小規模企業共済、確定拠出年金、NISAの比較ー社長はどれから始めるのがいいの?

ひとり社長や個人事業主であっても老後資金の準備を

公務員や大手企業に勤務していれば、退職金の受給が期待できますが、ひとり社長や個人事業主ではその準備はなかなかできないもの。

そこで、国も中小企業の社長や個人事業主の老後の資産形成について税制優遇措置で支援をしています。

具体的にこれらの人が活用すべきなのは、小規模企業共済、確定拠出年金、NISAかなと。

今回は、これらの特徴とメリット・デメリットを比較してみようと思います。

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小規模企業共済

特徴

・中小企業基盤整備機構が運営

・個人事業主や会社役員などが対象者

・掛け金は月額一人70,000円まで

・受取共済金額は加入時期により確定

メリット

・掛金は、小規模企業共済等掛金控除として支払額全額が個人の所得控除の対象に

・受取共済金は、一時金なら退職所得、年金なら公的年金等雑所得として優遇

・払込掛金合計の範囲内で無担保無保証人での融資が可能

・掛金額は、1000円から70,000円の範囲内(500円刻み)で自由に変更が可能

デメリット

・解約共済金の場合、掛金納付期間が240ヶ月以内だと”元本割れ”も

・運用益は定期積金以下レベルで、「現在価値」に割り引くと実質的に目減りすることも

詳しくはこちら

小規模企業共済|制度の紹介(中小機構)

確定拠出年金(個人型)

特徴

・給付される年金額が運用成績により変動する、いわば「変動給付」年金

・運用方法については自らが選択

・定期積金などの元本確保型もあり

・平成29年度からほぼ現役世代全員が加入対象者に

・第一号被保険者である自営業者等であれば、掛金は月額68,000円まで

(ただし、「確定給付型」の国民年金基金と合わせて)

・小規模企業共済との重複加入は可能

メリット

・掛金は、小規模企業共済等掛金控除として支払額全額が個人の所得控除の対象に

・受取金は、一時金なら退職所得、年金なら公的年金等雑所得として優遇

・運用時の利益については非課税のまま再投資が可能

デメリット

・運用成績によっては”元本割れ”のリスクあり

・掛金の減額は可能だが、脱退しても一時金支給には厳しい制約あり

・年金受給開始時期は加入期間に応じ60歳以降のみ

詳しくはこちら

個人型401k(確定拠出年金)(SBI証券)

NISA(少額投資非課税制度)

特徴

・上場株式・株式投資信託等への投資について、その利益には5年間非課税枠を

・対象者は日本に住む20歳以上

・取引できる口座は一つのみ

メリット

・年間で元本120万円までは、その株式等の譲渡益・配当に対して5年間非課税

(2015年度までは年間100万円)

・最大で合計元本600万円(120万円☓5年)までの分に対して非課税枠を設定

・株式等の売却はいつでも可能であり、その利益は非課税で申告も不要

デメリット

・NISA口座の損失は特定口座、一般口座の利益や配当との通算は不可

・一旦売却した分の非課税枠を再利用することは不可

・投資しなかった未使用枠の翌年への繰り越しも不可

・5年経過後に非課税扱いを継続する場合、取得費は移管時の時価で引き継ぎ

詳しくはこちら

NISAとは(SBI証券)

社長や個人事業者は流動性を確保することも

老後資金の準備なので、当然、長期的な資金運用が前提です。

簡単に引き出せるようでは老後の資金の蓄えにはならず、確定拠出年金の60歳まで引き出しできないというデメリットも、むしろ確実にお金を残す上では良いことであるともいえます。

ただ、事業というものは浮き沈みが激しく、資金繰りがタイトになる場合も多いもの。

その時に引き出せるお金がなくては、老後を迎える前に事業が破綻してしまいます。

ですから、老後の資金の準備という理念には反しますが、中小企業のオーナーであれば、やはり万一の時にはお金を引き出すことができる流動性は確保したいものです。

とはいえ、そもそもこれらの制度を利用するのは、税制上の優遇措置に魅力を感じるからでしょう。

つまり、社長がお金を残す手段を検討するならば、「税制上の優遇措置の魅力度」と「流動性の確保」という2つの視点でこれらを比べる必要があるです。

例えば流動性には優れるNISAですが、税制上の優遇措置の魅力度については、小規模企業共済や確定拠出年金に比べるとイマイチで使い勝手も良くないのではないかと。

特定口座や一般口座との損益通算もできないなど損失が出た時の”セーフティネット”が働かないことも覚悟しなくてはいけません。

5年経過後に含み損を抱えている場合、その含み損はカットした上での譲渡益に通常口座移管後は課税されるなど無駄に税金を支払うことも起きかねないのです。

そこで、小規模企業共済、確定拠出年金、NISAについてそれぞれ優劣をつけると次のようになります。

税制上の優遇措置 流動性の確保
小規模企業共済 ★★★ ★★
確定拠出年金 ★★★
NISA ★★★

個人的な意見となりますが、中小企業の社長や個人事業主が将来のお金を残す手段として有利な方法はなにかと聞かれれば

1.まずは、小規模企業共済を満額利用

2.まだ資金に余裕があれば、確定拠出年金にも追加加入

3.それでも余裕があれば、期間5-10年を目処にした資産運用方法としてNISAの利用検討も

という優先順位での加入が良いのではないかと思います。

まあ、こうやって預けたお金を忘れちゃうくらい本業で儲かるのが一番お金が残るんでしょうけどね。

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