暦年贈与サポートサービスで相続税の名義預金の問題を解決する

スクリーンショット 2016-09-04 16.59.24

毎年細かく贈与することで相続税の負担軽減が

相続税の負担を免れるためには生前にできるだけ財産を遺族に贈与をすれば良いことになります。

同じ金額であれば、贈与税の税率のほうが相続税の税率よりもずっと高いのですが、年間110万円の贈与税の非課税枠があるため、比較的少額な贈与を繰り返すことで、相続税の負担を軽減できることも多いのです。

しかし、毎年110万円ずつ預金で贈与すれば贈与税は無税で相続税額を軽減できると思ったものの、相続税の税務調査でトラブルになることがあります。

それが「相続税の名義預金」の問題です。

そこで今回は、この「相続税の名義預金」の問題を回避する「暦年贈与サポートサービス」について見ていくことにします。

スポンサードリンク

相続税の税務調査で問題になる「名義預金」とは?

相続税の対象となる現金預金は、原則として被相続人が死亡した日現在で被相続人のものです。

生前に遺族に贈与した預金は当然そこには含まれない・・・

と思うのですが、実際にはそうではないとされる例がたくさんあります。

例えば、「お金があるとわかると子供の教育上よくないから内緒で子供名義の預金口座にコツコツお金を積んでおいた」など。

このように生前に贈与された預金が引き続き被相続人の管理下にあると、「贈与は実態がない」ので、名義は異なるが、実質的には被相続人の預金であるとして相続財産への加算を求められます。

これが相続税の「名義預金」の問題なのです。

本当に生前にその預金が遺族に贈与されていたと認められるためには

・預金通帳と印鑑の保管や入出金などを子ども自身が行っている

・過去の贈与の事実を明らかにするよう預金口座間の振替により贈与を行う

・贈与の意思を明らかにするため「贈与契約書」という書面で残す

などを行っておかなくてはならないのです。

オートマチックに贈与をすると多額の贈与税が掛かることも

とはいえ、毎年きちんと契約書を作り、親名義の預金から子供名義の口座に預金を動かすというのは面倒なものです。

うっかり忘れてしまったりということも多いもの。

そのため、「じゃあ子供名義の定期積金を作って毎年110万円ずつ自動的に預金の振替をすればいいじゃん」などと考える人もいるでしょう。

ただ、これを行うと多大な贈与税が課せられることがあるので注意が必要です。

このような場合には、「毎年行われている贈与が一年間の110万円という贈与税の非課税枠の範囲内だから贈与税が掛からない」ということではなくなります。

例えば、その定期積金の満期が10年であれば、当初から1100万円(110万円☓10年)の贈与がされ、その実行に10年という時間を掛けたと考えるということです。

つまり、その定期積金を始めた年に1100万円の贈与をしたとみなされるのです。

ただし、贈与を受ける側からするとすぐに1100万円を手にできるわけではなく、実際に110万円を毎年もらうまでの期間そのお金を使うことを我慢し、もしかしたらもらえないかもしれないというリスクを負うことになります。

そのため、その将来もらえるお金を「現在価値」に割り引いたものが、実際に贈与をされた金額とされます。

このような将来定期的にお金をもらえる権利のことを「定期金に関する権利」といいます。

1100万円よりは若干減額された金額となりますが、定期積金を始めた年に多額の贈与をされたとみなされることに変わりはありません。

つまり、毎年110万円までの贈与なら非課税だと思っていたものが、実は多額の贈与税の負担をしなくてはならないこともあるということなのです。

ですから、相続税対策のために長期間の定期積金を子供名義で組み、その資金を親の預金から振替えるのはやめたほうがよいでしょう。ちゃんと毎年個別に贈与の手続きをするべきです。

定期金に関する権利の自動計算(タックスアンサー)

贈与税がかかる場合(タックスアンサー)

暦年贈与サービスで名義株の問題をクリア

いくつかの信託銀行が、この名義預金の問題をクリアしながら生前贈与をサポートする「暦年贈与サポートサービス」という商品を出しています。

基本的な仕組みは

・5年以内の期間で三親等以内の親族に対して定期的に親から子供名義の口座に預金を振替え

・銀行が毎年贈与契約書を送付し贈与の確認を取る

ということのようです。

スクリーンショット 2016-09-04 16.48.36

(タックスアンサー:事前照会より)

贈与契約書の作成やその契約書がちゃんとその時に作成されたものであることの証明をすることは自分自身でもできますが、忘れずに預金の振替や贈与契約書の送付などを毎年行ってくれる上に、贈与後に贈与した者がその預金を引き出せないなどにより、税務調査で名義預金と認定されるリスクは大きく軽減できることになります。

契約書の日付をバックデートしていない証明するお手軽な裏ワザ

今まで、信託銀行も本当に定期金に関する権利とされないのか、おっかなびっくりであったところ、国税庁への事前照会で「この商品のスキームであれば定期金に関する権利とはされない」と明らかにされたので、今後は広くセールスされていくのではないかと。

相続の税務調査でトラブルになることなく生前に子供や孫に預金の贈与をしたい方は検討してみてはいかがでしょうか?

別紙 暦年贈与サポートサービスを利用した場合の相続税法第24条の該当性について(タックスアンサー)

<参考>

暦年贈与サポート信託(三井住友信託銀行)

暦年贈与信託「おくるしあわせ」(三菱東京UFJ銀行)

9割の人が間違えている「会社のお金」無料講座公開中

「減価償却で節税しながら資産形成」
「生命保険なら積金より負担なく退職金の準備が可能」
「借金するより自己資金で投資をするほうが安全」
「人件費は売上高に関係なく発生する固定費」
「税務調査で何も指摘されないのが良い税理士」

すべて間違い。それじゃお金は残らない。
これ以上損をしたくないなら、正しい「お金の鉄則」を