朝の時間は夜の時間の6倍生産性が上がるなんて言うから実際にやってみた

朝の時間は夜の時間よりも生産性が高い?

お金持ちや成功者はみんな朝型だとか、朝型の生活に変えて生産性が上がるなどとかいう話が自己啓発的仕事術の本には大抵書かれています。

中には、「朝の時間は夜の時間の6倍生産性が高い」「3時間の仕事を30分で終わらせられれば2時間半もの時間が生み出せる」というものまで。

本当にそうなのか?と疑問があったので、実践してみて、昨年のアライアンスLLPセミナー「やってみてわかった!ホントに役立つ仕事術・時間術2015」でその結果を公表しました。

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朝型生活のメリットと言われる3つのもの

朝型生活のほうが夜型生活よりも次のようなメリットがあると言われます。

(1)朝は頭がすっきりしていて生産性が高い

疲れきった夜に作業をするよりも頭がすっきりしている朝のほうが生産性が高い

(2)朝は誰も出社していないので邪魔がされない

始業時間になると電話や問い合わせが多いので始業前のほうが作業に集中できる

(3)朝は締め切りがあることで生産性が上がる

夜はダラダラ仕事をするが朝は始業時間という締め切りがあるので作業に集中できる

ということなのですが、実際に朝型生活も夜型生活も両方繰り返してきた私からするとどれも実感できるものではありません。

朝ならは締め切りがあるとのことですが、夜だって翌日の仕事を考え睡眠時間を確保しないといけないので締め切りはあります。

朝は電話などが掛からないので邪魔がされないといいますが、夜中だってまず電話など掛かってきません。

さらに朝の方が頭がすっきりして生産性が高いというのは、全く同意しかねます。

付属高校出身で全く英語ができなかったので、30歳を過ぎてから必死に勉強をしてTOEICのスコアを850までにした時、平日は毎日3時間、休日は10時間英語の勉強していました。

夜勉強するだけでは時間が足りず、朝も1時間早く起きて勉強してたのですが、どう考えても夜のほうが知識習得の効率は良いんです。

覚えたことは一晩寝ることで定着しますし、朝はとりあえず起きてみたものの寝ぼけていて全然頭に入ってきません。そのため、朝は、暗記は諦めて、仕方がないので問題を解く時間にしていたくらいです。

なので「クリエイティブな作業は朝のほうがよい」という意見には全く共感ができないのです。

作業の処理スピードについても実際に試してみました。

会計ソフトへの伝票入力が夜と朝とではどれくらい違うのかと。

私が入力してみたところ、夜の23時には30分で104個の仕訳の手入力ができました。

もし、朝は夜の6倍の生産性があるというのであれば、30分で624個の仕訳の手入力ができるはず。

この時点で、どう考えても無理なのはわかりましたが、実際にやってみました。

結果はなんと30分で90個と減ってしまったのです。

そりゃそうでしょう、朝起きがけで眠くてしかたがないんですから。

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要するに、「人は眠いと記憶力や生産性が下がる」ということ。

その人が夜のほうがクタクタで眠たいというのであれば、夜の生産性は低いし、朝起きがけは眠いというのであれば朝の生産性が低いというだけのことで、これは完全に個人の問題なのです。

好きな方を選べばいいだけで、元々夜型の方が活動しやすい人が朝型に変えただけで生産性が上がるなんてことはまずないか、むしろ逆効果だというのが実感です。

朝型シフトすると午後の生産性が落ちる

朝型へのタイムシフトの真の効果は、ラッシュアワーで体力を消耗するしかなかった通勤時間を早朝出勤で体力の消耗を抑え読書などの時間に充てられるといったことかなと。

そうであれば、「職住接近」こそが生産性向上のための解決策の一つでしょう。

よく「朝早起きして運動をしてシャワーを浴びるとリフレッシュされ、その日一日が爽快に活動できる」とも言います。

でも、実際に、朝テニスクスールに行ってシャワーを浴び、そのままお客様のところに直行していた時期もありましたが、正直に言うともう午後には眠いんですよ。

何を相談されても「はあ、それでいいんじゃないんですか」って感じです。

当たり前ですけど、早起きして活動すれば朝の時間は長いですが、午後にはもう疲れるのです。

朝から運動してシャワー浴びて、一日仕事が爽快なんて、そんなのは一部の超人だけでしょう。

普通の人は早く死にますって。

「早起き」すると寿命が縮む!オックスフォード大学の研究で判明(現代ビジネス)

もちろん、朝のほうが人に会いやすい、朝の時間を有効活用したいという人の「朝活」を否定するつもりもないです。

しかし、朝のほうが夜よりも脳の働きからして生産性が高い、それも6倍も高いというのは、実感できなかった上に、なんら科学的な根拠を見つけることもできませんでした。

より多くの成果物を生み出すなら一時的な犠牲も必要

税理士は冬が繁忙期であり、人によっては夏の2倍位の作業量になります。

その冬になぜか本の執筆のオファーが被ることが多く、多い時には冬の間に3冊本を書いたことも。

では、どうやって繁忙期の中で執筆のための時間を生み出したのか?

それは、簡単なことです。本業である税理士業務が終わった後や休日に執筆をしていただけです。

例えば、8:00から19:00までを税理士業務に充てたのち20:00から24:00までを本の執筆に充てれば、十分本の執筆くらいはできます。

確かにしんどいですが、一時的なものと割り切ればなんとか乗り切れるはずです。

その際に、最大の障害となるものがあります。

それは「飲酒」です。

さすがに、酒を飲んでしまうと、その後の時間で新たに成果物を生み出すということは難しい。

その点からすれば、どうしても夜になると酒を飲んでしまう人にとっては、朝型生活へのシフトは一定の効果はあるでしょう。

もし、本気で時間を作り出すために、現状を変えようと業務の見直しと標準化をしたり、将来のための成果物を生み出す時間を確保するのであれば、「一時的に」何かを犠牲にするしかないし、眠くても気合で乗り切るしかない。

将来の時間を作り出すためには、どこかで時間と体力を使わないといけないということです。

実際にやってみてわかったことは、「天才ではない普通の人は、耳障りの良いお手軽で劇的な効果を生む解決策を探すことに時間を使うよりもその時間でまずは前に向かって進んだほうが確実」という全くもって「現実逃避をするマッチ売りの少女のマッチに水をかける」ような話でしたね。

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