リースバックという銀行に見放された人への高金利融資

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リース取引についての誤解が一杯

「固定資産を購入しても減価償却でしか損金にならないものがリースなら支払額全額が損金になるので節税になる」「借入だと決算書の負債となるのにリースならば負債にならず自己資本比率が改善し融資が受けやすくなる」などとまことしやかに言われるリース(ファイナンス・リース)取引。

当然それは誤解であるのですが、リースをレンタルのように必要なときだけ使える購入よりもリスクの少ない使用方法だと思っている人もいるようで。

中には「同じリース料なのに古いコピー機を新しいコピー機に替えてくれた、ラッキー!」などという人まで。

リースの本質をよく理解されていないために、リースバックなる資金調達方法をよく確認せずに利用している例もあります。

そこで、今回は、リースの本質とリースバックってどんなものなのかについてまとめてみようと思います。

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リースの本質はモノを担保にした高金利融資

実はリース取引と言われるものにはいくつかの種類があり混在しています。その中で一般的に「リース取引」と言われる時には、「ファイナンス・リース」を指し、一言で言えば「企業に機械や設備を長期間賃貸すること」といえます。

レンタル(短期賃貸借)との違いは、レンタルは中途解約が可能であるのに対し、ファイナンス・リースは中途解約が不可ないし当初の予定支払総額に近い金額のペナルティが発生するということです。

借主の要望どおりの機械等の購入代金を貸主が支払い、その代金に利益を上乗せした金額を約束した期間まで支払い続けるというのであれば、要するに、貸主が借主に機械等の購入代金を融資したのと変わりがありません。

ノンバンクは銀行等から資金を調達した上で、借主に機械等の購入代金を”融資”しているのですから、通常は、銀行から直接融資を受けるよりも調達コストは高くなるはず。

特に、最近はリース期間満了後に支払う「再リース料」が思いのほか高額になってきており、取得するときと比べた「調達コストの上乗せ」は大きくなってきています。

つまり、リースとは、機械等を担保にした高金利の融資ということなんです。

自分で購入するよりもリースのほうがリスクが小さくて済むなんてことはないわけです。

節税としてみても、ファイナンス・リースは、原則一旦取得したものと考え、支払リース料=減価償却費(リース期間定額法)として損金にするので、減価償却とその基本的な仕組みは同じであり、特に節税効果などありません。

どう見たって借金ですから、銀行が融資する際には負債として評価するので、リースに切り替えたことで銀行から融資が受けやすくなるということもほとんどないのです。(信用保証枠を温存する余地はあるでしょう)

この際だからリースとレンタルとローンの違いをしっかり理解してみよう

リースバックとは?

リースが融資の一形態であるということは理解いただけたことでしょう。

通常、リースは、機械や設備などを新たに取得する際の資金調達の手法として用いられるのですが、足りない運転資金の調達方法としても利用されることがあるのです。

それがリースバックという方法。

リースバックとは、自分が所有する機械や設備、器具備品などを一旦リース会社に譲渡をした上でもう一度その資産をリースして使用する取引のことです。

これにより、譲渡代金という資金をすぐに手にいれることができます。

譲渡代金として手にしたお金をリース料を通じて返すのですから、自分が所有する機械装置などを担保にして融資を受けるのと同じです。

中には、機械や装置だけでなく、土地建物などを対象にしたリースバックなどもあります。

一旦不動産をリース会社(不動産会社)に譲渡した後、家賃として支払いをすることで、従来通りその不動産を使用し続けることができます。

運転資金を手にできた上に、不動産を引き続き使用できるというのはありがたい。それに、将来一定金額の支払いをすれば、その不動産を買い戻すことができるような契約になっているものもあります。

これであれば、ひとまず不動産は手放しても、引き続き使用をし、頑張ってお金ができたらまた愛着のある不動産を買い戻すことができる。なんとも素晴らしい資金調達方法のようでもあります。

ただ、問題は、その調達コスト。はっきり言ってものすごく高いです。やはり、銀行から融資を受けられず窮余の策としてされることが多いので、当然といえば当然です。

銀行が審査をして、返済余力がないとされた会社が、この多額の調達コストを上回るリターンを上げるのは至難の業でしょう。

(多数の営業車を保有していると車検の管理が大変なので事務コスト削減のためリースバックをするという例もあります。その場合、会社の業績が良ければ調達コストはローンとさほど差はないはずです)

実際に不動産をリースバックする提案書を見たところ、実勢価格を大きく下回るような譲渡対価が示された上、リース料(家賃)も高額。「事務手数料」などという謎の多額の経費が譲渡対価から差し引かれます。それも二回リース料(家賃)の支払が滞ったら、そのリース契約は終了=不動産は安値で売られておしまいと、一体どこの「ナニワ金融道」なんだというものも。

少なくとも銀行は、融資先がきちんと返済できるよう会社を発展を願っています。しかし、この例では、むしろ早く会社が倒産してくれたほうが第三者に不動産売却をすることで手っ取り早く資金回収ができる。

自分の事業が早く破綻することを願うところから資金調達をするというのはどうなんでしょう。

安易な資金調達手法を選んではいけない

窮余の策としてリースバックを選ぶというのは、おそらくその利息以上のリターンを得ることはむずかしく、最終的には破綻するリスクが高いものの、それ以外に資金調達ができないのであれば、仕方がないことなのかもしれません。

良い資金調達方法とは思えませんが、批判しても、その人がお金を貸してくれるわけでもありません。

個人の債務整理の一環として泣く泣く自宅をリースバックすることを否定するつもりもありません。

しかし、中には、「なんでいきなり不動産のリースバックなのよ」という例もあります。まだ担保余力もあって、頑張ればもっと低コストの資金調達の余地はありそう。

そういうところに限って、運転資金を安易にカードローン、それもリボ払いで調達していて、その理由は「あまりうるさいことを言わずに貸してくれたらから」などということもあるのです。

「借金は悪だ、出来るだけするな」などというつもりもなく「借金は事業成長の加速装置」であるため、必要であれば過度に躊躇することなく活用したほうがよいでしょう。

しかし、その際には、最もコストの安い手法を選択しその実行のための努力をギリギリまで行うべきです。

その手間が面倒だと安易に資金調達できる方法を選択したら、その結果は、そりゃ「借金は悪だ」といいたくなるようなものになるでしょうね。

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