契約書の日付をバックデートしてないと証明するお手軽な裏ワザ
税務では日付が重要
不動産を譲渡した場合には、その譲渡をしたとされる日がいつなのかによって、申告すべき年度が変わるなど税務では日付というものが重要になります。
その日付を証明する重要な証拠の一つが契約書です。
ただ、相手が第三者であれば、日付を偽るようなことはあまり無いのですが、親族間での取引であれば、日付を遡って契約書を作成することも簡単にできてしまいます。
その分だけ、その日付の証拠能力は疑わしいことに。
そこで今回は、親族間で作成された契約書の日付について証拠能力を高めるためにはどうしたら良いのかについて書いてみようと思います。
名義預金とされないためには贈与の事実の証明が大事
相続財産額を少しでも減らそうとせっせと子どもたちに贈与をしたのに、その贈与の事実は認められず、子供名義の預金であっても実質的な所有者は親であるとして相続財産に加算を求められる、いわゆる「名義預金」という問題が相続税の税務調査でよく起きます。
この「名義預金」とされないためには、双方合意の上でちゃんと子どもに贈与されたものであり、その預金の所有者が間違いなく子どもであることを証明することが必要です。
そのためには、
・預金通帳と印鑑の保管や入出金などを子ども自身が行っている
・過去の贈与の事実を明らかにするよう預金口座間の振替により贈与を行う
・贈与の意思を明らかにするため「贈与契約書」という書面で残す
ことが大切なのです。
そういうと、「じゃあ、税務調査の時にまとめて日付を遡って贈与契約書を作ってしまえばいい」と考える方もいるでしょう。
確かになにもないよりはずっと良いです。
しかし、特に未成年者に対する贈与などについては、「親権者が承諾することで贈与は成立する」とされた裁決例もあるものの、それであれば税務署としては「本当にその時点で親権者が承諾をしたものであるのか?」とその証明を強く求めてくるはずです。
親権者から未成年の子に対して贈与する場合には、利益相反行為に該当しないことから親権者が受諾すれば契約は成立し、未成年の子が贈与の事実を知っていたかどうかにかかわらず、贈与契約は成立すると解される(平19-06-26裁決)
その際により強力な証拠としたいのであれば、贈与の時点で贈与契約書をキチンと作っておくほうが良いのは間違いありません。
ただ、本当に贈与の時点で贈与契約書を作っていたとしても、バックデートして税務調査時にまとめて作ったものと見分けがつかないのです。
(契約書に霧吹きで水をシュッとかけて日向に干しておくと古い感じになるとかならないとか・・・)
このことは「黒をグレーにする」時には都合が良いのかも知れませんが、「グレーとされずに白としたい」時には困りもの。
では、どうすれば、本当に贈与の時点で作成されたものだと証明することができるのでしょうか?
公証役場で確定日付をもらう
親族間では日付の証明がしづらいのであれば、第三者に証明をしてもらえばよいでしょう。
その強力な第三者の一つが「公証役場」です。
公証役場では、元判事や元検事などである「公証人」が遺言などの公正証書を作成してくれます。
贈与契約書をわざわざ公正証書で作成するのか?
いや、そんなことは必要ありません。その公証役場で「確定日付」というものを贈与契約書に押印してもらうのです。
1通700円(税別)でその贈与契約書の作成日付の公的に完全な証明ができるのですから、決して高いものではないでしょう。
面倒なら郵便局で消印をもらう
しかし、公証役場はすぐそばにあるとは限らず、わざわざ公証役場に行って確定日付をもらいにいくのはめんどうだという人も多いでしょう。
特に、コツコツ毎年金銭で贈与をするとなると毎年確定日付をもらいにいかなくてはなりません。
結局、面倒になってやらないということもあるでしょう。
では、そんな面倒くさがりはどうすればよいのでしょうか?
そういう方は、契約書に切手を貼って郵便局で消印を押してもらえばよいのです。
契約書を一体誰に郵送するのか?
いや、そういうことではありません。
別に契約書を郵送しなくても、切手さえ貼ってあれば「消印をお願いします」というだけで日付入りのスタンプを押してもらえます。この消印が「この日に既に契約書が存在していた」という強力な証明となるのです。
確かに、郵便局も以前は国の運営する公的機関でしたが、今は民間企業ではあります。
公的に完全な確定日付でもありません。
しかし、郵便局が日付を偽って消印をすることなどないので、「税務調査に関しては」その消印が有力な第三者による日付の証明であることには代わりがありません。
郵便局であれば、大抵すぐそばにあるはずなので、消印をもらうのにそれほど手間もコストもかからないでしょう。
え?それでも面倒ですって?
あとで揉めそうなことほど手続きはちゃんとやる。そうすることが自分を守る盾になる
ということをお忘れなく。
*消印をしてもらうには、郵便物を送付するのに必要な最低料金の切手を貼る必要があります。
なお、H29年6月よりはがきの切手代は62円です。
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