役員に対する弔慰金と香典は法人税法上損金となるのか?
在職中に死亡した場合には、退職金のほかに弔慰金などの支払いも
会社の役員や従業員が、在職中に死亡した場合、遺族に対して退職金の支給がされることがあります。
この他にも、会社が故人に対する弔慰の証として「香典」や「弔慰金」が支払われることもあるでしょう。
では、これらの弔慰金や香典の支出については、会社の損金となるのでしょうか?
そこで、今回は、在職中の死亡に伴う退職金、弔慰金、香典について、その課税上の取り扱いについてまとめてみることにします。
死亡に伴う退職金は一定金額まで損金算入
この死亡退職金については、もらった遺族側は、相続税の対象とはなるものの、一定金額(被相続人の数×500万円)までは非課税とされています。
支払った会社側は、役員の場合、過大なもの以外は損金不算入とされ、その過大ではない損金算入限度額については、明確な規定はありません。
ですが、代表取締役の場合、以下の金額までであれば、まず税務上否認されることはないとされています。
役員退職金損金算入限度額=最終報酬月額×役員勤続年数×功績倍率(3倍)
裁判などで、これより低い「功績倍率」が示されているのは、当初この功績倍率が3倍を遥かに超えていたもの計算を、修正を求められたにも関わらず応じなかったことで「ガチの基準」を示されたケースがほとんどでしょう。
高速を110キロで走ってもまず速度違反にはならなくても150キロで走れば「100キロからの50キロオーバー」とされるようなものです。
弔慰金の損金算入限度額
退職金は、今までの功労に対する給与の後払い的な性格のものでありますが、弔慰金は、遺族への弔慰のためのお金であり、別のものとされます。
この弔慰金についても、もらった遺族の側では、相続税の対象となりますが、以下の金額までは非課税とされています。
(1)被相続人の死亡が業務上の死亡であるとき
被相続人の死亡当時の普通給与の3年分に相当する額
(2)被相続人の死亡が業務上の死亡でないとき
被相続人の死亡当時の普通給与の半年分に相当する額
(注) 普通給与とは、俸給、給料、賃金、扶養手当、勤務地手当、特殊勤務地手当などの合計額をいいます。
では、支払った会社側はいくらまでならば、損金に算入できるのでしょうか?
実は、明確な規定はありません。
ですが、実務上、上記の相続税の非課税の範囲内の弔慰金については、損金に算入しても、税務調査で否認されることはまずないです。
つまり、会社は、退職金とは別に
(1)被相続人の死亡が業務上の死亡であるとき
被相続人の死亡当時の普通給与の3年分に相当する額
(2)被相続人の死亡が業務上の死亡でないとき
被相続人の死亡当時の普通給与の半年分に相当する額
まで弔慰金としての支払いをしても損金算入が可能であるということです。
香典も社会通念の範囲内で損金算入は可能
葬式に参列する際には、香典の支払いがされます。
この香典については、受け取った遺族については非課税とされています。
では、支払った会社側ではいくらまで損金になるのでしょうか?
こちらもいくらまでという明確なルールはないです。
あくまでも社会通念上妥当と思われる金額の範囲内であれば、支出した香典は損金に算入されます。
具体的には、「同業他社と比較して金額が妥当であるか」「社内での格差が役職に応じて妥当であるか」により判断がされます。
では、香典の相場というのはどれくらいなのでしょうか?
勤続年数などに応じて異なるようですが、一番多いのは、業務上の死亡で10万円、業務上以外の死亡では5万円というところのようです。
社員や社員の家族が亡くなったとき、通夜・葬儀の香典はいくら包む?|日本実業出版社
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