節税好きの社長が毎月分配型ファンドなんて買う意味がわからん
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毎月分配型ファンドが人気だが
今まで余剰資金は定期預金にばかりしていた人に対し、はじめての投資信託として薦められることが多いものに以前はやった「グローバル・ソブリン・オープン」のような毎月分配型ファンドと言うものがあります。
毎月分配型ファンドはその名の通り、毎月分配金が支給されるので「足りない年金を補填するじぶん年金」のように言われ、特に高齢者に人気があるようです。
ただ、資産運用としては、この毎月分配型は不利な面が多いあまり得ではない商品だと言えます。
そこで今回は毎月分配型ファンドのどこが不利なのか、分配されたお金って何なのかを考えてみようと思います。
毎月分配型ファンドのカラクリ
毎月分配型ファンドの仕組みで正しく理解されていないと思われる点は次の3つです。
分配金は預金の利息と比較すべきものではない
分配金には「普通分配金」と「特別分配金」の二種類があります。「普通分配金」には税金が掛かりますが「特別分配金」には税金は掛かりません。
そこだけを見ると、特別分配金はお金をもらっても税金が掛からない「オイシイ分配金」であるかのようです。
しかし、実際には、普通分配金は運用益を原資としており、特別分配金は自分が支払った元本を切り崩しているということなのです。
「特別分配金」などというと「特別のご褒美だから税金が掛からない」かのようにも思えますが、実際は自分が支払ったお金が戻ってきただけなので税金が掛からないのは当然でしょう。
特に最近では、分配金を確保するため新興国の債券や海外不動産などハイリスクハイリターンの商品で運用でされていて、年金の補填としてどうなのよというものも多いのです。
いずれにせよ、分配金がもらえればその時は得をしたようですが、その分だけ売却可能額である基準価額が下がるので、売った時に損をする可能性が高くなるということです。
分配金が高いとオトクな運用商品のようですが、もらっても元本が減らない定期預金の利息と投資信託の分配金を同じもののようにして比較をしてはいけないのです。
分配されたら課税がされるので複利の効果が小さくなる
複利運用されることを考えると、最も投資効率の良いのは、運用益をそのまま再投資し運用をするということです。
運用益が分配をされてしまうと、課税がされてしまいます。
つまり、分配金を手にしてしまえば複利が効かず、仮に一旦課税がされた残りを再投資するにしても、分配されず運用益がすべて再投資する場合に比べて、運用上不利であることがわかります。
特定口座内で株式等の運用をする場合、「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」のどちらかを選択できますが、取引の利益と損失が相殺され、確定申告の必要もない「源泉徴収あり」のほうが楽だと思われるのにあえて「源泉徴収なし」を選択する人がいるのは、この利益について一時的にせよ源泉徴収がされ、再投資できるお金が減ってしましい、投資効率が悪くなることを嫌がるからなのです。
税金を払うのは嫌だと、単に税金の支払時期を先延ばしにする効果しかない生命保険などの節税商品を喜んで購入する人なら手許のお金には困っていないはず。
そんな人が、要りもしないお金を分配されてわざわざ毎月課税される金融商品を買うというのは、どういうことなのでしょう。
手数料がやたらと高い
ETF(上場投資信託)などは販売手数料がない商品が多く、さらに毎年の信託報酬についても海外の商品では0.0☓%台の競争がされています。
それに対して、毎月分配型ファンドは、2-3%の販売手数料の他、毎年の信託報酬は1%を越えるものが多く、中には2%近いものもあるのです。
毎月分配をする仕組みのためにコストが高いのだとすれば、そのコストは運用を有利にするためのコストではないでしょう。
お金が帰ってくることに惑わされない
生命保険についても、一定期間保険事故が起きなかった時に「お祝い金」が支払われる「生存給付金付き」の商品もあります。
お祝い金というのは、別に生命保険会社が身銭を切って「事故がなくて良かったですね」と祝ってくれるわけではなく、単にその分余計に掛金を支払っているに過ぎません。
定期保険でも解約返戻金があるものについても、先に余計に払っていた分があるのでそれを返すというだけのこと。要するにみんな自分が余計に払ったお金ということなんです。
そもそも、生命保険はそのシステムを維持するためのコストが高く、自分ひとりではカバーしきれない万一の際の損失をカバーするために、損を承知で渋々最低限加入すべきものです。
それなのに、余計にお金を先払いすれば、その分余計なコストを支払うだけなんですよね。
どうも「分配金がもらえる」「お祝い金や解約返戻金がもらえる」というとなんだか得をしたような気がするのですが、資産運用でカモにされたくなければ、そもそも「その金はなんなのか」を冷静に考えるようにしたいものです。
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