税務調査のオンライン化の内容が判明|追加資料の送付がメールで行えるように
目次
税務調査へのオンラインツールの導入
国税庁は、税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(DX)の一環として、「ガバメントソリューションサービス(GSS)」を導入し、税務調査などの場面でオンラインツールを本格的に利用することを公表しました。
こちらは、令和7年9月から金沢国税局と福岡国税局において先行利用がスタートしており、その他の国税局や税務署についても、令和8年4月以降に順次利用が開始されるとのことです。
これにより、資料の送付や税務署員との応答は、オンラインでも可能になるとされています。
あの面倒な、会社に税務署員が訪問する「現地調査」がオンラインで可能になるのであれば、画期的なこと。
では、具体的に、どのような取り扱いがされるのかについてまとめてみることにします。
オンライン税務調査の概要
対象先
対象となるのは一部の大企業だけでなく、税務署が所管する中小法人や個人事業主も含まれます。
対象税目
法人税や消費税、源泉所得税はもちろん、所得税や相続税、贈与税など、実質的に「すべての税目」がオンラインツールの利用対象となります。
利用される公式のツール
インターネットメール(Outlook)、Web会議システム(Microsoft Teams)、オンラインストレージサービス(PrimeDrive)、アンケート作成ツール(Microsoft Forms)の4種類に限定されています。
適用場面
税務調査に限らず、行政指導、滞納整理、査察調査など多岐にわたります。
オンライン調査は強要されるものではない
オンライン税務調査は強制ではなく、納税者の同意を前提とした「任意」の制度です。
調査の事前通知は、原則として従来どおり電話などの口頭で行われますが、その際に担当の調査官からオンラインツールの利用について意思確認が行われます。
納税者が同意しない場合は、従来どおり事業所へ訪問する対面での現地調査が行われます。
また、納税者がオンラインでの調査を希望し同意した場合であっても、必ずオンライン調査になるわけではありません。国税当局が「事業所等に臨場して質問検査等を行う必要がある」と判断した場合には、現地調査が実施されます。
税務調査の効率化で納税者のメリットはさほどなし
実のところ、税務調査のオンライン化は、特に中小企業では、メリットは感じません。
税務調査がオンライン化されても、勝手に税務署員が送付されてきた資料だけで調査を完了させるわけではありません。
社長や経理担当者に対する質疑応答は、会社に訪問はしなくても、オンラインで実施されます。
税務署にとっては、それらの質疑応答は、書面だけでは得られない重要な情報源であり、それを放棄するとは思えません。
一方で、現地調査が実施される場合でも、社長に対するヒアリングは、当初の1時間程度で終わるものですから、オンラインであってもその負担が大きく減ることはないでしょう。
その上、現地調査をオンライン化するには、現地調査で税務署員から用意するように言われる、総勘定元帳や源泉徴収簿、請求書、領収証、契約書などの資料をオンラインストレージで提供をしなくてはなりません。
現状においてそれらを完全にペーパーレス化を実現し、すべての証憑類をオンラインで滞りなく提供できる企業は少数派でしょう。
それに、資料のオンラインでの提供は、AIによるデータのチェックも容易にすることから、税務署員のデータを効率的に収集・分析できるといった点で、税務署側のメリットが非常に大きいといえます。
税務署員が会社に訪問しないにしても、オンラインで質疑に応答するのであれば、企業側は、大して負担が軽減されない。
ならば、わざわざ苦労をしてオンラインでデータを提供し、税務署の調査効率を上げるということにどれだけ価値があるのかは大いに疑問があります。
追加資料のメール提出の道が開けたくらい
では、あえて、この税務調査のオンライン化に対応するメリットはなにか。
現地調査は、単なる顔合わせと資料収集の機会であり、その場で税務についての判断がされることはありません。
なので、現地調査がオンライン化されることのメリットは、顧問税理士にこそあります。
税務署、納税者、顧問税理士の日程調整はしやすくなる。メリットはそのくらいです。
なお、最終的には、統括官という現場責任者と税理士との電話での折衝により、指摘事項のうちどれを修正に応じ、どれは指導にとどめてもらうのかの交渉を行うのが一般的です。
そのため、上司である統括官の指示により、現地調査の後に、追加の資料請求がされることはほぼ間違いなく行われます。
その時の資料提供が、郵送か今どき誰が使っているのかわからないFAXに限定されていました。
これが大量の資料の送付を行うのにはとても面倒だったわけです。
それは、税務調査のオンライン化によって、追加の資料請求がメールで行えるようになります。
格好良く言えば、現地調査はオフライン、追加資料提供はオンラインという「ハイブリッド型」とも言えますが、やっていることは、単に、これまで認められなかったメールによる追加資料提供ができるようになっただけというのが税務調査オンライン化の現実ではないでしょうか。
事前登録が必要で、メール受信設定も面倒
面倒な追加資料提供がメールで可能になるのは便利なのですが、単に名刺に書いてある担当調査官のアドレスに直接メールを送れば済むというわけではありません。
追加資料のメール提出のみを希望する場合であっても、事前に以下のステップを踏む必要があります。
① Microsoft Formsでの登録
所轄税務署等が用意したURLにアクセスし、「オンラインツールの利用に関する同意事項」に同意した上で、利用目的や利用するメールアドレス、氏名などを入力します
② テストメール送受信と本人確認
フォームでの登録後、税務署から登録アドレス宛てにテストメールが送信されます。
なりすましを防ぐため、調査官が「電話または対面」で納税者に受信確認を行い、それに納税者が返信して初めて正式に利用開始となります。
このように、メールで資料を送付するだけなのにシステムへの入力だけでなく、調査官との電話確認というアナログな手順が必須となっています。
また、税理士が、以前の調査で登録したメールアドレスであっても、次回の別の調査の際には継続利用できず、その都度、一からFormsで登録手続きをやり直す必要があります。
電子申告をしているならもう納税も電子納税をするはずとの思い込みから、電子申告先には納付書を送付してこなくなったことで、悪意のない納付漏れが多数発生したり、毎度税務署に納付書を郵送してくれとの電話が殺到するなど、どうも税務行政DXはピントが外れているようですが、今回もなんだかなあという結果で終わりそうではありますね。
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