非居住者に対するコンサルティング報酬やコンテンツ販売は消費税課税対象?

非居住者との取引についての消費税の課税可否が悩ましい

オンライン化の進展は、物理的な距離の制約がなくなったことで、国外に向けてコンサルティングなどをする機会も多くなってきています。

消費税については、国内の「資産の譲渡等」が課税対象となります。

そのうち、役務提供については、一定の取引についての例外はありますが、原則として、その役務の提供が行われた場所で、国内取引かどうかを判定することになっています。

では、Zoomなどオンラインミーティングツールを活用して国外の者に対して役務提供をした場合、消費税は課税対象となるのでしょうか?

そこで、今回は、非居住者に対する役務提供やコンテンツ販売をしたときの消費税の課税関係についてまとめてみることにします。

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非居住者に対する役務提供

非居住者に対する役務提供についてタックスアンサーで以下のように記載がされています。

非居住者に対する役務の提供は一般的には輸出免税の規定が適用され、消費税が免除されます。しかし、非居住者に対する役務の提供であっても、次のものは消費税が免除されません。

(1) 国内に所在する資産の運送や保管

(2) 国内における宿泊や飲食

(3) (1)及び(2)に準ずるもので、国内において直接便益を受けるもの

例えば、国内に所在する建物などの管理や修繕、理容又は美容、医療又は療養、鉄道やバスなどによる旅客の運送、劇場や映画館などにおける観劇などの役務の提供、国内間の電話や郵便、非課税とされていない日本語学校やビジネス学校などにおける語学教育やビジネス研修などの役務の提供は免税の対象から除かれています。

 また、国内に支店又は出張所等を有する非居住者に対する役務の提供については、原則としてこれら支店等を通じて行ったものとして免税されません。

 

非居住者に対する役務の提供で免税とならないものの範囲

7-2-16

令第17条第2項第7号《非居住者に対する役務の提供のうち免税となるものの範囲》において輸出免税の対象となるものから除かれる非居住者に対する役務の提供には、例えば、次のものが該当する。(平15課消1-13により改正)

(1) 国内に所在する資産に係る運送や保管

(2) 国内に所在する不動産の管理や修理

(3) 建物の建築請負

(4) 電車、バス、タクシー等による旅客の輸送

(5) 国内における飲食又は宿泊

(6) 理容又は美容

(7) 医療又は療養

(8) 劇場、映画館等の興行場における観劇等の役務の提供

(9) 国内間の電話、郵便又は信書便

(10) 日本語学校等における語学教育等に係る役務の提供

ですから、相手が非居住者であっても、たまたま日本に来日したタイミングでコンサルティングなどの役務提供をした場合には、国内取引として消費税の課税対象となります。

では、オンラインツールを通じてのコンサルティングについてはどうでしょうか?

通常は消費税は免税であるのに例外的に課税対象となるものは、「明らかに直接国内で役務提供を受けているもの」です。

「例示」としての列挙なので、記載されたもの以外がすべて消費税の免税となるわけではありませんが、少なくとも「明らかに直接国内で役務提供を受けている」とは言い切れない、オンラインでのコンサルティングについては、消費税は課税対象外(輸出免税)と考えて良いでしょう。

非居住者に対する役務の提供|タックスアンサー

非居住者へのコンテンツ販売

電気通信回線(インターネット等)を介して国内の事業者・消費者に対して行われる電子書籍の配信等の役務の提供を「電気通信利用役務の提供」といいます。

従来は、役務提供をする者の住所地で消費税課税の可否の判断をしていましたが、改正により役務提供を受ける者の住所地で判断をするようになったのです。

つまり、非居住者へのネットを通じたコンテンツ販売などについては、消費税の課税対象とはならないということです。

「電気通信利用役務の提供」の例示の一つとして「インターネットを介して行う英会話教室」が挙げられていることからも、上記のオンラインツールを用いた国外事業者へのコンサルティングについては、やはり、消費税は、課税対象外ということになります。

国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税に関するQ&A|国税庁

なお、住所等が国内にあるかどうかの判定は、客観的かつ合理的な基準に基づき行うこととなります。

例えば、インターネットを通じて電子書籍、音楽、ゲーム等をダウンロードさせるサービスなどにおいては、顧客がインターネットを通じて申し出た住所地と顧客が決済で利用するクレジットカードの発行国情報とを照合して確認する等、各取引の性質等に応じて合理的かつ客観的に判定できる方法により行うこととなるのです。

国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について|国税庁

まあ、うちは一回も国外の人にコンサルティングをしたり、コンテンツを販売したことはないですけどね。

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