納税されず、「納税義務者」を経由して納税されるもので、消費税がその代表例となります。

つまり、直接税である法人税、所得税は、税負担者=納税義務者であるのに対し、間接税である消費税は、税負担者=納税義務者ではないということです。

ですから、消費税を納税している事業者は、単に税負担者である個人消費者の税金の納税を代行しているに過ぎず、消費税の負担はしていないのです。

さて、商品等は生産者から流通業者などを通じて最終消費者に届けられます。

消費税の対象となる売上等(課税売上)に伴い消費税額も合わせて収受されますが、もし、流通過程で販売されるたびに消費税を掛けてしまうと、二重三重に消費税が課税されてしまいます。

そこで、流通の前段階で既に課税された消費税額については、課税売上に伴い預かった消費税額から控除をした残額だけを事業者は国に納税をするのです。

輸出すると支払った消費税額を控除する余地がない

自分が得意先から「預かった消費税額」から仕入先や外注先などに「支払った消費税額」を控除した残額のみを国に納税しますが、支払った消費税額のほうが預かった消費税額よりも多い場合には、その差額については申告により還付されることになります。

例えば、多額の設備投資をした場合などには、その設備投資に伴い支払った消費税額も多く、課税売上に伴い預かった消費税額を上回ることもあるので、その際には、消費税額の還付がされるのです。

では、輸出の場合はどうでしょう。

消費税の課税対象となるのは

・国内で

・事業者として

・対価を得て行う

・資産の譲渡等

という4つの要件をすべて満たすものです。

商品等を輸出するということは、「国内で」という要件に合わないので、輸出売上については、消費税の課税対象となりません。

つまり、海外に商品等を輸出しても、得意先から消費税を預かることはありません。

そうなると、日本国内で商品を仕入れた際に支払った消費税額を控除する余地がなく”自己負担”となってしまいます。

そこで、輸出された場合には、課税売上に伴って預かった消費税額を0円として、輸出までに国内で支払った消費税額を控除=還付するということなのです。

逆に還付されなければ、本来事業者に負担義務のない消費税を負担させることになってしまうので、還付されるのは当然のことであり、特に輸出企業に恩典をあたえるようなものではないです。

輸出取引の免税|タックスアンサー

輸出しても消費税が還付されない場合もある

基準期間(前前事業年度)の課税売上高が1000万円以下であれば原則として消費税の納税義務はありません。

納税義務がない=申告義務がないということであり、消費税の還付は申告により行われるので、申告をしないということは、消費税の還付もないということです。

ですから、輸出売上しかなく消費税の納税義務がないような場合には、国内で支払った消費税額の還付ができません。

そのような場合には、あえて「消費税課税事業者選択届出書」を提出し、消費税の納税義務者となることで消費税の還付を受けることが可能になるのです。

消費税課税事業者選択届出書|タックスアンサー

輸出消費税還付に必要な手続き

輸出による消費税還付を受けるための申告手続きは、通常通りの消費税申告書を提出すればよいので特別なものではありません。

しかし、輸出による消費税還付の申告をすれば、まず間違いなく下記の資料の提供を後で求められます。

<ほぼ100%>

・輸出証明書(少額で輸出証明書がない場合、国際スピード郵便EMSの控え)

・科目別消費税額明細書

<状況によって>

・輸出売上についての総勘定元帳

・輸出代金入金についての預金通帳のコピー

・輸出売買契約書や納品書、請求書

・国内仕入れ分の請求書、領収証

最近は、輸出による消費税還付だけではなく、消費税の還付申請について税務署は非常に厳しい姿勢で書類審査をしてきます。

中には、「外注先からの請求書をすべて出すように」と「それじゃ税務調査と変わらんだろ」というような指示が来ることも。

還付申告については、通常以上に慎重に経理処理をするとともに、還付までの期間を短くしたければ、すぐに資料提供ができるように準備をしておきたいものですね。