【保存版】お問合せの多い印紙税の取り扱いについてまとめておきます
目次
意外と多い印紙税の問い合わせ
税理士に対するご質問のうち意外と多いものに印紙税に関するものがあります。
印紙税はいくらなのか?あるいはこの文書は印紙税の対象になるのかなど。
そこで、今回は、お客様から印紙税へのお問合せを頂いた際には、この記事のリンクをお知らせすれば良くなるよう、ややこしい印紙税の取り扱いをまとめておくことにします。
印紙税の対象となる文書
印紙税が課税されるのは、印紙税法で定められた「課税文書」に限られています。
課税文書とは、次の3つすべてに該当するものです
1.印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証明されるべき事項(課税事項)が記載されていること。
2.当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
3.印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと
課税文書であるかどうかの判断は、記載された文言の形式により判断するのではなく、文言の実質的な意味により判断します。
なんとか印紙税の課税対象にならないよう文言を工夫したとしても、あまり意味がないということですね。
印紙税の課税対象となる20種類の文書は課税物件表としてまとめられています。
なので、具体的な印紙税額についてはこちらでご確認ください。
間違いやすい・注意が必要な事例
(1)土地の賃貸借契約書と建物の賃貸借契約書
同じ賃貸契約書でも土地の賃貸借契約書は印紙税の対象となるのに、建物の賃貸借契約書は印紙税の対象になりません。
(2)金額が5万円未満の領収証、営業に関しない取引の領収証
個人が自宅を譲渡したなど営業(営利を目的として同種の行為を継続反復行う)に関しない取引の「領収証」は印紙税は非課税です。
営業に関する領収証でもその記載された金額が5万円未満であれば、印紙を貼る必要はありません。
(3)継続取引の基本となる契約書
請負に関する契約書に該当するものであっても、営業者間において継続する複数の取引の基本的な取引条件を定めるものは、第7号文書「継続的取引の基本となる契約書」(印紙税4000円)に該当することがあります。
(4)申込書、注文書等と記載された文書
本来申込書には印紙は不要です。しかし、その申込書が実質的に契約書と同等とされるようなものは課税文書になります。この判断は非常に難しいところですが、次に掲げるものは一般的に課税文書となります。
1.契約当事者の間の基本契約書、規約又は約款等に基づく申込みであることが記載されていて、一方の申込みにより自動的に契約が成立することとなっている場合における当該申込書等。ただし、契約の相手方当事者が別に請書等契約の成立を証明する文書を作成することが記載されているものは除かれます。
2.見積書その他の契約の相手方当事者の作成した文書等に基づく申込みであることが記載されている当該申込書等。ただし、契約の相手方当事者が別に請書等契約の成立を証明する文書を作成することが記載されているものは除かれます。
3.契約当事者「双方」の署名又は押印があるもの
(5)契約書の写し
契約書の単なる写し(コピー)は課税文書ではありません。なので、不動産売買の当事者同士が納得していれば、売買契約書の一通のみを原本とし、もう一通をコピーとすることでトータルの印紙税の負担を軽減することも可能です。
ただし、この写しに「原本と相違ありません」などと記載すると課税文書となります。
(6)仮契約書、仮領収証
印紙税は文書の作成の都度課税がされます。一つの取引であっても仮契約書、仮領収証が作成された場合には、本契約書、本領収証作成時に加えて仮契約書、仮領収証作成時にもそれぞれに印紙が必要となります。
(7)契約内容を変更する契約書
変更契約書に契約金額が記載されている場合には、その変更契約書にも印紙は必要です。覚書というタイトルであっても、契約金額に変更がある場合には、その覚書に印紙を貼る必要があります。
印紙税を判断する金額については下記のように計算をします。
1.変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかな場合
変更契約で金額が増加:増加した金額
変更契約で金額が減少:印紙は不要
変更後の金額のみ記載されて変更金額が明らかでない:変更契約の金額
2.変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明かでない場合
変更後の金額が記載されている:変更後の金額が記載金額
変更した金額のみ記載:増加、減少とも変更した金額
No.7123 契約金額を変更する契約書の記載金額(タックスアンサー)
印紙税の納付・還付
(1)印紙税をきちんと納付しなかった場合
印紙税の納付は、通常、作成した課税文書に「所定の額面の収入印紙をはり付け」「印章又は署名で消印する」ことによって行います。
正しい方法で作成時までに納付をしないと次のペナルティがあります。
1.納付すべき印紙税を課税文書の作成の時までに納付しなかった場合
納付しなかった印紙税☓3倍の過怠税
(自主的に不納付を申し出た時は1.1倍に軽減)
2.はり付けたものの所定の方法で消印しなかった場合
消印されていない印紙の額に相当する過怠税
なお、過怠税は、その全額が法人税の損金や所得税の必要経費には算入されません。
(2)誤って印紙を貼った時の還付
印紙を誤って過大に、あるいは不必要な文書に貼ってしまった場合などには、申請により還付を受けることが可能です。
印紙税法による還付を受ける場合には、税務署に用意してある「印紙税過誤納確認申請書」に必要事項を記入のうえ、納税地の税務署長に提出します。
その際には、「印紙税が過誤納となっている文書」現物の提示が必要となります。
誤って納付をしたのではなく、印紙自体が汚損した場合には、郵便局で交換をしてもらえます。(収入印紙一枚につき手数料5円)
印紙は税務調査でもよくチェックされる項目なので、正しい処理を心がけたいものです。
なお、印紙税については、税理士法の対象外であり、税務調査でも税理士がその折衝をする権限はなく、納税者が税務署と直接対応をして頂く必要があります。実際には、提示された金額を支払うだけなんですけどね。
また、過怠税については、税務調査で指摘されたとしても、「自主的に申し出た」と取り扱われ1.1倍のペナルティで済むことがほとんどです。理由はわからないです。なにせ、税理士法の対象外なもので。
9割の人が間違えている「会社のお金」無料講座公開中
「生命保険なら積金より負担なく退職金の準備が可能」
「借金するより自己資金で投資をするほうが安全」
「人件費は売上高に関係なく発生する固定費」
「税務調査で何も指摘されないのが良い税理士」
すべて間違い。それじゃお金は残らない。
これ以上損をしたくないなら、正しい「お金の鉄則」を