個人事業から法人化するとどれくらい経理処理が面倒になるのか?
目次
利益水準が高ければ、法人化することで節税メリットも
個人の所得税・住民税の最高税率は約56%であるのに対して法人税の税率は約34%であることや法人であれば実額の経費を差し引いた上でさらに給与所得控除という概算の経費も二重に差し引くこともできることなどから、利益水準が高くなってくれば、法人化することで節税できるというメリットがあります。
一方で、法人化すると個人事業時代よりも経理処理が面倒になる上、税務調査の頻度も高くなるというデメリットもあります。
では、法人化すると個人事業よりもどれだけ経理処理が面倒になるのか。今回は、その点をみてみることにします。
帳簿記帳義務は法人も個人も原則変わらない
法人であれ、個人事業であれ、一定の帳簿を作成し決算申告をしなくては行けないということは変わりがありません。
「青色申告特別控除」「欠損金の繰越控除」などの恩典の利用をするために「青色申告」を選択しているのであれば、法人であれば個人であれ、複式簿記により記帳をすることに加えて貸借対照表と損益計算書の作成を求められることも同じです。(不動産所得について10万円の青色申告特別控除を選択する場合は貸借対照表の作成は不要です)
会計ソフトの入力についても、複式簿記であれば、法人になったからといって個人よりも複雑になるということはほとんどありません。
そのため、日々の記帳や決算作業については、法人と個人でそれほど差はないといえるでしょう。
特殊なことがなければ法人の申告書も自分で作成できる
決算書を作成したら、その利益額から課税所得を算出し税額を計算する「申告書」を税務署等に提出しなくてはいけません。
個人の確定申告書よりも法人の確定申告書のほうが確かに複雑です。
全く知識がない人が法人の申告書を作成するというのはなかなか難しいとは思います。
しかし、個人の確定申告書だって、初めて作成するときには全くわからず悪戦苦闘したという人がほとんどではないでしょうか?
法人の申告についても、これから法人化するレベルであれば、申告書に記載すべきこともそれほど多くはなく、個人の確定申告書を自分で書くことができるくらい努力をした人であれば、法人の申告書も慣れれば記載ができるでしょう。
ぶっちゃけ、法人の申告書作成については、税理士も申告ソフト任せの部分も多く(税理士としての判断を必要とするのはその手前の部分です)、それらのソフトを利用すれば、特殊な税務処理がない限り、自分でも申告書を作成することは可能だと思います。
ちなみに、こちらの申告書作成ソフトの購入代金は初回が約85,000円、以降毎年のバージョンアップ代が27,000円ですので、自分で法人税の申告を行う場合の追加コストはこの程度だと言えます。
自分でやると節約できたつもりで実は損をすることも
個人の確定申告書を自分で作成できる人であれば、法人化するからといって必ずしも税理士に依頼をしなくてはならないということもないでしょう。
別に税理士に対して何ら相談することもなければ、わざわざ税理士を顧問にする必要もないかと思います。
ただ、自分でできるということが必ずしもコスト0なのでお得ということではありません。
もし、あなたが暇で暇で仕方がない「手余り」の状態であれば、確かに自分で経理処理をすることで追加コストを節約することはできます。
しかし、あなたがその経理処理のための時間を別のことに使うことでより多くの売上高を獲得するチャンスのある「手不足」の状態であれば、コストを節約しようとちまちま自分で経理処理をすることで、その「売上高ー節約できたコスト」分だけ「機会損失」という見えないコストがより多く生じていることになるのです。
法人化することで節税できるくらい利益が安定的に上がり、今後もより多くの利益を追求していきたいという時に、社長が「手余り」なんてことはまずないんですけどね。
成功している社長で、自分で税務申告書を作成しているという人を少なくとも私は見たことはないです。
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